( 2018.09.26 )

  
    


 中国の高速鉄道( 新幹線 )など、列車の予約はスマホのアプリで可能になるなど、昔と比べればはるかに楽になった。

 だが、たとえ入手が楽になったとは言え、自分が予約した座席を勝手に占拠し、 「ここは自分の席だ」 と言ってもどかない、そんな乗客と出くわしたら、不愉快極まりないだろう。 こうしたトラブルが中国で立て続けに発生している。

 8月には山東省済南から北京行きの列車に乗った男が、 「自分の座席だ」 と説明する女性に対して頑として譲らず、席を替わるよう説明する乗務員にも 「足が悪いので車椅子を持ってきて」 などとごねる映像がネットで公開され、この男の身元がネット検索で暴露されるなどの騒ぎとなった。 男はその後、ネットで謝罪した。

 さらに9月19日には湖南省から広東省深圳に向かう高速鉄道車内で、やはり他人が予約した窓側の席に座った女が、すぐ隣の通路側の席に移るのを拒否し、乗務員の説得にも 「私は間違っていない!」 反抗する様子がネットで公開された。

 この女に対し、鉄道当局は200元の罰金と、180日間列車の切符の購入を禁止する処分を発表した。

 この2人の男女はいずれも30代前半のいわゆる 「八〇后」 で、1人っ子政策により両親に甘やかされて育った 「小皇帝」 が、そのままわがままな大人となった「巨嬰」( 巨大な赤ちゃん、giant infant )ではないかとの議論が起きた。

 「巨嬰」 という言葉を有名にしたのが、2016年に中国で出版された 「巨嬰国」 という書物だ。

 「( 中国式 )巨嬰」 の特徴とその社会的な背景を分析したこの本でも、巨嬰の特徴として 「ナルシスト」 「極端にわがまま」 「自己中心」 「依存心が強い」 などを挙げたが、中国社会を批判する内容だとして、直ちに発禁本となった。

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「墓場に連れて行かれた」 と訴え

 9月2日、曾という3人の中国人観光客がスウェーデンの首都、ストックホルムのホテルの従業員から暴言を受け、さらには警察によりホテルの外に追い出され、最後には墓場に連れて行かれ放置されたとネットで訴えた。

 このニュースを15日に伝えた人民日報系の環球時報は、 「予定よりも早くホテルに到着し、昼まで部屋には入れないと言われ、父母は健康がすぐれないためロビーのソファーで休ませてほしいと頼んだが、ホテル側は拒否、暴力的に追い出された」 「警察は意識がもうろうとする両親を殴打し、無理やり車に乗せ、ストックホルムから数十キロ離れた荒野の墓地に置き去りにした」 などと報じた。

 曾一家はその日のうちにスウェーデンを離れ、同紙は 「スウェーデン警察の老人に取った行動は、現代国家には想像できないものだ」 と批判した。

 これを受けて在スウェーデン中国大使館は 「人権を標榜するスウェーデンが人権を軽視した」 などと厳重な抗議を行い、ネットでも怒りが巻き起こった。

 「ごろつき国家だ」 「今度スウェーデン人を見たら殴ってやる」 「スウェーデンは国が分裂し、民族が絶滅すればよい。 ガス室に送ってやる」 このようなひどいコメントがネットで登場した。

 これに対しスウェーデンの現地メディアは、 「3人が予約を間違えて前日の深夜に到着、客室は満員で翌日の昼でないとチェックインできないと説明したことでトラブルになった」 「中国の観光客は体の調子が悪いからロビーのソファーで寝かせてくれと要求、ホテル側が拒否し、ホテルを出るよう求め、3人と言い争いになり、警察に通報した」 などと報道、警察の対応も事態を沈静化させるもので、暴行などはなく問題はなかったと指摘した。

 さらに事件当時の動画を公開、警察が老人らを注意深くホテルの外に運び、老人が路上で泣きわめき、曾は女性警官とぶつかってもいないのに自分から路上に倒れ、警察が殴ってもいないのに 「警察が我々を殺そうとしている」 と英語で叫ぶ様子などが中国にも伝わった。

 さらに3人が連行されたという墓地は、実際にはストックホルムの中心部から6キロほどの地下鉄駅近くで荒野ではなく、ホームレスなどが夜を明かすことができる教会であり、墓地はすぐ脇にあったが、世界遺産にも指定された有名な観光地だったことも判明した。


事実が判明、世論が逆転

 こうした動画や真実が明るみに出たことで、中国の世論の風向きは一転した。

 「この動画を見て、誰も彼らに同情しなくなった」 「曾は警察がぶつかってもいないのに自分から倒れ、大声で泣き叫んだ。これは『碰瓷』ではないか?」

 「碰瓷」 とは 「陶磁器にぶつかる」 の意味で、もともとは清朝時代、安物の陶磁器を手に持ち、わざと通行人とぶつかって破損させ、高級品だったとして金を要求したことから生まれた言葉だという。 現在では、「碰瓷」とは「当たり屋」、つまり故意に人や車にぶつかり,身体や物を壊した代償を請求する犯罪行為のことだ。

 中国の地方都市などでは、車に向かってわざとぶつかり、賠償を請求する違法行為が頻発しているという。

 微信にはこの事件に関する非常に多くの文章が掲載されたが、このうちの1つは、スウェーデンに住む中国人の次のような話を伝えている。
(1)このホテルは午後3時がチェックインなのに、曾一家は深夜に到着し、ホテル側が満室だと言ったことに不満を持ち、騒いだ。
(2)曾はロビーで休ませてほしいと言ったが、このホテルは若者向けの宿でスペースがないため断ったが曾は言うことを聞かず、ホテルは警察に通報した。
(3)警察にも従わず、大声で叫び、近所の住民にも影響を与えたので、警察はやむなく彼らを連れ去った。
 そして 「曾は自らの行いに問題があるのに、事実を誇張し、メディアをミスリードし、外交部門に厳しい対応を取らせた結果、中国人のメンツをつぶし、中国の観光客がますます歓迎されなくなった」

 別の中国人もラジオ・フリー・アジア( RFA )に 「現地の大部分の中国人は恥ずかしい思いをしている」 「本当に恥ずかしい。 中国人はどうしてみんなこうなのだろう。 こんな卑劣な振る舞いをするなんて、海外で暮らす中国人はこれからどうやって暮らしたらいいのか?」 という現地の中国人の発言を紹介。

 さらにスウェーデンに30年暮らし、法律関係の翻訳をしているという女性の次のような意見を伝えている。

 「スウェーデンのあらゆる商業施設は民間企業であり、経営者は顧客に立ち去るよう求める権利がある。 若者向けホテルでも、レストランでも、もしあなたが立ち去る理由があるのにそれを拒んだら、経営者の権益を侵害したことになる。 なぜならそこはその人の所有地だからで、警察に処理を任せることになる」

 中国のホテルでは確かに、宿泊客でもない一般人が夏場などロビーで涼んでいる姿を見かける。 同じような発想で一晩明かそうとしたのかもしれないが、異国に自分たちのやり方を持ち込もうとしたことに問題があった。


「スウェーデンだからよかったが ……」

 また微信に掲載された文章では、 「海外に行ったら現地の規則やマナーに従うべきで、自分の側にルール違反があるのに、反省もせず、 『中国人を侮辱した』 などと騒ぎ、泣きわめくのは、まさに巨嬰症であり、国に恥を持ち帰るものだ。 今回曾一家は運が良かった、北欧国家だったから 『心が傷つけられた』 程度ですんだが、もしビザが免除される 『冒険の旅』 の国( アフリカなど )や 『戦闘的民族』 のロシアだったら、本当に墓場送りになっていたかもしれない」 という辛辣な批評もあった。

 米メディアによると、スウェーデンの検察当局は事件が報じられる以前の7日、警察官の行動に問題はなかったとして事件に対する調査を終了したと発表。 「( 顧客が )秩序を乱す行為をしたことへの通常の対応だ」 と現地紙にコメントしたという。

 「当たり屋と泣きわめき、相次ぐ嘘! 中国人のメンツは彼らによってスウェーデンで台無しになった!」 という文章は、 「曾一家は中国国内の資質の低さを集大成した」 として高速鉄道の事件を引用しながら、次のように厳しく指摘している。

 「第1に、自分は弱者だから理があるともっともらしい主張をして、他人の利益を犠牲にした。 こうした人は、自分が金を出せば解決するコストを、常に他人に転嫁しようとする」

 「第2に、一旦ルールが自分に不利になるや、すぐに駄々をこねて大声で騒ぎ、当たり屋をやって金品をゆすろうとする。 高速鉄道で他人の席を占拠した男も、発車の時刻なのに夫がまだ来ないとドアにしがみついて発車を遅らせた女教師( 今年1月に安徽省で起きた事件 )たちもそうで、騒げば得をすると考えている」

 「第3に、民衆の愛国の感情を利用し、いざこざを起こす。 1人の中国人が海外で劣悪な印象を与えれば、他の多くの中国人がその埋め合わせをさせられる。 普通の人々の愛国の思いを台無しにし、同胞の国際的なイメージを深刻に傷つけた」


あおったメディアにも厳しい批判

 今回の事件ではさらに、曾一家の言い分だけで事件を一方的に報じ、前述したような読者の憤激を買ったとして、環球時報への批判も強まった。

 「本来はルールを守らない客の個人的な問題だったのに、国と国の問題へと騒ぎを大きくした」 「事実に基づかない主観的な報道で、ポピュリズムをあおった」 「中国にこのようなメディアがあることは中国にとって災難」 ―― ネットではこのような批判があったという。

 中国青年報のコラムニスト、曹林も事件が報じられた直後の16日、 「憎しみ扇動するのは効果がない」 との文章を発表。

 「ニュース業界のプロとしての自分の信条は、感情が激烈な情報源ほど、疑ってかかるべきだということだ」 と述べ、この報道には次のような問題があると指摘した。

 曹は以前東京や北京で会って話をしたことがあるが、環球時報をたびたび批判するなど、政府系メディアの中では理性的なジャーナリストだ。

 「(1)情報源が単一で、一方的な言い分であり、スウェーデンのホテルや警察の見解による裏付けも反証もなく、現地の報道も引用していない。 (2)常識に合わない。 自分は全く無実で、相手が悪魔のように言う二項対立的な叙述には警戒すべきだ。 一体どのような原因があり、どのような誤解があったのか、なぜ警察がこれほど道理に合わないことをしたのか、重要な事実が隠されているのではないか。 (3)あまりにも感情的で、事実が少ない、怒りに任せて訴えたようで、客観的な叙述がない」

 そして環球時報の報道に対しても、 「当事者の側に立って報道するのは、正常なことだが、プロとしての精神がなければならず、ニュースを 『ネットの書き込み』 のレベルにしてはならない。 メディアの役割とは事件全体の真相を伝え、調査を尽くした客観的事実によって世論の圧力を形成し、問題を解決することであって、義憤にかられて権利擁護をすることではない、それは弁護士がやることだ。 メディアの社会的な役割は客観的報道により事実の非対称性( 一方的であること )をなくし、大衆に十分な情報を提供し、理知的な判断をできるよう手助けすることだ」 などと指摘した。

 そしてこのグローバルなネット時代に、一方的な情報で世論の感情をあおるやり方はもはや効果がなく、真相が明らかになった時に世論をあおったメディアは非常に苦しい立場に陥るのだ、としている。 曹のこのような指摘は、西側のジャーナリズムにも通じる考え方で、全く正しいと思う。

 微信に掲載された文章によればその後、曾が一部の事実を隠していたと認めた。

 具体的には当初ホテル側は曾一家に協力的で、ホテルのロビーで休憩することに同意し、BGMの音量を下げるなどしたが、曾がホテルの外にいた中国人留学生を自称する若い女性を連れてきて、彼女も一緒に休ませてほしいと言ったところホテル側が拒否、トラブルに発展したことが明らかになった。

 さらにこの女性は曾の妻で、曾はもともと4人で旅行したのだが、ホテル側には3人で宿泊するとごまかし、後から妻をこっそり部屋に入れようとしたが、ホテル側に見破られたことでトラブルになったという

 また曾は中国企業のナイジェリア現地法人の責任者だといった情報も流れているが、確認はできていない。


中国政府もトーンダウン

 事件を受け、中国の外交部門は14日、スウェーデンに対し 「驚きと怒りを覚える」 「スウェーデン警察による、中国国民の生命と基本的人権を侵害する行為を厳しく非難する」 「スウェーデンに対し、当事者である中国国民が求めている処罰、謝罪、賠償などの要求に応じるよう求める」 と非常に厳しい口調で申し入れた。

 ところがスウェーデン側の報道により事実が明らかになった17日には 「大使館と外務省はスウェーデン側に申し入れ、事件を調査し、当事者の合理的な要求に答えるよう求めた」 と急激にトーンダウンした。

 海外メディアは、スウェーデン国籍で中国政府を批判する書籍を販売していた香港の書店関係者、桂民海氏が中国当局に拘束されたことで、スウェーデン政府が中国を人権侵害と批判していることや、中国政府が 「チベット独立勢力」 とみなすチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世がこのほどスウェーデンを訪問したことへ不快感を強めていたことが背景にあったとみている。

 いい加減なニュースに便乗して批判をしたため、引っ込みがつかなくなった形だ。 中国国際放送( 北京放送 )の日本語サイトには 「中国人観光客を荒々しく排除 スウェーデン警察の人権意識は何処に」 という日本語の評論が掲載されているが、事実関係が分かった今は取り下げたほうがいいと思う。


巨嬰心理から脱却を

 

 微信の評論では次のような指摘もあった。 「高速鉄道での相次ぐ乗客トラブルは、個人の資質の問題ではなく、スウェーデンの警察のような現場で法律を執行する人がいなかったことが理由だ。 ごろつきや無頼が横行する時、それは個人の資質の問題ではなく、社会のルールや法律が彼らにとって形だけのものになっているのだ。 もし居座った男女の前に、体格ががっしりしたスウェーデンの警察が現れ、規則を守らなければそれ相応の措置を取ると言ったら、彼らは作り笑いをして自分たちの席に戻っただろう」

 「巨嬰症」 への最大の対策は、きちんとしたルールを示し、ゴネ得は効かないということを分からせ、ルールを強制的に守らせることだという指摘は、こうした問題が頻発する中では確かにその通りなのかもしれない。 中国の鉄道当局がとった罰金や180日間の乗車禁止などの処分も、今後同様の事件の再発を防ぐために適切だと考える。

 ネットでは、 「高速鉄道に居座った2人が結婚して、スウェーデンに旅行するのが、ネット市民の最大の願い」 といったきついジョークが流れたが、日本の新幹線やホテルではこのようなトラブルを起こしてほしくないものだ。

 一度は沈静化するようにみえた今回のスウェーデンでの問題だが、同国のテレビ番組が事件を受け、 『中国の観光客を歓迎しますが、路上で排泄をしないでください』 と揶揄する内容を放送したことで、再びメディアや外交当局が猛烈に抗議するなど、しばらく余波が続きそうだ。

 こうしたトラブルへどのような対応を取るべきか、中国人観光客が激増する日本の業界にも1つの警鐘となったと言えるだろう。





( 2018.09.26 )
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 「私たちは歴史的建造物でおしっこしません。 大便もです( 禁止大便 )。 スウェーデンではトイレに行きます」

 スウェーデンで放送されたテレビ番組をめぐり、中国が抗議する事態が起こっている。 問題となっているのは、スウェーデンの国営テレビで21日に放送された番組。 中国外務省はスウェーデンの国営放送に 「中国を侮辱する内容の番組を放送した」 と抗議の意を示した。

 その発端は2日、中国人観光客3人がスウェーデンのホテルから警察に追い出された時の映像。 3人はチェックイン12時間前の午前2時にホテルを訪れたがチェックインを断られ、ロビーで寝泊まりしようとしたところホテル側が呼んだ警察に連れ出されたという。 映像には、 「助けてー」 「これは殺人だ、殺人だ、殺人だぞ」 と泣き叫ぶ中国人観光客の姿も。




 この騒動について、スウェーデンの国営テレビが放送した中国人観光客についてのパロディ番組には、 「もし道端で犬と一緒にいるところを見たら、それは買ったばかりのランチではありません」 「中国の皆様がスウェーデンに来ることを熱烈歓迎します。 ただし、態度が悪ければ皆さんのおしりを叩きます」 「スウェーデンではご飯を食べながらおしっこをしません」 などのナレーションもあり、中国外務省は 「差別と偏見に満ち、非常に挑発的だ」 と非難している。

 スウェーデンでこのような放送が行われた背景には何があるのか。 過去にスウェーデンで現地取材を行っているジャーナリストの増田ユリヤ氏は、違う文化を持つ人への違和感が募っていたと指摘する。

 「日本人にとっては、スウェーデンや北欧の国は移民や難民に寛容な国というイメージがあると思う。 今から3年前、大量の難民がヨーロッパに押し寄せて、普段の生活を乱されることが非常に増えてきた。 中国も経済状況が良くなって、移民や難民でなくても海外旅行に行く人が増えた。 寛容さがだんだん失われてきて、自分たちと違う行動を取ったりマナー違反の人が目立ったりするようになってきて、そうした人への嫌悪感を表に出して言うようになってきた」

 また、嫌悪感が全面に出されるようになったのにはあるきっかけがあったという。

 「トランプ大統領の誕生をきっかけに、どこの国でも 『自分の国が一番だと言っていいんだ』 という風潮が強くなってきている。 今月9日のスウェーデンの選挙でも、反移民難民を掲げている極右政党、ネオナチの流れを汲む政党が非常に議席を伸ばした( 12.9%→約18% )。 他者を受け入れたくないという気持ちが、自分たちの生活を脅かされる、自分たちの安心安全が保障されないというところから不満として出てきて、選挙の結果につながったところはある」

 日本でいうNHKのようなテレビがこのような放送をしたことに、歴史学者で東京大学史料編纂所の本郷和人教授は 「これはジョークの域を超えていてそりゃ中国の人は怒る。 でも午前2時に行く中国人観光客も悪くて、スウェーデンの人から言わせれば 『我慢の限界』 ということなんだろう」 と推測。 一方で、日本の 「刺青」 の問題を引き合いに、 「外国の方からしたらファッションの一部でやっているものを、反社会的勢力だと温泉に入れないのは問題になる。 中国は大声で話す方が多いけど、それも文化というものがあってのこと。 日本も何十年か前の先祖は世界でひんしゅくを買っていたこともあるし、文化の違いをお互いに思いやらないといけない」 と他人事ではない点を指摘した。





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 スウェーデンでは21日、同国を訪れる中国人を風刺する時事番組のパロディーが放送された。 番組中では中国人に対する 「大小便禁止」 の標識も放送された。
 中国の駐スウェーデン大使館は22日、現地で21日夜に放送されたテレビ番組で中国と中国人を侮辱攻撃する内容があったとして、テレビ局に対して強烈な抗議を行ったと発表した。 大使館は、番組は中国と中国系の住民に対する憎しみと対立を公然とあおったなどと主張した。 同番組の一部は動画サイトのユーチューブに投稿された。

 大使館は、番組中で紹介された中国地図にチベットと台湾がなかったことも問題視し、 「中国の主権と領土の完全性を著しく侵害した。 関連番組は人類の道徳の最低ラインを超え、人の良知に対する重大な挑戦であり、メディアの職業道徳に対する重大な違反だ」 と表明。

 さらに、 「番組責任者からは、これは娯楽番組だとの説明を受けたが、われわれは絶対に受け入れない」 として、納得できる謝罪などがなければ 「さらに一歩進んで措置をとる権利を留保する」 と説明した。

 問題の発端は、スウェーデンのホテルを中国人客3人が予約より前に到着し、ロビーで待つことを求めたがホテル側が受け入れられず、警察に通報して3人を強制的に排除したことだった。

 21日放送の問題の番組は、時事問題を扱う番組のパロディーだ。 問題の発端になった中国人がホテルから強制排除された様子を撮影した動画を放送する。 警察官2人に両手両足を持ち上げられた中国人が 「This is killing( これは殺人だ )」 と何度も叫ぶシーンでは、キャスター役がその、口真似をする。 そのシーンには笑い声がかぶせられる。

 同番組は、現地リポートに見立てたコーナーも放送した。 女性リポーターが中国人に話しかける設定で、音声は中国語で現地語は字幕で出る。 女性リポーター役は、中国人がスウェーデンを訪れることを歓迎すると述べた上で、 「注意するようお勧め」 することがあると発言。

 リポーター役はまず、 「歴史的建物の周囲で大便をしてはいけません」 と述べる。 画面には、 「大便禁止」 のパロディー標識が写る。 リポーター役は次に 「それから、トイレで手に少し大便がついたりしたら、私たちスウェーデン人は手を洗います」 と説明。 暗に 「中国人はそのような場合でも、手を洗わない」 と言っているようだ。
英国「バ-バリー」店頭で中国人が排泄!

 リポーター役はさらに、 「あなたが犬を散歩に連れて出ている人を見つけたとしても、彼は昼ごはんを買ってきたのではありません」 と発言。 中国の一部に犬を食べる習慣があることを茶化したとみられる。

 リポーター役は次に 「私たちはナイフとフォークを使って食事をします。 そして食事中には大便をしません」 と述べた上で、 「私たちとあなた方には、それ以外にも違いがあります」 と述べた上で、 「あなたたち中国人は人種差別主義者ですが、スウェーデンでは、黒人も大人もアラブ人も同性愛者も暮らしています。 なぜならスウェーデン人は、ひとりひとりの平等な権利という原則を支持しているからです。 でも、この原則はあなたたち中国人には適用されません。 中国の皆さんがスウェーデンに遊びに来ることを熱烈に歓迎します。 でも、あなたたちのお行儀が悪ければ、お尻を叩きますからね」 と述べた。

 なお、「現地リポート」に見立てた部分では、画面の左上に 「瑞典官方頻率( スウェーデン公式チャンネル )」 の文字が示される。

 興味深いのは上記動画に対して寄せられた中国語のコメントだ。 台湾や香港で使われる旧字体の書き込みでは 「民主台湾には礼・義・廉・恥がある。 独裁中国は逆に偷( 盗み )・拐( 誘拐や持ち逃げ )・搶( 強奪 )・騙がある」 といった、中国を批判する意見が多い。

 簡体字( 中国大陸部で使われる略字体 )の書き込みには番組に対する怒りの示すものが多いが、 「人とは、自分自身を貶めた後に、人に貶められるものだ」 と指摘した上で、 「中国人は長年の間、カネを持っているだけで教養がまったくなかった」 と主張し、 「外国でも痰を吐き散らしたり公共の場所で子供に大小便をさせたりした」 と、 「中国人側に問題があったから侮蔑されるようになった」 との論を展開したコメントもある。

 ユーチューブは中国国内では通常の方法では利用できないので、簡体字のコメントは中国国外に住む大陸出身者の書き込みである可能性が比較的高い。





( 2018.10.05 )





スウェーデンと中国の関係は予断を許さない状況が続いている
 9月2日早朝にスウェーデンの首都・ストックホルムで発生した中国人親子3人による宿泊騒動は、親子が駐スウェーデン中国大使館へスウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと訴えて出たことで事件になり、中国とスウェーデンの外交問題に発展した。

 中国人親子に非があることは明白なのに、駐スウェーデン中国大使館だけでなく、本国の中国政府 “外交部” までが、スウェーデン政府に拳を振り上げて謝罪を要求するその態度に、スウェーデン国民は中国の傲慢さに憤りを禁じ得なかった そうした中、スウェーデン国民の気持ちを代弁して、スウェーデンテレビ( SVT )の娯楽番組 「スウェーデン・ニュース( Svenska nyheter )」 で、コメディアンで作家の司会者ジェスパー・ロンダール( Jesper Ronndahl )が、9月21日の同番組で皮肉を込めて中国に対する強烈な一発を見舞ったのだった。

 それはテレビ画面に映しだされた 「尊敬する中国人観光客を歓迎する」 という題名の映像であった。 映像の中で女性アナウンサーが 「文化の衝突を避けるために提案する」 と前置きした上で、 「歴史的建造物に小便をするな」 と言うと、画面には中国語で書かれた 「大便禁止」 の標識を映し出され、これに続いて画面に食卓の映像が映し出され、アナウンサーが 「スウェーデン人はトイレの後には必ず手を洗う」 と述べると、又しても例の 「大便禁止」 の標識が映し出された。 さらに、画面に犬に散歩をさせている映像が流れ、アナウンサーが 「これは昼食を取る目的ではありません」 と説明し、犬肉を食べる風習を持つ中国人に当て付けた。

 続いてアナウンサーは、 「中国人は人種主義者だ」 と言明し、 「スウェーデンは人々の権利が守られた多人種国家であり、人々がどこから来ようとも問題ないが、中国から来る人たちはその限りではない」 と述べた。 そして、最後にアナウンサーは子供に言い聞かせる口調で 「中国人観光客のスウェーデン訪問を歓迎しますが、もしも貴方たちの態度が良くなければ、我々は貴方たちのお尻をペンペンしますよ」 と述べたが、この時画面には宿泊騒動の当事者である中国人親子が路上で泣きわめく映像が流された。

 この 「スウェーデン・ニュース」 の映像は、SVTから中国国内の動画サイト “優酷( YOUKU )” へ投稿されたので、同番組の内容は広く中国国民に知れ渡った。 しかし、中国国内で放映が許されたのは、中国側に都合良く編集された映像に、都合よく翻訳した字幕を付けたものだった。

 SVTはスウェーデンの国営テレビである。 そのSVTがその番組 「スウェーデン・ニュース」 の中で、中国および中国人を揶揄したことを知った中国政府はすかさずスウェーデン政府に噛みつき、SVTに謝罪させるよう強く要求した。 また、当該番組で映しだされた中国の地図に、台湾とチベットの一部が含まれていなかったのは故意としか思えず、極めて遺憾であると表明した。 しかし、 「言論の自由」 を国是とするスウェーデンは中国と異なる。 たとえ大国の中国が脅そうとも、これに屈して国是を曲げることはしない。 恐らく、スウェーデン政府はSVTに中国政府の意向を伝えただけで、謝罪要求にどう対応するかはSVTの判断に任せたものと思われる。

 SVTの公式サイトは、9月23日付で、事件は誤解であり、中国側が見た 「スウェーデン・ニュース」 の内容は、字幕の翻訳が中国側に都合の良い部分だけが使われたものと思われると反論した。 また、9月25日に 「スウェーデン・ニュース」 のプロデューサーであるトーマス・ホール( Thomas Hall )は、SVT公式サイトに声明を発表し、番組が当初表現したかった意図が失われたことを認め、同時に 「我々はスウェーデンの問題を浮き彫りにしようと考えていた」 と述べ、 「番組を動画サイト “優酷” に投稿した目的は、中国国民の注意を促すためだったが、我々の表現方法に欠陥があったことはお詫びする」 と表明した。




 9月28日に放映された 「スウェーデン・ニュース」 の中で、司会者のロンダールは、先ず自分が中国からのネット暴力に悩まされていると自嘲気味に述べた上で、先週の番組で心に傷を負った数多くの中国国民に謝罪すると表明した。 但し、彼はこの謝罪は中国国民に向けたものであって、中国政府に向けたものではないと強調した。 そして、香港 “銅鑼湾書店事件” の被害者でスウェーデン国籍の “桂民海” が逮捕後にテレビ画面を通じて懺悔させられたことを例に取り、中国政府が言論の自由を認めていないことを非難した。

 さらにロンダールは、先週の番組で中国の地図に台湾とチベットの一部が含まれていなかったことは謝罪せず、当日の番組では中国国旗の “五星紅旗” で世界地図を覆って、中国政府に反抗する姿勢を見せていた。

 ロンダールの謝罪は改めて中国政府を激怒させた。 翌29日、ロンダールの挑発に応じる形で記者会見した駐スウェーデン中国大使館のスポークスマンは、 「スウェーデン・ニュース」 の謝罪は、極めて不真面目かつ不誠実であり、中国政府に悪態をつき、その魂胆は腹黒いと高飛車に言い放った。

 今後のスウェーデンと中国の関係がどうなるのかは予断を許さないが、少なくともスウェーデン政府が国是である言論の自由を曲げてまでも中国の言いなりに謝罪することはないのではないだろうか。 「スウェーデン・ニュース」 が番組の中で中国人旅行者に対し侮蔑的な対応を示したのは、非常識極まりない中国人親子3人が引き起こした宿泊騒動に起因するものであり、彼ら親子が自分たちの所業を棚に上げ、スウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと駐スウェーデン大使館に訴え、それを鵜呑みにした駐スウェーデン中国大使ならびに中国外交部がスウェーデン政府に抗議したことに起因する。

 誰が考えても、これは言いがかりであり、今や世界第2の経済大国になった中国としては余りにも大人気ない対応と言える。 スウェーデンがチベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世を受け入れる国であり、上述した香港・銅鑼湾書店事件で不当逮捕されて、未だ捕らわれの身である桂民海の早期釈放を要求している国であっても、中国は大国としての矜持を示すべきだった。 しかも、 「スウェーデン・ニュース」 が、中国人観光客を揶揄した内容は、世界各国から指摘され、中国政府自身が十分認識している民度の低さに起因するものなのである。




 2006年10月1日、中国共産党中央委員会傘下の “中央精神文明建設委員会辦公室( 略称:「中央文明弁公室」 )” と中国政府 “国家旅游局( 国家観光局 )” は、 『中国公民海外旅行文明行為指南』 と 『中国公民国内旅行文明行為公約』 を発表した。 これは中国人観光客のマナーが余りにも悪く、海外のみならず国内からも非難の声が上がるので、対応に苦慮して取りまとめたものだった。 このうち、海外旅行客向けの 『中国公民海外旅行文明行為指南』 を見ると、以下の内容が記載されている。
中国公民は、海外旅行では、礼儀を重んじ、尊厳を保つ。
衛生に注意し、環境を守り、身分や場所に相応しい衣服を身に付け、ケンカをしない。
老人を敬い、子供を愛(いつく)しみ、女性を優先し、礼儀正しく譲り合う。
出かけて事をするなら、時間厳守。 列を作って秩序を守り、立ち入り禁止の線を越えない。
宿泊は礼節をわきまえ、備品を壊さない。 食事は静かに、浪費はしない。
健康な娯楽は心身に有益。 賭博や風俗は断固拒否する。
観光をするなら、規則を厳守。 習俗のタブーは犯さない。
判断がつかないことに出会ったら、大使館や領事館に問い合わせる。
公衆道徳を守って海外旅行に行けば、道中は安全。
 なお、同時期に発行された 『“文明旅游出行指南( 文明観光旅行案内 )”』 には、イラスト付きで細かい説明が書かれている。 たとえば、 「痰やガムを所かまわず吐くな、ゴミを捨てるな、大小便をどこにでもするな。 他人の前で鼻をほじる、歯をせせる、咳をする、くしゃみをするなどの失礼はするな」 とあり、別の項には 「果物の皮、紙屑、雑物などの廃棄物はゴミ箱に入れ、そこらに捨てるな。 ゴミの分別投棄には注意を払え」 と書かれている。 まさに手取り足取りであるが、それほどに2006年当時の庶民は民度が低かったと言える。




 上述の 『中国公民海外旅行文明行為指南』 は、2015年6月4日付で駐日本中国大使館の公式サイトに掲載されているから、10年間が経過した後も依然として有効な指南なのであろう。 2016年5月7日付の 「人民日報」 海外版には、 “中国旅游研究院” 院長の “戴斌” が 「我が国の海外旅行は過去10年間に急増し、昨年(2015年)の出国旅客は延べ1.2億人に達したが、これだけ海外旅行客がいれば、確率から言っても、一部の旅行客による “不文明的行為( 公衆道徳をわきまえない行為 )” の発生を防ぐことは困難である」 と述べている。

 最近、中国国内で実施された 「中国人の海外旅行で “不文明的行為” と考えられるのは何か」 というネット調査では、
 1)文化財や文化遺産への落書き
 2)所かまわぬゴミ捨て
 3)芝生の踏み荒らしおよび草花の乱採
 4)大声でのケンカや電話
 5)秩序を守らず行列への割り込み
 6)どこにでも痰を吐く
 7)所かまわず大小便
 8)団体旅行で時間の観念なし
 9)ホテルのタオルで靴を拭く
10)地元の風俗習慣を尊重しない
 などが上位にランクされたという。

 これらは常識ある中国人が恥ずかしいと考える、中国人の海外旅行客による “不文明的行為” であり、 『中国公民海外旅行文明行為指南』 の発表から12年が経過した現在も大きな改善がなされていないことを意味している。

 中国語のニュースサイトで 「大便」、 「小便」 を検索すると、多数の記事が見つかるが、2016年以降の例を挙げると以下の通り。

2016年8月:ロシアのサンクトペテルブルグにあるエカテリーナ宮殿で、歴史的価値のある貴重な床板に中国人の母親が子供に小便をさせた。 これは歴史上初めての出来事だった。
2016年11月:オーストラリアのシドニーにある王室植物園で、2人の中国人男性が小便をして警官に見つかり、逃げようとして抵抗した末に逮捕された。 2人は66歳と41歳で、浙江省“義烏市(ぎうし)から団体旅行でオーストラリアを訪れていた。
2018年3月:マレーシアのクアラルンプール市内の Phileo Damansara 駅に附属するイスラム教の祈祷室内にある足洗場で、中国人男性2人が小便をして問題になった。 2人は 「ここはトイレではない」 という地元民の説明を無視して小便をしたのだという。
2018年7月:香港の尖沙咀(チムサーチョイ)にある地下鉄駅のホールで、中国から来た10~12歳の少年5人と引率者の男性1人の団体のうちの少年1人が人目もはばからず大便をした。 周囲の人が文句を言うと、 「彼は急な下痢でどうしようもなかった」 と引率者は答えたが、彼らは誰一人も大便の後始末をしようとしなかった。 そこで引率者に大便を処理するよう言うと、 「地下鉄の清掃係にやらせれば良く、我々が処理すると、彼らが失業する」 と真顔で答えた。
2018年9月:ロシアのモスクワにあるクレムリン宮殿内の 「生神女福音大聖堂」 で中国人観光客が小便をした。 ガイドがトイレの場所を教えなかったことが原因とされるが、前代未聞の出来事にクレムリン宮殿はガイドに対する規制を強化するという。
2018年9月:ガーナ共和国の花園で中国人の男が大便をして現地人に見つかり、ショベルで処理するよう要求を受けた。 「お前の国では所かまわず大便をするのか」 と尋ねられた中国人は、言葉に詰まり、ひたすら謝るだけだった。



 中国政府は旅行中に “不文明的行為” を行った人物を罰則としてブラックリストに載せ、一定期間その旅行を制限する 『観光客不文明行為記録管理暫定弁法』 を2015年5月に施行した。 これは見せしめを示すことで、中国国民に自覚を促そうとするものである。 現在までに何人がブラックリストに載っているかは分からないが、2017年6月の時点で29人という報道があった。 2018年9月末にも3人がブラックリストに新規登録されたが、このうちの2人は、マレーシアのボルネオ島に所在するサバ州の州都コタキナバルにあるイスラム教のモスク前でセクシーダンスを踊った不届き者で、37歳と25歳の中国人女性であった。

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 上述した10項目の 「不文明的行為」 が中国人の海外旅行者から無くなるのはいつの日だろうか。 中国人の 「自分さえ良ければ、他人が何と言おうと、我関せず」 という性質から考えて、中国人の海外旅行者から 「不文明的行為」 を消滅させるのは困難と思える。 義務教育を通じて子供たちに世界に共通する常識と道徳を学ばせ、国民全体の民度を引き上げることが先決ではなかろうか。





( 2018.10.11 )

  



中国は事実から逸脱した主張で不信感を深めただけでなく
世界的な評判まで落としてしまった
 9月15日、人民日報系のタブロイド紙・環球時報に「中国人観光客がスウェーデン警察に乱暴に取り扱われ、家族3人は墓場に捨てられた」という記事が載った。

 記事によると、スウェーデンに旅行に行った中国人の親子3人は予定より早く深夜に首都ストックホルムのホテルに着いたのでロビーで休もうとしたが、ホテル側に拒否された上に警察に乱暴に引っ張り出され、墓場に連れていかれ放置された。 両親はスウェーデン警察に殴られ、父は心臓病の発作も起こした ...... と、曽( ツォン )姓の息子が駐スウェーデン中国大使館に通報した。

 大使館は警察の乱暴さに驚き怒り、スウェーデン政府に調査と謝罪を要求すると表明した。

 これは明らかな差別事件だ! 怒った中国人たちの罵倒が駐中国スウェーデン大使館のホームページやSNSに殺到した。

 ただし、その後、中国人の怒りの矛先は180度変わって親子3人に向けられた。 ホテル側が態度を一変させたのは、別のホテルを探しに街に出た曽が、街頭で出会った若い中国人女性を 「夜1人で歩くのは危ないから」 と、勝手にロビーに連れてきたからで、曽ともめて脅されたと感じたホテル側が、警察を呼んで一家を追い出したことが分かったためだ。

 スウェーデン政府が調査した結果、警察側に過失や違法行為、暴力がなかったことも判明。 さらに現場の映像がネットに流出すると、中国の人々は 「これは完全に当たり屋じゃないか!」 とあ然とした。 警察に運び出された曽が、わざと自ら地面に倒れて大声で 「殺人だ!」 と叫んでいた。

 中国大使館や中国の官製メディアが曽の言い分をうのみにして外交事件に発展させたのは、おそらくチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の先日のスウェーデン訪問や、中国の人権問題をよく指摘するスウェーデン政府への報復だろう。

 事件後、当たり屋を意味する 「Pengci( ポンツー )」 という中国語のスラングが英語で世界に知られるようになり、スウェーデンのテレビ局は中国人をお笑い草にする番組まで作った。 民意をあおる目的の、事実から逸脱した記事で自国民への不信感を深めただけでなく、世界的な評判まで落としてしまった。 「過剰反応」 した中国にとって高い代償だ。


 SVT便便