( 2012.06.10 )


 最近、中国当局と北京の米国大使館が対立したことがインターネットで注目されている。 米大使館は北京在住の米国人への情報提供として毎日、人体に有害とされる空気中の 「 PM2.5 」 と呼ばれる微細な粒子を独自に測定し、北京の大気汚染情報として公表しているが、中国政府は 「 国際法違反だ 」 として中止を求め、激しい応酬となった。 これまでに米国を批判することが多い中国のインターネットではこの件について、米国を支持する意見が圧倒的多かった。

 中国環境保護省の呉暁青次官は5日に開かれた記者会見で、米大使館が毎日行っている大気汚染度の観測と公表は 「 外交関係に関するウィーン条約違反だ 」 として、直ちに中止を求めた。

 その理由として (1)大気汚染度の情報発表は中国の権利に当たり、外国の勝手な公表は内政干渉にあたる (2)米大使館発表の数値評価は中国より厳しい米国の基準が適用されている (3)一つの都市の空気指数を観測するのに複数のポイントが必要で、米大使館周辺だけの数字では不十分 ── などを挙げた。

 中国当局がいらだちを募らせたのは、米大使館の公表数値が中国当局の数値と食い違っているからだ。 多くの北京市民は米国側の数字を信用し、中国当局を 「 嘘つき 」 と決めつけている。 北京市などが設置した観測スポットのほとんどは公園内など空気の良いところだが、米国大使館は市中心部の大通りに面しているため、館内から観測された数字は中国側より悪い場合が多い。

 また、数値がほぼ同じでも、中国の評価基準では 「 良好 」 だが、米国の基準では 「 極めて危険 」 と分かれるところもある。 さらに、中国側発表数値は市民の実感と大きく違う場合もあり、 「 数値をねつ造しているのでは 」 との疑惑は以前からあった。 このため、北京市環境保護局には 「 米大使館の数値となぜこんなに違うのか 」 といった問い合わせや抗議が絶えないという。

 中国側の批判を受け、米国務省のトナー副報道官は直ちに反論した。 5日に行われた記者会見で、大気汚染の数値発表は中国が主張する国際条約違反や内政干渉には当たらないとし、 「 中止する計画はない 」 と明言した。 そのうえで、トナー氏は米国にある在ワシントン中国大使館が米国の大気汚染状況のデータを発表しても 「 反対する理由は何もない 」 と述べた。

 中国のインターネットでは、このトナー氏の反論に対し 「 大国としての自信が伝わってきた 」 「 環境保護省の嘘つきと徹底的に戦え 」 などと拍手喝采の声が多く寄せられた。

 これまで、米国による台湾への武器輸出問題やチベット問題などで米中が対立するとき、米国を批判する意見であふれる中国のインターネット。 だが、 「 米国の発表数値を信用するしかない 」 「 空気だけではなく、水や食品の安全指数も公表してほしい 」 などと米国を支持がほとんどだった。 また、 「 米大使館を批判する前に、なぜ自分が信用されないのか反省すべきところはあるだろう 」 といった中国政府に注文をつける意見も多かった。

 米大使館は観測数値の公表を続ける方針だが、中国が対抗措置として 「 ( 米大使館を )郊外の林の中に強制移転しないか心配だ 」 といった書き込みも寄せられた。