( 2013.02.17 )

 
  


 旧暦の正月にあたる 「春節」 前後になると、 つくづく中国とは 「無情で、とても嫌な国」 だと思い知る。 花火や爆竹に含まれ、 大気汚染につながる微小粒子状物質 「PM2.5」 をまき散らしたり、 隣国の国民の心情などお構いなしに 「東京大爆発」 などと題した商品を販売したり ……。 それらに隠れているが、 34億人以上が移動する春節の期間には、 スリや窃盗といった犯罪が横行する。 1年かけて家族のために貯めたお金が被害に遭う出稼ぎ労働者( 農民工 )も少なくない。 今月3日には、 中国人の道徳心や良心を疑うような、 あまりにひどい事件が起きた ……。



 事件は上海で起きた。

 地元紙の報道などによると、2年前に故郷に8歳の息子ら家族を残し、出稼ぎに来ていた農民工の男性( 30 )がバイクで銀行に向かっていた。 男性は同じく農民工の父親( 83 )とともに1年かけてためた生活費1万7600元( 約26万3千円 )分の札束を持っていた。

 男性は昼は宅配便、夜は食肉加工の仕事をしていた。 父親も清掃員として勤務。 生活費は2人でやっとの思いで貯めたお金だった。 今年の春節は2月10日で9日から15日までが連休。 その休みを前に、大事な札束を誤って落としてしまったのだ。

 2、3年分の生活費に相当するという札束はバラバラになって、風に舞い上がり路上に散乱。 すると付近からは通行人が次々と集まり、数十秒で札束が奪われたのだ。

 「 実家で新年を迎えるためのお金なんです 」

 すさまじい形相で紙幣を奪う通行人らに、男性はそう言いながら土下座して頼んだ。 しかし “盗人” の中には道路の真ん中に車を止め、降りて紙幣を奪う人もいたという。

 結局、拾ってくれたのは3人だけ。 返ってきた額もわずか約700元。 男性自身が約3千元をかき集め、その後、何人かが警察に届けたものの、約9800元がなくなった。

 いったい良心や道徳心はあるのだろうか? 救いなのは、この様子を撮影した映像がインターネットで流れて、金を奪った通行人らに対する批判が殺到し、男性に同情した地元住民や警察などから1万4千元余りの寄付が男性に寄せられたことだ。




 国営新華社通信によると、中国で 「 春運 」 と呼ばれる春節は今年、1月26日から3月6日までの40日間に過去最多の延べ34億700万人が鉄道や自動車、飛行機などを利用して移動する見通しだ。 主要都市の駅やバスターミナル、空港などでは春節の2週間以上前から、お土産物や、都市部で稼いだ給料などを持った農民工ら帰省客でごった返す。

 そうした人たちを狙う街頭での強盗やひったくり、スリなど犯罪も多発する。 ただ、こうした窃盗などの被害を乗り越えても、ふるさとへの道のりは遠い。

 鉄道については、乗車券を大量に買い占めるダフ屋対策として昨年1月から、購入の際、身分証明書を提示させるチケット実名制を導入。 インターネット予約もできるようにしたが、アクセスが殺到して障害が多発。 ネットでの販売を増やした分、駅での販売が減らされ、パソコンなどを使えない農民工らが窓口に何日並んでも乗車券が購入できないでいるという。

 さらに、チケットを入手したとしても苦難は続く。 長距離列車の車内は座席だけでなく、通路や車両連結部まで、少しでもスペースがあれば、寝転んだり、もたれかかったりする人ですし詰めの状態だ。

 昨年12月に全線( 北京-広州 )開通したばかりの高速鉄道でも1月30日、河南省信陽市でPM2.5を含んだ濃霧が原因で故障が発生。 上下計14本の列車に最大約1時間の遅れが出た。

 乗客の証言では、列車の外で、閃光せんこうを見たという。 有害濃霧に含まれる帯電微粒子によって電気系統が故障、火花などの強い光が出たとみられている。 2011年には衝突事故を起こした自慢の高速鉄道システムだけに、利用客の不安は高まっている。





春節に使う花火などを乗せたトラックの爆発で、橋桁が崩落した高速道路=2013年2月1日、中国河南省
 列車による移動を避け、車による移動も危ない。 渋滞のほか、事故も多発。 長距離バスなどが崖から転落する事故などが相次いでいるほか、手抜き工事などが原因で高速道路の橋桁が崩落する事故も起きた。

 甘粛省で2月1日、バスがカーブを曲がりきれず、谷に転落して出火。 乗客の大半が春節の連休を前に、故郷に戻る農民工とその家族で、18人が死亡、36人が負傷した。

 四川省でも同日、バスが横転して崖から100メートル下に転落。 11人が死亡。 さらに貴州省や広西チワン族自治区では2日に、バスや車が崖から転落、計19人が死亡、32人が負傷した。 貴州省の事故ではバスの定員19人に対して34人が乗っていたという。

 河南省では1日、高速道路上で、春節に使う花火や爆竹を乗せたトラックが爆発して、コンクリート製の橋桁が80メートルにわたって崩落。 車が巻き込まれ、少なくとも9人が死亡した。




 春節の帰省ラッシュの背景には、農村から都市への人口流入を厳しく制限する 「 戸口 」 と呼ばれる中国独特の戸籍制度がある。 国民は 「 都市戸籍 」 と 「 農村戸籍 」 に大きく分けられ、それぞれ戸籍がある出身地で、社会保障や教育などの公共サービスを受ける。

 だが、農村から都市へ出てきた農民工には都市戸籍がなく、都市の公営住宅に住めず、子供に公的な教育を受けさせることもできない。 このため、多くの農民工が子供らを故郷に残して都市へと出稼ぎに出て、都市と農村を 「 渡り鳥 」 のように行き来する。

 しかも農民工は工場や建設現場、食堂など不安定で低賃金の仕事にしか就けない。 恵まれた都市戸籍の住民との貧富の差。 昨年、暴徒化した反日デモは、こうした農民工らの不満のはけ口にされた。

 日本の商家でもかつて、住み込みの丁稚でっちが正月と盆の年に2度、親元へ戻る休暇 「 藪入り 」 という習慣があった。 落語や小説、新喜劇などの題材にもなっているが、中国ほど無情でも残酷でもない。

 「 春運 」 は中国社会が抱える矛盾の一つを改めて浮き彫りにしている。





( 2013.03.14 )

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 2013年3月11日の明け方、中国で高速道路を走行中のトラックが横転するという事故が起こった。 トラックの荷台には9トンの鮮魚が積まれていたのだが、この事故により魚は道路中に巻き散らばってしまったそうだ。

 事故の噂が広まると、現場には付近の住民が集まりだしたという。 その手には大小様々な袋が! 住民は救助そっちのけで魚を拾い集め、さらに渋滞まで引き起こしていたというのだ。

 中国では、トラックが横転し、その積荷が住民に奪われるということは今までにも何度か起こっている。 しかし、今回は、そばに怪我人がいるにも関わらず、それを放置しての略奪行為だ。 最優先されるべき人命救助を二の次にし、目先の利益に走った行為だとして、ネット上では批判の声が上がっている。
またかよ
はずかしい!
強盗じゃないか
住民の顔にモザイクなんかかけなくていい。 泥棒なんだから
魚を奪うだけならまだしも、側に怪我人がいるのにそれを放置ってどういうこと!?
人の命より魚か
胸クソ悪い
また日本に笑われるわ
 また、なかには 「 住民だけを責められない。 経済格差が生み出した中国の姿なのかもしれない 」 と嘆く声も見られる。

 なお、事故を受け、地元の道路交通部門の職員が駆けつけたところ、住民たちは去っていったという。 その後、渋滞は解消。 残った魚は荷台に戻され、トラックの運転手も無事に病院に搬送。 命に別条はないようだ。





( 2011.12.02 )




無料の大根を手に入れるため、韓さんの畑に殺到した人たち。畑は荒れ、後片付けのために
10人を雇うことになったという=河南省鄭州、CFP(視覚中国)
 大根を300トン、無料で差し上げます ――。 中国河南省鄭州の農民がこんな呼びかけをしたところ、1万人以上が殺到し、畑が荒らされる事態に。 ホウレン草やサツマイモなども、無断で持ち去られてしまった。

 農民の韓紅剛さん( 37 )の約4ヘクタールの畑に、今年約300トンの大根が育った。 ところが生産過剰による価格暴落で、出荷しても採算が取れないと判明。 腐らせるよりはましと、地元メディアに「無料で市民に食べてもらいたい」と連絡した。

 これが報じられた11月25日から、韓さん宅の電話が鳴り響き、人々が畑に殺到。 大根は翌日昼には無くなった。 すると今度は 「だまされた」 「ガソリン代を損した」 などと詰め寄られる事態に。 数日の間に約1万人が押し寄せ、近くの畑からホウレン草、サツマイモ、唐辛子などを勝手に掘り起こして持ち帰った。

 「 サツマイモはダメ、と畑で叫び続け、声がかれた 」 と韓さん。 損失は約8万元( 約100万円 )に上がった。 それでも 「 私の仕切り方も悪かった。 同様の機会があれば、今度は出稼ぎ農民の子供が通う学校に寄贈したい 」 と話している。


この件に関して中国のネットユーザーからは

「ひどすぎる」
「民度低いな」
「農家の苦労がわかっていない」
「韓さんに対して少しでも感謝の気持ちがあったらこんなことできないはずだ」
「強盗と同じだ」
「恥を知れ」

と、怒りの声が寄せられている。






( 2012.02.12 )

 


写真は「略奪」現場
 2012年2月10日、重慶市で農民がトラック貨物を 「 略奪 」 する事件があった。 交通事故後、現場に散乱した貨物を付近の農民たちが持ち帰ってしまったというもの。 子連れのお母さんが 「 略奪 」 する姿も見られたという。

 10日正午ごろ、重慶市郊外の高速道路を走っていたトラックの前輪がパンク。 コントロールを失って中央分離帯に衝突し、対向車線にまで突き抜けてしまった。 その際、搭載していた貨物が道路に落ちて散乱した。

 積み荷は洗剤だったとのことだが、付近の農民が駆けつけてきて、落ちている荷物を 「 略奪 」。 持ち帰ってしまったという。 トラック運転手は激怒し警察に通報したが、現場にやってきたのは交通警察だけ。 事故現場の交通整理だけが任務で、略奪犯を捕まえてくれなかったと運転手は嘆いている。





( 2012.04.11 )



 2012年4月10日、雲南省昆明市の高速道路上で事故が発生し、知らせを聞いた近隣の村民24人が駆けつけたが、その目的は交通整理でもなく、救助活動でもなく、積み荷を強奪するためだった。

 事故を起こした大型トラックに乗っていた2人は即死で、積み荷は事故現場に散乱。 駆けつけた村民たちは警察官の制止を振り切り、我先にと散乱していたガラス製のカップを集めだし、ほぼすべてを現場から勝手に運び去ってしまった。 運び去られたカップは4000個余りで、被害総額は1万元( 約13万円 )を超える。

 その後、警察が村民たちの行方を捜索。 容疑者の28人は、年齢が13~82歳。 いずれも文字の読み書きができないという。 全員が罪を認めており、13歳の子どもと82歳の老人を除く24人が行政罰としてすでに身柄を拘束されているという。





( 2012.09.10 )




写真は、甘粛省蘭州市の事故現場からブドウを持ち帰る近隣住民
 2012年9月7日、網易の特集ページ・アナザーサイドは 「 頻発する略奪 = 民度の低さだけの責任ではない 」 を掲載した。 繰り返される事故現場での略奪は道徳の問題ではないと分析している。

 5日、甘粛省蘭州市の高速道路でトラックの横転事故が起きた。 事故を知った近隣住民があっという間に集まり、現場に散らばった積み荷のブドウを略奪した。 積み荷をすべて失った運転手は 「 破産だ 」 と肩を落としていた。

 こうした高速道路の略奪事件は珍しい話ではない。 ある時など道路にこぼれ落ちた食用油をたらいでさらって持ち帰った人々もいるほどだ。 略奪事件が起きるたびに中国人の民度の低さが問題になるが、道徳にすべての原因を帰すのは正しくない。

 実は先進国の英国でも似たような略奪事件は起きている。 今年3月、バスとタクシーが接触し、はね飛ばされた車が道脇の宝飾店のショーウィンドウを割る事故があった。 通行人らの関心は負傷者の救助ではなく、散らばった宝飾店を拾い集めることに集中したという。

 なぜこうした略奪事件が起きるのか。 道に落ちたものは誰かの所有物という意識が小さくなる。 そして他の人も拾っているのだから私も、という群集心理が働くと、人々が殺到しては略奪する騒ぎへと発展するのだ。

 こうした略奪事件が過ちであることは間違いない。 だがそれを中国人の道徳の問題としてだけとらえるならば、それもまた過ちとなるだろう。





( 2014.06.26 )

   


 23日午後2時( 現地時間 )ごろ、四川省達州市宣漢県で20代の女性が突然、川に飛び込んだ。 これに気付いた市民7人が相次いで川に飛び込んで女性を救出。 岸に上がった7人は英雄として拍手で迎えられたが、うち2人は脱いだ服がないことに気付いた。 パンツ1枚しか身に着けていなかったため、仕方なく警察に助けを求める羽目となった。

 うち1人は友人が近くの店で服とサンダルを購入し、自宅まで付き添ったが、もう1人の張さんは約20分もパンツ姿で服を探し回った。 結局、服は見つからず、近くの派出所に助けを求めた。 警察官が県内の友人に連絡をとり、ようやく 「 ストリーキング 」 状態から脱することができた。

 2人とも脱いだ服のポケットに財布や身分証明カードなどの貴重品を入れていた。 警察は監視カメラの画像を解析し、盗んだ人物の特定を急いでいる。 一方、救出された女性の両親は 「 おかげで娘の命は助かりました 」 と7人に感謝の言葉を述べている。 両親によると、女性は27歳で失恋を苦に自殺を図ったという。





( 2014.08.03 )

   



 中年女性がバスの車内でナイフで足のつめを削っている強烈な写真が話題となっている。

 7月31日、ネット掲示板・紅網論壇に湖南省益陽市の路線バスで撮影された強烈な写真が公開された。 中年女性が車内でナイフを取り出し、足のつめを削っているというもの。 そのあまりに強烈なインパクトに周りの乗客は見て見ぬふりをしていたという。

 マナー意識ゼロのこの女性にネットユーザーからは批判の声が集中。 バスに乗るときはマナーを守ってほしいと呼びかけた。 また、手が滑ってナイフを落としたら大変な事になると安全問題を危惧する声もあった。





( 2015.03.18 )

   


 中国河南省の公園で2月下旬、池に落ちた女児を助けて溺死した男子大学生が、女児の母親に感謝されるのではなく、 “ぬれぎぬ” を着せられる理不尽な事件があった。 この母親は、賠償責任が降りかかるのを恐れて、大学生が救助のために池に飛び込んだことを否定。 娘にも嘘の証言をさせていたのだった。

 河南省の地方紙、大河報( 電子版 )や地元テレビ局系のニュースサイト 「 映象網 」 など複数の中国メディアによると、悲劇は2月26日午後、河南省濮陽市清豊県公園で起きた。

 7歳と3歳の姉妹が、人工池のそばの柵によじ登って遊んでいたところ、柵が壊れて池に転落。 助けを求める女児の母親の叫び声に、近くにいた青年がすぐさま反応し、池に飛び込んだ。

 女児2人は十数分後、救助された。 だが、青年は冬の冷たい水の中へと沈み、消防隊員らが救助した際には、すでに手遅れだった。

 亡くなったのは河南省鄭州市の大学で、フランス語を専攻する24歳の学生。 この日はガールフレンドに会うため、たまたま近くを訪れていたという。

 だが、自らの命と引き換えに、幼い2人を救った英雄を待っていたのは、あまりに不当な扱いだった。

 地元警察は当初、大学生が、学生が寄りかかった柵が壊れて、2人の女児もろとも池に落下したとの見方を示した。

 というのも、近くにいた母親が、大学生が娘を助けるため池に飛び込んだのではないと説明し、救助された7歳の女児もこう語ったからだった。
「お母さんと妹と遊んでいたら、男の人がきて、柵にもたれかかって、携帯電話をいじっていたら、突然柵が壊れて、男の人と私と妹は池に落ちてしまった」
 だが、近くのベンチに大学生の上着や財布、携帯電話が置かれていたことなど、不自然な点が多く、大学生の家族らは母親らの証言を疑問視。 救助のため、池に飛び込んだと信じる大学生の友人らも、特設サイトを立ち上げ、真相究明を訴えた。

 ネットを中心に世論が盛り上がりを見せると、匿名で真実を明かす目撃者が現れ始め、ついに3月1日、母親は真実を白状。 上の娘に嘘の説明をさせたことも認め、 「 賠償責任など法的責任を負うのが嫌だった 」 と身勝手な動機を述べた。

 一連の経緯を伝える中国メディアの報道に対し、中国のネット上では大学生をたたえ、追悼する言葉とともに、 「 こんな親に育てられる子供が心配だ 」 「 これだから誰もこの国に残りたいと思わないんだ 」 などと、母親を非難する書き込みが相次いだ。





( 2016.08.08 )

  


 米国に留学している外国人は今や中国人が圧倒的な多数を占めるが、その中国人留学生の不正行為の増加が米国で問題になっている。

 最近、米国議会の米中関係諮問機関が、中国人留学生の多くが入学や試験の際に不正を働いていることを指摘した。 中国人留学生による不正行為の急増は米国の大学教育の質の低下をもたらすと警告している。




 7月末、米国議会の政策諮問機関 「 米中経済安保調査委員会 」 は中国人の米国留学に関する報告書を発表した。 同報告書はまず以下のような事実を報告している。
 2015年に米国内の2年制大学以上の教育機関で学ぶ外国人留学生の総数は約113万人だった。 そのうちの31%にあたる約35万人が中国人留学生である。 その動向は将来、米中関係全体あるいは米国の対中政策にも大きな影響を与えうる。

 中国では官民を問わず子弟を海外、特に米国に留学させることがますます重視されるようになってきた。 その背景としては以下のような要因が挙げられる。
米国留学の費用が高額になっているにもかかわらず、近年、中国では若者に米国で教育を受けさせることがブームとなった。 中国共産党内部でも、習近平国家主席の娘や、失脚した重慶市党委の薄熙来前書記の息子がいずれもハーバード大学に留学していた。 また2012年の時点では、最高権力機関の共産党政治局常務委員会のメンバー9人のうち5人までが子供を米国に留学させていた。
中国人が子弟を米国に留学させようと努める理由は、第1に米国の大学などの高等教育が国際的に高い水準であることが中国でも認知されてきたこと、第2に中国社会では子弟に米国で学位を取得させると高い名声を得られること、第3に中国では地方から都市部のトップクラスの有名大学へ進学することは困難だが、米国の大学への留学にはその種の格差がないことなどだとみられる。
米国に留学する中国人は経済成長に伴って急増し、2007年から2013年の間に人数が4倍に増えた。 その結果、米国経済への貢献は2013年だけでも総計80億ドルに達した。 中国留学生の大多数は、大学の授業料などを全額個人負担で払い、その1人当たりの額は一般の米国人学生の支出よりもずっと多い。 また学業終了後に本国へ戻らない中国人留学生は全体の64%に及ぶ。



 報告書は、以上のような中国側の背景を述べるとともに、中国人の米国留学の急増が米国に大きな問題をもたらしていると指摘する。 それは中国人の留学に絡んで以下のような 「 不正 」 が蔓延しているからだ。
2015年に米国の大学で合計約8000人の中国人留学生が退学処分を受けた。 退学の原因や理由の33%が不正行為によるものだった。 中国人留学生は、他国の学生に比べてその比率が特に高い。 他国からの留学生や米国人学生の場合、退学の理由の中で不正の比率は5分の1以下だった。
中国人学生の不正が多い背景には、米国大学へ留学中の中国人学生に向けた学業支援ビジネスの存在がある。 そうしたビジネスでは、成績がふるわなかったり英語能力が不足している学生に向けて、試験を身代わりで受けたり、論文執筆や宿題を代行するなどのサービスをかなり高い代金で提供している。
中国国内でも留学志望学生を不正に支援する 「 留学申請代行企業 」 が多数存在する。 2014年の調査では、高校の成績表、大学に提出する論文、推薦状などをねつ造、偽造して作成するなど 「 不正申請 」 を働いている事例が全体の10%に達した。
中国当局は2014年に、全国のこの種の 「 留学代行企業 」 454社に正規の営業許可を与えた。 だが実際には北京市内だけでも、1000社以上の不正規の代行企業が営業活動をしていた ことが判明している。
米国の多くの大学が入学審査時に 「 SAT 」( 大学進学適性試験 )を実施しているが、中国内で実施する際に中国企業が試験内容を事前に不正取得したり、販売したりしていることが明らかになった。 SATに絡む中国側の不正行為は、2013年から2016年にわたって広範囲に認められた。 SATを実施する米国の非営利組織カレッジ・ボード社は2016年1月に試験内容の一部が不正流出していることを察知して、中国での試験実施をすべてキャンセルした。