( 2005.05.15 )

 


 中国の工業地域などで発生する 「 すす 」 の量が急増し、北半球の大気汚染を悪化させていることが、米航空宇宙局( NASA )ゴダード宇宙研究所の分析で明らかになった。

 早急に排出量の低減を図らない限り、世界全体の気候に悪影響を及ぼす恐れがあるという。

 すすは、工場や火力発電所のばい煙、家庭でまきを燃やした煙などに含まれる。 同研究所は、衛星観測のデータやコンピューターを使った計算で、地球表面に広がるすすの排出源を調べた。 その結果、世界全体のすすの3分の2は工業活動が原因で、その半分が、中国を中心とする東アジア地域で発生していることを突き止めた。

 最もすすの影響を受けやすい北極地域を例にとると、1980年代初め、すすの排出源として大きかったのは旧ソ連と欧州だったが、その排出量はこの20年で4分の1程度に減った。 現在の最大供給源は中国地域で、排出量は70年代後半の約2倍に増えたという。

 北極に飛来するすすは、海氷や氷河の減少、地表温度の上昇、海流の異変など地球規模の気候変動を引き起こす可能性がある。

 欧米や日本などの先進国がすすの排出量を減らしたのは、工場のばい煙対策などを進めた結果。 大気汚染に悩む中国でも、炉を高温で燃焼させる装置の設置などが奨励されているが、導入した工場は一部にとどまり、すすの排出量は増え続けている。 中国のすすは日本にも深刻な影響を与えている。

 同研究所の計算によると、西日本上空のすす濃度( 雨などで地上に流れる分を含む )は、1立方メートルあたり500~1000ナノ・グラム( ナノは10億分の1 )で、北米や欧州の最大汚染地域の2倍以上になるという。
◆すす=炭素の微粒子。 氷や雪に降り積もると、太陽熱の吸収を高め氷を速く解かす。 NASAの計算によると、すすの増加量と北極の氷の減少の割合がほぼ一致するという。 また、大気中の濃度が高くなると、呼吸器の障害など人々の健康にも悪影響を及ぼす。




( 2009.09.07 )


  
      


 中国での大気中の二酸化窒素( NO )濃度が2007~08年に、これまでの最高レベルに達したことが、海洋研究開発機構のデータ分析で分かった。 日本の光化学オキシダント濃度への影響も強く示唆され、 「 越境汚染対策が急務だ 」 としている。
 同機構は、欧米が運用する対流圏大気化学衛星センサーの05~08年のデータを詳しく分析。 その結果、中国東部の華北平原を中心とした地域では、年5%のペースで二酸化窒素濃度が上昇。 高いところでは、10~15%の上昇率を示した地域もあり、濃度上昇が著しい地域は大都市周辺に限らないことも分かった。
 日本では07年5月に長崎、大分、新潟県で光化学オキシダント注意報が初めて発令されるなど、全国的に光化学オキシダント濃度が上昇。 一方、原因となる二酸化窒素濃度は国内では横ばいか低下傾向を示した。 また、08年途中から、中国の二酸化窒素濃度がピークの途中で横ばいとなる傾向もみられた。 同機構は 「 北京五輪に向けた大気汚染対策の効果が現れている可能性がある 」 とみている。