( 2011.12.03 )


 

 11月15日、米国下院外交委員会公聴会でのデーナ・ローラバッカー議員( 共和党 )の追及だった。 相手は国際開発庁( USAID )のニシャ・ビスワル・アジア局長である。 「 中国への援助の再評価 」 と題されたこの公聴会で米国の対中援助を説明した同局長に浴びせられた質問だった。

 米国政府は海外援助法の規定や天安門事件での制裁により、中国の共産党政権に直接の経済援助をすることを禁じられている。 だが中国内での活動に携わる米国側の民間団体や、中国側の政府自体からはいくらか距離があるかにみえる 「非政府機関」 などに特別な資金を供してきた。

 エイズ救済、チベット社会支援、 「法の統治」 推進、民主主義推進、大気汚染防止、動物保護というような人道がらみの特定目的にしぼった援助である。 もっとも規模は 昨年度でも全政府機関総額 4600万ドル( 約35億円 ) と、ささやかである。ちなみに 日本は一昨年に 3億ドル の対中援助 を記録した。

 ところが米国議会では、その対中援助をすべて停止することを求める動きが激しくなってきた。 前述の下院外交委公聴会の議長となったドナルド・マンズロ・アジア太平洋小委員長らはその理由として、世界第2の経済大国の中国はもはや他の諸国に援助を与える立場 であり、そもそも米国の援助は民主主義でも法治でもチベットでもなんの効果をあげていないことを指摘していた。 そのうえに米国は中国に対し巨額の債務を負っているというのだ。

 ビスワル局長は 「 中国の環境破壊により米国西海岸での大気や湖水の汚染が進んでいる 」 と証言し、米国からの汚染防止援助の意義を強調したが、逆に議員側から強く反発された。 「 中国から巨額の借金をしている米国がなぜ資金を中国に贈らねばならないのか 」 ( ビル・ジョンソン議員 )という素朴な主張までがぶつけられたのだ。

 こうした潮流は上下両院での超党派の動きである。 上院では民主党の有力議員で外交委アジア太平洋小委員長のジム・ウェブ議員がこの夏、米国政府は中国への援助をチベット、人権、民主主義の推進以外はすべて停止することを求める声明を出した。 同議員はしかも、世界銀行やアジア開発銀行を通じての中国への援助にも米国政府が反対することをも訴えていた。

 ウェブ議員の声明は上院共和党のジェームズ・インホフ議員との連名だった点が 「中国への経済援助などとんでもない」 という議会の強い思考を反映していた。

 ちなみにこの9月、下院に対外援助の新法案を出した同外交委員会の民主党筆頭メンバー、ハワード・バーマン議員も 「 米国の価値観と対立する人権弾圧の国への援助禁止 」 を新法案の趣旨としてうたい、明らかに現状での対中援助への反対の立場を示した。

 オバマ政権も議会のこの流れに押された形で、国際開発庁主管だけでも2010年度に2340万ドルだった対中援助を一気に1200万ドルまで減らした。 米国の最近の中国に対する姿勢全体が一段と険しくなったことの表れだといえよう。