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( 2017.06.03 )

   ぐ その原因は …

 4月以降、中国全土の家庭で異臭を放つ食塩が相次いで見つかった。 料理をしていて塩をパラパラと振ったら、強烈な 「足の臭い」 がしたという。 「脚臭塩」 としてメディアが大きく取り上げるなど騒動が拡大している。

 中国陝西省の新聞 「華商報」 によると、同省銅川市の女性がスーパーで購入した食塩を指でつまみ鍋の中に入れたところ、指の先から足の臭いのような異臭がするのに気づいた。

 この食塩は、河南省平頂山市の製塩業者が岩塩を原料として製造したヨウ素添加塩だった。 同紙の記者が同じ商品を購入し、手のひらの上で軽くこすってみたところ、すぐに足の臭いが広がり 「思わず鼻をふさいだ」 という。

 現地での食塩の一般的な価格は400グラム入りの1袋が2元( 約32円 )程度だが、異臭がする塩は1袋1.2元と相場の半分ほどで販売。 製造業者も問題がある商品と認識しながら流通させていたようだ。

 この食塩は山東省や江蘇省などでも、加熱後に異臭がするとの消費者の苦情を受けて売り場から撤去されていた。 その後、河南省内の別の2つの製塩企業が製造した食塩からも異臭がすることが判明した。

 中国の 「食用塩国家基準」 で、食塩は 「無臭」 と規定されている。 中国国営新華社通信の電子メディアによると、第三者機関がこれらの食塩を検査したところ、有害成分の亜硝酸塩が含まれていることがわかったという。

 一方、中国紙・新京報によると河南省当局は5月1日、異臭がする食塩は 「人体への影響はない」 とする正反対の調査結果を発表した。 異臭が確認された食塩の4つのサンプルを検査した結果、異臭の原因は 「原料の岩塩にわずかに含まれていたプロピオン酸や酪酸、イソ吉草酸などの短鎖脂肪酸」 で、人体への影響はないと結論付けたのだ。

 4つのサンプルはいずれも衛生上の問題はないと判定されたわけだが、一方でうち2つは、嗅覚など人の感覚器官によって行う検査で 「不合格」 とした。 河南省当局は 「社会に悪い影響を与えた」 として問題の食塩を製造した3業者に異臭問題の改善を指示。 調査班を派遣し、食品の生産停止や在庫の塩の販売停止、流通している計約7000トンの食塩の回収を命じた。

 玉虫色の決着といえるが、政府も事態収拾に乗り出した。 「脚臭塩」 の問題の背景として、製塩業をめぐる地元当局と業者との癒着が一部で指摘されている。 工業情報化省は河南省に査察班を派遣しており、今後、政治的な動向に発展する可能性も出てきた。

 中国では今年1月、食塩価格を自由化するなど製塩業の規制緩和が行われ、一部の地方では食塩価格の高騰につながった。 今回の 「脚臭塩」 の問題も、政府の改革により品質管理が甘くなったために起きたと指摘する声がある。 ただ新華社は論評で、規制緩和前にも安価な工業塩を食塩と偽って販売する事件などが国内で相次いでいたことを挙げ、政府の改革が食塩の品質低下につながっているとの批判に反論している。