( 2013.02.07 )

  

 北京や河北省を中心に呼吸器疾患患者を増加させた深刻な大気汚染は、ピークを過ぎた6日になっても、大きな関心を集めている。 慢性的な大気汚染を抱える中国でも、今回の状況は史上最悪レベル。 気象条件や情報の公開、国民の意識の変化などが重なり、大きな社会問題に発展した。

 北京が茶色の濃霧に覆われ始めたのは、1月10日ごろだった。 その後、呼吸器疾患を訴える患者が通常より1~4割増加した。 中国気象局は今月5日に行った記者会見で、汚染物質の排出量増加と、この時期、風が弱まり汚染物質が滞留したことを、大気汚染の深刻化の原因に挙げた。

 2011年12月にも、同じ原因で大気汚染が悪化、市内の病院で呼吸器の不調を訴える患者が急増した。 ただ、この時は2日間で収束している。 今回は深刻な状況が約3週間続いたことが大きな特徴といえる。

 北京の米国大使館は、呼吸器系疾患を誘発するとされる直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質 「 PM2.5 」 に関するデータを提供し、警鐘を鳴らし続けてきた。 国際基準を無視してきた中国当局もPM2.5の濃度を計測し、データを公表。 大気汚染の深刻さが数字で示されるようになったことで、市民の反応も変化した。

 PM2.5は今回、日本の基準値の25倍を記録。 中国環境保護省によると、中国全土の4分の1を濃霧が覆い、約6億人に影響を及ぼした。 中国気象局も 「 歴史的にもまれにしか見られないものだ 」 と認めざるを得なかった。

 中国誌 「 財経 」 などによると、中国の研究者は大気汚染で29万9700人の都市住民が早死にすると試算している。 特にPM2.5は死亡率と密接に関わっていると主張。 汚染水準が改善されなければ、北京、上海、広州、西安の4都市だけで年間8500人以上が早死にすると示されては、国内外の関心が高まるのもうなずける。

 中国各地では昨年来、環境問題に敏感になってきた市民らが、汚染源となりうる工場の建設や拡張に反対して抗議活動を行うケースが目立ってきている。 環境保護を 「 国策 」 の一つに掲げながら、大気や水質の汚染を野放しにしてきた当局への不満も、今回の大気汚染をめぐる混乱の背景にありそうだ。