( 2011.05.10 )



  事態を重く見た政府は規制の強化に改めて乗り出した。
 湖南省長沙市では4月23日、結婚式に出席した300人近くが吐き気を訴え、病院に運ばれた。 地元テレビによると、筋肉増強剤のクレンブテロールが入った肉を食べたことが原因だった。 1999年に使用が禁止されたが、肉の赤身を増やすために飼料に混ぜる養豚業者が少なくない。 国内最大規模の食肉加工会社もクレンブテロール入りの豚肉を販売していたことが発覚。 業界全体に広がっている実態が浮き彫りになった。
 不正は肉だけにとどまらない。 上海市警察当局は4月中旬、使用禁止の着色料を使った饅頭( 蒸しパン )を販売した同市内の食品会社の責任者5人を拘束。 遼寧省瀋陽市の警察当局は、違法添加物を使って漂白したモヤシを売っていた業者約30人を拘束した。
 相次ぐ事件を受けて、食品安全担当の李克強副首相は、違法添加物を使った業者について 「 営業の停止や資格取り消しのほか罰金など厳罰処分にする 」 との方針を4月に指示。 今月8日には、食品工場の従業員に、40時間の科学的知識や倫理観を養う訓練を義務づける要綱も発表した。
 中国政府は、冷凍ギョーザ中毒事件や有害物質メラミン入り粉ミルク事件などが起こるたびに対策を強めている。 しかし、昨年の食品安全事件は13万件に上り、違法業者は10万を超えるなど、効果は見えてこない。 復旦大学社会学部の于海教授は 道徳意識が欠けていることが根本的な原因 で、社会秩序が崩壊しかねない危険な状況だ」 と警告している。





( 2016.03.25 )

  

 中国で適切な温度で管理されていなかったインフルエンザや水痘などのワクチン約200万本が全国各地で違法に販売され、多くが学校や病院などで子供などに投与されたことが判明した。 幼い子供を持つ保護者の間で不安が広がっている。

 中国メディアによれば、違法ワクチンの販売は山東省の元病院勤務の女と、医学関連の学校を卒業したその娘が主導した。 2010年ごろから医薬品会社から使用期限が近いワクチンを安く仕入れ、インターネットなどを使って各地の業者に転売した。 ワクチンは一般企業が製造した正規品だが、低温保管などの規定を守っていなかった。

 

 中国の医療問題専門家によれば、低温保存されていないワクチンを接種すれば、期待される病気予防の効果がないどころか、副作用の恐れもあるという。

 中国の治安当局は15年春にワクチン転売の実態を把握し、捜査に乗り出した。 これまでに各地で69件を刑事事件として立件し、山東省の親子を含む容疑者130人以上を拘束したが、社会的な衝撃の大きさなどを考慮して、今年3月まで公表を控えていた。

 事件が明るみに出たことを受け、インターネット上には 「 政府の責任だ 」 などと当局の管理のずさんさと公表の遅れへの怒りをつづる書き込みが殺到した。

 李克強首相は 「 ワクチンの管理に問題があった 」 と認めた上で、流通ルートの徹底調査を指示した。

 中国では近年、食品、薬品安全に関わる事件が頻発。 08年には国有企業が生産する粉ミルクに有毒物質メラミンが混入していたことが分かり、国産の粉ミルクを買わず、日本やオーストラリア産のものを購入する保護者が急増した。

 今回の事件で、国産薬品に対する不信感がさらに高まるのは避けられず、今後はワクチン接種のために日本を訪れる富裕層が増える可能性もある。