( 2013.03.11 )

 

 3月8日、米華字ニュースサイト・多維新聞は記事 「 中国富二代出没注意 」 を掲載した。 昨年、米ワシントン州で起きた交通事故は、中国富裕層子弟のトンデモぶりを象徴する事件となった。

 中国大富豪の子弟による海外留学が注目を集めている。 単に大金持ちだからというわけではない。 そのあまりにも礼儀知らず、常識知らずの行動が海外の人々を驚かせている。

 その典型となったのが19歳の中国人留学生・徐義淳シュー・イーチュンの事件だ。 2012年11月、米ワシントン州の住宅街で無免許運転。 25歳の米国人女性が運転する車と衝突し死亡させた。

 この交通事故をシアトル・タイムズが報道し、注目を集めた。 第一に制限時速30マイル( 48キロ )の住宅街で70マイル( 時速112キロ )ものスピードを出し、一時停止も守らなかったこと。 第二にその金持ちぶり。 米国に来るや否やキャッシュでベンツを購入したという。 第三に留学したばかりのこの学生がたびたびパーティーに出没し、これまで4人もの女性とのドライブを楽しんでいたこと。

 そして何より人々を驚かせたのがこの少年が 「 中国式解決 」 を身に付けていたことだ。 事故後、徐は警官に542ドル( 約4万3500円 )を渡し、買収しようとしたのだった。 この徐の行動に怒った裁判所は200万ドル( 約1億6000万円 )という高額の保釈金を要求した。 だが驚いたことに今年3月、徐の母親が渡米し、いともたやすく200万ドルを支払ったという。

 徐の事件は、これまでの中国大富豪子弟の留学がすでに海外で問題を引き起こしていることを象徴している。 彼らが中国独特の価値観を持ち込み、好き勝手に振る舞うことに外国人は不安を感じているのだ。 ある中国人はこう皮肉っている。 中国富裕層の留学、移民が多い国には 「 中国富二代( 富裕層の子弟 )出没注意 」 と書いた立て札を立てるべきだ、と。





<中国の気になる話>

   = 社会のゆがみ映し出す 江蘇省南京市


写真は福建省泉州市の高級住宅街
 10年8月、江蘇省南京市に 「 2歳の大富豪 」 が誕生、注目を集めている。

 「 2歳の大富豪 」 の座を射止めたのは、[女丑][女丑](ニウニウ)ちゃん。 今年9月から託児所に通う2歳児だ。 しかし驚くなかれ。 すでに300平方メートルの一軒家を所有している。 その価値は400万元( 約4970万円 )近いとか。 この家、ニウニウちゃんの祖父母が将来、持参金にしてほしいと買ってくれたもの。 後見人がいれば、未成年の不動産購入も合法だという。

 ニウニウちゃん一家はどんな大富豪かと思いきや、びっくりすることに祖父母・両親全員がサラリーマンだとか。 ただし勤務先は独占企業( 銀行、電力、ガスなど法的に独占が認められた企業。 他業種を比べ著しく給与が高く、格差の要因と批判されている )。 不動産投資に積極的で、ニウニウちゃんの家が一家で5件目の不動産資産になるのだという。

 「 2歳の大富豪 」 誕生のニュースに、ネットでは激しい批判が噴出した。 ありえない高給を得ている独占企業従業員の問題があらためてクローズアップされた格好だ。 また現在は、2軒目以降の不動産購入には住宅ローンの頭金比率と利率を上げる不動産バブル抑制策が導入されているが、2歳児を購入者とする抜け道を使ったのではとの疑惑も浮上している。 「 2歳の大富豪 」 誕生のニュースはうらやましいでは済まされない、社会のゆがみを映し出す問題となった。





( 2013.08.10 )

  「

 中国人民解放軍に所属する国民的歌手の “不肖の息子” による犯罪が、中国社会を揺るがしている。 急速な経済発展で貧富の差が拡大するなか、富裕層の子弟 「 富二代 」 たちの傍若無人ぶりを示す象徴的な事件となり、世間の怒りを増幅させ続けているのだ。


「110番してみろ」

 首都北京市の中でも、北京大や清華大など有名大学が集まる文教エリアの海淀区。 ここが、ふたつの犯罪の舞台となった。

 国営新華社通信が運営するニュースサイト新華網などの報道を総合すると、一連の騒動の発端となった傷害事件の概要はこうだ。

 2011年9月6日午後9時ごろ、住宅団地に住む夫婦と子供が乗った乗用車が団地入り口で減速したところ、後続の高級外車BMWとアウディを運転していた若者2人と口論になった。

 若者らは夫婦を追いかけて殴るなどし、暴行は3分間におよんだ。 目撃者は 「 若者たちはいずれも身長約180センチと大柄で、小柄な夫婦は一方的に殴られっぱなしだった 」 と記者の取材に答えている。 車の後部座席にいた夫婦の子供は、恐怖のため泣き叫んでいたという。

 「110番できるもんなら、やってみろ」

 犯人はこう叫びながら暴行を続けた。

 しかし騒ぎに気付いた団地の住民たちは、若者たちが運転していた高級車を取り囲んだ。 バックで逃げようとしたアウディの運転手は 「 2000元( 約3万2千円 )やるから道を空けろ 」 とどなったが、住民は応じない。 2人は車を捨てて近くの草むらに隠れたが、通報を受けて駆けつけた警察官たちに身柄を確保された。

 捜査の結果、BMWに乗っていたのは15歳の少年で、国民的歌手である李双江氏の子であることが判明した。 少年は無免許で、車にはナンバープレートも付けておらず、フロントガラスにはなぜか 「 人民大会堂( 日本の国会議事堂に相当 ) 」 の停車証が置かれていた。 後部座席からは自動小銃のモデルガンも押収されている。

 一方、アウディの持ち主は山西省の企業経営者の子供で、ナンバーは偽造だったという。

 被害者の夫は額を9針、後頭部を2針縫う大けがだった。 この事件が広く報じられると、 「 富二代 」 たちの無軌道ぶりに、中国社会の怒りが沸騰した。


恵まれ過ぎた幼年期

 李双江氏は1971年に人民解放軍総政治部歌舞団に入団し、映画主題歌や革命歌をヒットさせるなど70~90年代に絶大な人気を集めた。 90年には27歳年下の若手歌手と再婚。 その後、歌謡界の大御所として、妻と息子の3人でテレビ番組のショーなどに頻繁に出演していた。

 李双江氏の子は人気子役さながら、4歳で北京オリンピックの誘致大使に就任。 幼いころから著名なピアノや書道の教師に師事し、たびたびコンクールで入賞するなど輝かしい幼年期を送っていた。


出所後まもなく ……

 傷害事件を起こした当時、少年は16歳未満だったために刑事処罰を免れ、 「 労働教養 」 と呼ばれる矯正施設に1年間入所した。 3ヵ月前倒しで出所したとの報道もある。

 ところが少年は出所後間もなく、再び世間を驚かせることになる。 強姦罪で逮捕されたのだ。

 事件が起きたのは今年2月17日。 北京の日本人留学生にもなじみの深い繁華街 「 五道口 」 のバーで酔いつぶれた女性をホテルに連れ込み、強姦したとして、少年ら5人が摘発された。

 この事件には欧米メディアも飛びついた。 李双江氏は軍で少将級の待遇を受けていることから、 「将軍の息子がレイプ容疑で逮捕」 などとセンセーショナルに報じられた。

 世間の耳目を集めるこの事件に対して、司法当局も慎重に捜査を進めた、検察が5人を起訴したのは逮捕から4ヵ月以上経過した7月8日。 「なぜこんな単純な事案にここまで時間がかかるのか」。 ネット上では、少年の他に、もっと “大物” の子弟が関与しているとのまことしやかな情報が広まった。

 また 「実は少年はすでに成人しており、未成年というのは罪を軽くするためのウソだ」 とのネットユーザーの声も、依然根強い。

 強姦事件の経過自体も詳細は報道されず、さまざまな憶測をよんでいたが、京華時報が8月7日付の記事で事件の詳細をリポートした。

 同紙によると今年2月17日、少年たちは五道口のバーの個室で酒を飲み、店側に接待係の女性を要求した。 当時呼ばれた接待係2人のうち1人が被害者の女性だった。 女性は広告会社に勤務しており、兼業状態だったが、この店との雇用関係はなく、客からのチップを収入にしていたという。

 女性が泥酔状態になった後、少年ら一行は店の男性マネジャーとともに外出し、近くのレストランへ。 マネジャーが帰宅したのち、少年ら5人は共謀して女性をホテルに無理やり連れ込み、女性を殴るなどして集団で暴行した。 一連の犯行は少年が主導的な役割を果たした ── と記事は結論付けている。


「たかが歌手の息子が ……」

 中国の刑法236条によれば、2人以上による輪姦罪は10年以上の有期懲役か無期懲役、死刑が科せられる。 新京報は北京の法曹関係者の談話として 「 おそらく無期懲役以上の刑にはならず、15年以内の有期懲役だろう 」 との見方を伝えた。 初公判の期日は未定だ。

 「 富二代 」 による一連の事件は中国社会の激しい反応を引き起こしたが、そこには屈折した意識も垣間見える。

 北京市に住む中国人の女子大学生は、 「たかが歌手の息子が、何をやっても許されるなんておかしい。 厳重に罰してほしい」 と憤る半面、 「もし本当の実力者の子弟による不祥事だったら、隠蔽されても仕方がない」 とも話す。

 中国の国内メディアは政府の統制を受けており、李氏の子による犯罪情報がここまで詳細に報道されているのは、政府公認とも言える。 さきの女子大生が言うように、政権中枢の真の実力者の子弟による犯罪であれば、徹底的に隠密に処理された可能性が高い。 少年は、沸騰する世論に対する一種のスケープゴートなのかもしれない。





( 2009.05.17 )

  


 15日、環球時報は、北京大学国際関係学院の孔寒冰教授の評論 「 なぜ 『 富は三代に及ばず 』 なのか? 中国にはない良好なセレブ文化 」 を掲載した。

 最近、杭州市で金持ちの子弟が車を暴走させて一般市民をひき殺した事件が起きた。 こうした問題は目新しいものではなく、今や 「 いい車に乗っている者 」 は手のつけられない金持ちの子弟だと敬遠する向きもあるほどだと孔教授は言う。 「いい車に乗っているやつは 『殺人免許』 も持っている。 あいつらは金も権力もコネもあるから、人を殺したってどうってことはないんだ」 などと言われているほどだ。

 誰かが金持ちになることは決して悪いことではない。 中国社会はそうして近年の発展を遂げてきた。 しかし金持ちになった後にも守るべき事があり、また社会に還元することが必要だが、中国にはそうした意識がない。 特に金持ちの子弟は両親が蓄えた資産を使うばかり。 まさに前近代で言われた 「 富は三代に及ばず( 裕福な一族も三世代で没落する ) 」 のようではないか、と孔教授は指摘している。

 問題は中国の金持ち、セレブにロールモデルがないこと。 裕福になるのはもちろんのこと、 その金を社会に還元し貧しい人を助けることを光栄と考える文化を築くべき。 また子どもたちにも成功者がいかにして貧しい暮らしから成功していったのかを教えるべきだと孔教授は提言した。