( 2010.10.27 )

 


 ドイツ卓球協会と同国のアンチ・ドーピング協会はこのほど、ドーピングの疑いで8月末にオフチャロフ選手( 22歳 )に科した 「 2年間、出場禁止 」 の処分を解除すると発表した。 食事に由来する誤摂取と判断したため。 中国国内で食べた豚肉に薬物が残留していたとされる。 オフチャロフ選手は、 「 もう中国で、肉を食べる勇気はない 」 と述べた。

 オフチャロフ選手は2010年現在、世界ランキング12位で、ドイツ男子卓球界の 「 期待の星 」 だ。 公開試合出場のため8月末に訪れた蘇州市内のホテルで食べた料理に、問題成分が含まれてたとされる。

 オフチャロフ選手によると、 「 僕は肉が好きです。 美味しく料理していたから、毎日、たくさん食べました 」 という。 試合直後の尿検査で、興奮剤・筋肉強化剤成分のクレンブテロールが検出され、2年間出場停止の臨時処分になった。

 当初から、 「 ドーピングをしたとは思えない 」 との見方が強かった。 オフチャロフ選手は再検査を申請。 ドイツのアンチ・ドーピング協会はケルン体育大学の協力を得て、同選手および、蘇州で行動をともにした監督やトレーナーらのサンプルを検査した。 尿についてはいずれも陰性だったが、頭髪からクレンブテロールの関連成分が検出された。 ドーピング目的ならば選手本人以外が問題ある薬物を摂取するはずがないため、ドイツ卓球協会と同国アンチ・ドーピングは 「 食事由来の誤摂取 」 と認め、出場禁止処分を解除した。

 オリンピックには、 「 前大会終了後に、半年以上の出場禁止処分を受けた者には、次の大会の出場を認めない 」 との規則がある。 オフチャロフ選手は誤摂取を認められなければ、ロンドン五輪の出場資格を失うところだった。 国際卓球連盟は、ドイツ卓球協会の決定を尊重し、オフチャロフ選手の国際試合復帰のための手続きを急ぐという。

 中国では、豚の飼料にクレンブテロールを入れる場合がある。 禁止されてはいるが、豚が興奮して歩きまわるために赤身部分が多くなり、高値で出荷できるからだ。 浙江省では2008年11月、大量にクレンブテロールを含む豚肉が社員食堂の昼食に使われ、70人に手足のしびれ、動悸、嘔吐などの中毒症状が発生する事件があった。

 これまでにも米国やスペインの選手などで、故意のドーピング行為でない可能性があるが、疑いをはらせなかったケースがある。 ドイツでは食品の安全基準が厳格であるため、体内に残留する外部由来の合成化学物質が少なく、監督らの毛髪に微量に存在するクレンブテロールの検出が比較的容易だったため、オフチャロフ選手は 「 九死に一生を得た 」 との見方がある。





( 2012.04.19 )



 2012年4月18日、ロンドン五輪を控え、中国の国家代表チームが深刻な 「肉不足」 に陥っている。 中国では近年、違法薬物入りの飼料で育った家畜の肉を知らずに食べたアスリートがドーピング検査で 「陽性」 になるケースが続出、 「肉が怖くて食べられない」 という事態となっている。

 国家体育総局水上スポーツ管理センターの李仲一リー・ジョンイー保障部副部長によると、同センター所属の選手196人がすでに40日間も 「 肉断ち 」 を強いられている。 本来であれば、選手は1日にブタ肉と牛肉をそれぞれ400gずつ摂取することになっているのだが、現在はサプリメントに頼っている状態だ。

 今年1月には国家体育総局が 「 肉禁止令 」 を発令。 選手に対し、外食の際はブタ・牛・羊の肉を食べることを禁じたほか、訓練センターでも安全が確認できない肉を選手に提供できなくなった。

 中国では、 「 痩肉精( 塩酸クレンブテロール ) 」 入りの飼料で育ったブタの肉を知らずに食べたアスリートが、筋肉増強効果があるとされるクレンブテロールに陽性反応を示すなど、選手生命に関わる深刻な事件が相次いだ。 中国の試合に出場した卓球ドイツ代表選手から検出されたこともあった。

 「 痩肉精 」 は飼料に混ぜると肉の赤身が増すことから、中国では違法に使用する悪徳業者が絶えない。 そのため、マラソン中国国家代表チームが合宿先の雲南省で独自に鶏肉を飼育し、ブタ肉を食べないようにするなど自衛策に乗り出すチームも。 「 アジアの昇り龍 」 と呼ばれる陸上ハードルの劉翔リウ・シアン選手も、もう何年もほとんどブタ肉を食べていないという。


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( 2012.07.03 )

 


 2012年7月1日、バレーボール女子のワールドグランプリ( GP )決勝ラウンド最終日が浙江省寧波市で行われ、中国は0-3で米国に敗れ、1勝4敗で5位に終わった。 成績不振の原因について、中国代表の兪覚敏ユー・ジュエミン監督は 「 選手が3週間も肉を食べていなかったせい 」 と説明している。
 中国では近年、違法薬物である 「 痩肉精( 塩酸クレンブテロール ) 」 入りの飼料で育ったブタの肉を知らずに食べたアスリートがドーピング検査で 「 陽性 」 になるケースが続出、選手生命に関わる深刻な事件が相次いだ。 そのため、国家代表チームの選手が 「 怖くて肉が食べられない 」 事態に陥っている。

 兪監督によると、選手たちは安全な肉が確保できないとの理由から、今大会では3週間も 「 肉断ち 」 の状態。 そのため、体力面で明らかな衰えがみえ、これが成績不振につながったとしている。 中国代表チームは米国戦の前にも3連敗を喫しているほか、米国戦でも体力不足による粘りのなさが目立った。

 尚、女子バレーボールの中国代表選手はロンドン五輪前に寧波市北倉区で合宿を行うが、同監督は 「 北倉基地では安全な肉を提供できる。 選手たちに思う存分肉を食べてもらい、体力面の調整を図りたい 」 と話している。



( 2012.07.05 )

 


 ロンドン五輪に出場する中国選手団に、中国社会に蔓延する 「 食品汚染 」 の影響が降りかかっている。 ドーピング( 禁止薬物使用 )検査で陽性反応が出ることを懸念する選手団が肉を食べることを自粛。 “ベジタリアン化” によって、実力を発揮できない可能性が指摘されている。

 このほど、浙江省寧波市で行われたバレーボール女子ワールドグランプリで、中国は1勝4敗の5位に終わった。 最後の米国戦、中国は第1、2セットでいいプレーを見せながらも後半息切れ。 最終セットでは数人の選手が足のけいれんを訴える事態に陥った。

 兪覚敏監督は 「 選手は3週間も肉を食べていなかった。 本拠地以外の中国国内で試合をするときは( 禁止薬物の )クレンブテロールが怖くて肉を食べない。 それが持久力に影響した 」 と釈明した。 中国メディアによると専門家も 「 激しい練習や試合をするには牛や羊、豚の赤身に含まれる動物性タンパク質を十分に摂取しなければならない 」 と影響を認めた。

 「 クレンブテロール 」 とはもともと、ぜんそく治療薬として開発された物質だ。 筋肉増強効果があり、国際オリンピック委員会( IOC )をはじめ、多くの競技団体が禁止薬物に指定している。 近年では、自転車ロードレースのツール・ド・フランスで、陽性反応が出たスペインの選手、コンタドールが優勝を剥奪され、2年間の資格停止処分を受けた。 「 食べた肉に含まれていた 」 と弁明したが、認められなかった。

 一方、赤身肉が好まれる中国では、クレンブテロールは 「 痩肉精 」 と呼ばれ、特に赤身肉の “偽装” に広く使われている。 出荷の10~20日前にブタに投与すると赤身が激増するという。

 人間が過剰摂取した場合、動悸やめまい、手の震えなどが出る。 約10年前には広東省で数百人規模の中毒事件が続発したこともある。 このため、当局が使用を規制しているが、赤身が増すと売値が脂身肉の4倍近くになるため、飼育業者は利益を優先させている。

 最終調整の間、選手には国家体育総局の指定農場で飼育した安全な豚肉が提供されるというが、ずさんな食品管理を元凶とする “肉不足” が障害となり、中国が金メダル数1位の座から転落するかもしれない。



( 2012.07.13 )

 


2012.7.13 08:25  「 自分の家でニワトリでも飼って卵と肉を食べろ 」。 ロンドン五輪出場を予定する中国選手に、コーチからこんな指示が飛んだと報じられて波紋が広がっている。

 中国の食肉市場で売られる肉類の一部から、筋肉増強効果がある禁止薬物のクレンブテロールなどが検出されたことがあり、選手が一般の肉を食べてドーピング( 禁止薬物使用 )検査で問題にならないよう警戒を強めているとみられる。

 自分の家で禁止薬物の含まない飼料だけを使って育てたニワトリしか信用するな、ということらしい。

 だが、この報道に対し一般住民から 「 中国の食肉はやっぱり危いとお上が認めた 」 との反応が広がり、五輪選手を管理する中央政府の国家体育総局では 「 そんな指示は出していない 」 と火消しに躍起になった。

 一方で同局では、 「 五輪選手は( ドーピング検査を受ける )特殊な条件下にあり、外食に厳格な規制を設けている 」 と説明。 中国の街中には禁止薬物が含まれる食品が出回っている危険性が高いことを、暗に裏付ける結果になっている。

 国家水泳センター所属の競泳、飛び込みなど約200人の選手は5月ごろから肉食を絶ち、栄養補助食品や魚でタンパク質を摂取しているとも報じられた。

 北京五輪柔道女子78キロ超級金メダリストで中国人の●(=にんべんに冬の二点がにすい)文(とう・ぶん)選手が、五輪翌年の世界選手権ドーピング検査で陽性反応を示し、2年間の出場停止処分を受けたことがある。●(=にんべんに冬の二点がにすい)選手は禁止薬物を含む飼料で育った豚肉を食べたと弁明していた。