簿


( 2014.07.23 )






 米食品卸売会社OSIグループの中国法人である上海福喜食品をめぐる食品安全問題が広がりをみせている。 米スターバックスや、米バーガーキング・ワールドワイドなどに加え、日本マクドナルドにも影響が及んでいる。

 上海福喜をめぐっては、従業員が工場の床から食肉を拾っている姿や、期限切れの食肉を混ぜている姿がテレビで報じられた。 同社から食肉を仕入れていた米マクドナルドと、ケンタッキーフライドチキンを運営する米ヤム・ブランズは21日、相次いで中国の消費者に謝罪。

 スターバックスは22日、中国の一部店舗で販売した商品に、上海福喜から仕入れた鶏肉が含まれていたと発表した。 上海市当局は報道を受けて、20日に上海福喜の工場を閉鎖した。

 日本マクドナルドは上海福喜から2割程度のチキンナゲット向け鶏肉の供給を受けていたと発表。 問題の商品販売を21日に停止したことを明らかにした。 タイや中国の別の業者からの調達に切り替えたという。

 バーガーキングと、頂新国際集団が運営する中国のファストフードチェーン店 「徳克士ディコス」 は、上海福喜から仕入れた食肉を使用した商品は販売しないと表明した。

 ピザチェーンの米パパ・ジョンズ・インターナショナルはミニブログ上で、上海福喜から仕入れた食肉を使用した製品全てを撤去し、同社との取引関係を打ち切ったと明らかにした。

 スターバックスは中国語のミニブログで、上海福喜とは直接のビジネス関係はないとしつつ、上海福喜と取引のある別の業者から鶏肉を仕入れたと明らかにした。 鶏肉は商品 「チキン・アップルソース・パニーニ」 で使われ、13省・市の店舗で販売されたという。 同商品は全て、現在は販売していないとした。

 また、食品も提供しているスウェーデンの家具大手イケアはミニブログで、昨年9月以降、上海福喜から製品を仕入れていないと明らかにした。

 米宅配ピザチェーン大手ドミノ・ピザと、米ドクターズ・アソシエーツ傘下のサンドイッチチェーンであるサブウェイは、ネット上で上海福喜と取引があると名指しされたものの、中国の店舗で同社の食肉は使用していないと明らかにした。

 このほか、中国で牛丼チェーン 「吉野家」 を展開する香港上場の合興集団と、ファミリーマートは、上海福喜から仕入れた製品は現在使用していないと明らかにした。

 中国・上海の米国系食品加工会社 「上海福喜食品」 が品質保持期限切れの肉製品を出荷していた問題で、同社従業員が取材に応じ、 「( 上海市 )当局の検査前には連絡があり、生産ラインの責任者が期限切れ肉を隠すように指示を出した」 と証言した。

 監督する行政と食品会社の癒着を疑わせ、こうした悪弊も不正の温床になったとみられる。

 市当局は3年間で7回、工場に検査に入ったが、不正は見つからなかった。 20歳代のこの従業員は、期限切れ肉の隠蔽の際、 「変色した肉も見た」 と指摘。 「悪い肉と良い肉を混ぜていた。 上司も黙認していた」 と話した。

 工場には以前、外国人幹部がいたが、従業員は 「外国人は常駐していない」 と話す。 工場の現地化の過程でモラル低下が生じたとの見方も出ている。





( 2014.07.23 )
 
 



中国上海市の「上海福喜食品有限公司」鶏肉加工品の
生産ライン
 米国の大手食品加工会社 「OSIグループ」 の傘下にある中国上海市の食肉加工会社 「上海福喜食品」 が使用期限切れの肉類を加工して供給していた問題で、上海市は 「組織的な不正」 との見方を強め、食品会社の責任者ら5人を隔離して事情聴取している。 福喜食品をめぐっては当初、チキンナゲットなど鶏肉の期限切れが指摘されたが、上海テレビは牛肉についてもずさんな管理の実態を伝えており、問題の対象が鶏肉以外に広がる可能性がある。

 上海福喜食品には、鶏肉と牛・豚肉の生産ラインがあり、工場に潜入取材して最初に報じた上海テレビは、問題の工程として牛肉の加工も取り上げていた。

 OSIは問題発覚後、 「工員の個人的な行為」 との見解を示していたが、上海市は、工場ぐるみで意図的に不正をしていたとの見方を強めている。 上海市食品薬品監督局と市公安当局は合同指揮部を設けて調査を進めており、責任者の刑事責任が追及される可能性も出てきた。

 合同指揮部は、上海福喜食品から今年1月以降の原料仕入れ、生産加工、品質管理、売り上げなどの記録を提出させた。

 さらに、福喜食品の上海工場倉庫に保管してあった肉類の原料103トン、 「チキンマックナゲット」 などの製品5108箱を押収した。

 合同指揮部は、福喜食品の製品が中国国内ではマクドナルドやピザハットなど計9社に納入されていたとみて、流通経路を詳しく調べている。




 中国上海市の 「上海福喜食品」 が使用期限切れの肉類を加工して供給していた問題は20日夜、上海テレビによる工場への潜入取材が放映され、その直後に上海市が立ち入り調査に入ったことで表面化した。

 上海テレビは工場内で白い帽子をかぶって作業する従業員らの様子を放映し、 「使用期限切れではないの」 と問いかける従業員に対し、別の従業員が 「死にはしないよ」 と応じる生々しい映像も放映された。

 機械から工場の床に落ちた原料の肉を、従業員がそのまますくいあげて生産ラインに戻す映像なども放映され、同社のずさんな食品の衛生管理の実態も浮き彫りになった。

 その後、上海紙が一斉に問題を報じたことで、上海市民にも大きな衝撃を与えている。 上海の目抜き通りである南京西路のマクドナルドが入る百貨店に勤める女性は23日朝、 「中国は食の安全の問題が多すぎる。 外資だと思って安心してマクドナルドの商品を食べていましたが、中国製の原料に問題があったなんてショックです」 と話していた。


 

 中国上海市の食肉加工会社 「上海福喜食品」 が使用期限切れの肉類を供給していた問題で、厚生労働省は23日、7月までの1年間に同社から約6千トンの食肉加工品が輸入されていたと明らかにした。





( 2014.07.24 )




 アメリカの大手食品加工会社 「OSIグループ」 の傘下にある中国上海市の食肉加工会社 「上海福喜食品」 が使用期限切れの肉類を加工して供給していたことが大きく報道されています。 上海市は 「組織的な不正」 との見方を強めています。 なんといっても今回の問題が世界的にクローズアップされるのは、マクドナルドやヤム・ブランズ、スターバックス、バーガーキング、パパジョーンズなどという世界的なチェーン店の一部がこの工場からの肉を使用していたことです。 たとえ中国の店で限定的に使用されていたものでも、チェーン店のブランドイメージはダメージを受けます。 それだけにこうした世界的なチェーン店の衛生管理は徹底しているはず。 しかしこうした偽装などが簡単に行われていたということに衝撃を感じます。 これは中国や日本だけにとどまらない世界的なインパクトのあるスキャンダルになっています。 カビの生えたような肉を再度使用しているとみられる映像などは、消費者に大きなショックを与えます。 子どもが大好きなチェーン店での使用の可能性があるとすると、大変なダメージです。

 「上海福喜食品」 がアメリカの大手食品加工会社 「OSIグループ」 の傘下にあるということにも注目したいです。 アメリカ資本でありながらも、運営は中国で、結局、しっかりとした管理をすることができませんでした。 相当な管理体制を敷いていたはずですが、いとも簡単にその管理の枠から外れる行為ができています。 最後は、業者のモラルというものになるのかもしれませんが、それが中国ではほとんどあてにならないということでしょう。 アメリカ・マクドナルドのドン・トンプソン最高経営責任者( CEO )は、この問題について 「少し、だまされた」 と述べたと伝えられています。 世界のマクドナルドも 「騙される」 ということでしょう。

 今回の 「上海福喜食品」 の組織的な偽装をみると、中国では本当にここだけの問題なのか、という疑念は残ります。 1工場の1人の問題で起こったような簡単なものではありません。 厳しい価格競争の中でこれだけ組織的な偽装が行われてきたのであれば、他にもこうしたことをしている工場があるのではないかと疑います。

 今回の事件は、あらためて食のチャイナリスクを表面化させました。

 ただ、もう一つ注目しておきたい点があります。 それは、外国メディアではなく、地元の上海テレビなどが潜伏取材をして、報じたものだということです。 こうした国際的な大スキャンダルが中国のメディアによって報じられたということは、非常に大きな意味があります。 中国が自ら、改革する意思と行動を示しました。 もちろん、内部告発や政治的・ビジネス的な対立などが背景にあるのではないかとは想像できます。 しかしそれでも国内メディアがこの偽装を報道したことは、安全な食へ向けての改革ののろしとみていいでしょう。

 この改革がどれだけ早く、確実に行われるのか。 中国の汚職文化の改善とともに行われるのでしょうが、まだまだ時間はかかりそうです。 ただ、中国の消費者の食の安全に対する意識も大きく変わっています。 中国の生産者の改革が進まないなら、 「安全・安心の食」 を提供する( はずの )日本の食産業が発展する余地が広がります。

 食は、価格競争の時代が続きました。 これから中国でも安全・安心をテーマに、リスクとチャンスの時代が訪れそうです。





( 2014.07.27 )


 中国では、毒ミルク、工業用の赤色着色料、痩肉精、地溝油など毒入り食品が絶えないため、外国ブランドが好まれてきました。 しかし、最近、アメリカ系の上海の食品加工会社 「福喜食品」 が期限切れの肉を使っていたことが暴露されました。 工場はすでに閉鎖され、従業員5人が逮捕されたほか、その影響は香港と日本にまで広がっています。

 上海のテレビ局 「東方衛視」 の2ヵ月にわたる潜入取材の結果、上海の 「福喜食品」 は期限切れの牛肉や鶏肉をマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなど、 外資系の飲食店などに供給していたことが分かりました。

 「完全武装」 した従業員が期限を1ヵ月近く過ぎた原料をミンチにしてから、粉をつけて、揚げると、中国で子供に大人気のチキンマックナゲットに変身しました。

 「東方衛視」 の報道によると、工場は期限切れの肉の日付を改ざんしたうえ、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、ピザハットなどに供給していました。 しかも従業員は記者に向かって 「期限切れの肉を食べても分からないし、死にはしない」 と笑い飛ばしました。

 事態の発覚後、 「福喜食品」 は袋だたきに遭いました。 工場がすでに閉鎖されたほか、従業員5人も逮捕されました。 また、70億元の罰金に処されるという報道もあります。

 さらにマクドナルドのCEOは、 「福喜食品」 にだまされたと発言しました。 ある日本の業者は、 「福喜食品」 から年間6000トンの食肉加工品を輸入していましたが、契約を打ち切り、香港の業者も 「福喜食品」 からの商品の輸入をすべてやめました。

 「福喜食品」 の親会社、アメリカの 「福喜集団」 ( OSIグループ )は、世界17ヵ国に50以上の食品加工工場を持つ、国際的な食品メーカーで、2013年、雑誌 「フォーブス」 の収益ランキングで62位になりました。 2010年に、中国の家禽産業に進出し、今年は中国で1億羽の家禽類を取引する予定でした。
「当局は行政の監督に依存しすぎています。 司法に作用を発揮させず、消費者の権益も保護していません。 民間団体にも力を発揮させないので、このような局面に至りました」 ( 「益仁平センター」 の責任者 陸軍さん )
 北京のNGO、益仁平センターの責任者、陸軍さんは、中国は染物がめと同じで、有名な外資系企業でも、中国の腐敗した行政および市場システムに入ると、変わってしまうと指摘します。 ただし中国大陸の企業は、外資系ほど行政の監督が厳しくないので、 「福喜食品」 より問題が深刻かもしれないと述べました。

 実は外資系食品のスキャンダルは、中国で初めてではありません。 例えばケンタッキーフライドチキンは2005年、商品から工業用赤色着色料 「スーダンレッド」 が検出され、2011年には 「商品の豆乳はぼったくりだ」 と集中砲火に遭い、2012年にはハンバーガーから基準を超える細菌が検出され、去年もまた、 「問題の鶏」 を使う事件がありました。

 中国問題研究家の張健さんは、中国の食品問題の原因は、 「法律が守られず、法の執行がいい加減で、監督が不十分なこと」 だと指摘します。 一方、海外では有名な外資系企業が中国の経営環境の影響でモラルが崩壊し、犯罪に走るのは、社会体制に鍵があると分析しました。
「企業が安全な食品を提供するには、その国の体制が大事になります。 経営者のモラルだけでは無理です。 そのような環境がないと、どれほど清廉な経営者も不健全な競争環境に巻き込まれます」 ( 在米中国問題研究家 張健さん )
 今回、官製メディアが外資系の食品加工会社の不正を暴きましたが、最近、 「中央テレビ」 もiPhoneの位置情報サービスは国の安全の脅威になると報道しました。 この指摘についてアップルは、iPhoneのサービスはユーザーの位置を暴露しないうえ、いかなる国の機関とも協力していないと反論しています。





( 2014.07.31 )

  使


 上海の食肉加工会社 「上海福喜食品」 が使用期限を過ぎた鶏肉を使ってチキンナゲットを作っていたことは、再び多くの日本人に衝撃を与えた。 日本人は、喉元過ぎて熱さを忘れていたが、中国 “毒食品” は枚挙に暇がない。

 思い出すのは冷凍ギョーザに殺虫剤 「メタミドホス」 が混入され、日本人10人に健康被害が生じた2008年の 毒ギョーザ事件 だ。 しかし、この一件以降も隣国では度重なる “毒食品” が世間を騒がせている。

 例えば毒殺したネズミや猫の肉を羊の油や香辛料に漬け、羊肉と偽って安く販売する業者が相次いで摘発されている。 昨年、北京で路上販売のシシカバブを食べて中毒症状となり、病院に運ばれた男性の血液から殺鼠剤の成分が検出され、北京市民に衝撃を与えた。 男性が食べたシシカバブは、ネズミや猫の肉を使っていた可能性が高いという。

 病死肉の横流しも横行している。 昨年、上海市を流れる川に1万頭を超える豚の死骸が漂流したことがあった。

 なぜ、中国の食品問題は繰り返されるのか。 中国の食問題に詳しいジャーナリストの椎名玲さんは、中国人の 「衛生意識の低さ」 を指摘する。
「慢性的な水不足の中国では、昔から手や食材をよく洗う習慣がありません。 彼らの考え方は “火を通せば何でも食べられる” というもの。 生産過程でカビが生えようが、商品が地面に落ちようが全くお構いなしで、 『使用期限』 という概念がないんです」





( 2014.08.01 )

  


 7月23日、日本で中国の食品工場の内情を暴いた衝撃の映像が流れた。

 床に落ちたチキンナゲットを再び生産ラインに戻し、青く変色した肉も使い続ける。 本来廃棄されるはずの原料が生産ラインに投入される。 「これ鶏の皮じゃないか」 との問いに 「混ぜればうまいよ」 と返す従業員。

 やられていたのは消費期限の改ざんだけではなかった。 上海のテレビ局の 「東方衛視」 は、管理の及ばない無法地帯と化した食品加工の現場を赤裸々に映し出した。 実はこの番組、テレビ局の記者が従業員になりすましての3ヵ月にわたる潜入取材がもたらしたスクープだった。

 きっかけは、テレビ局に寄せられた上海福喜食品の元従業員からの告発だった。 「この工場には問題が多すぎる」 と、元従業員は記者らに訴えた。

 しかし、上海福喜食品と言えば、世界17ヵ国に50工場、肉類加工業では世界最大規模とも言えるアメリカのOSIグループの子会社だ。 当時、記者たちは 「こんな先進的なグローバル企業で、そんなことあり得ないだろう」 と半信半疑だった。

 だが、この元従業員は証拠となる2冊の、裏と表の帳簿を持っていた。 裏帳簿の存在は有力な証拠になる。 テレビ局ではこれを機に取材班が編成された。

 しかし、工場責任者に正面から直撃取材したところで何の情報も得られないのが中国だ。 さらなる有力情報を得るために、彼らは 「潜入取材」 を断行した。


大量の虫が湧いた小麦粉を再使用
潜入取材が暴く数々の闇

 こうした 「潜入取材」 は中国では珍しくない。 実は今年3月、中国中央電視台( CCTV )の報道番組でも、食材の消費期限改ざんの闇が暴かれたばかりだった。

 CCTVは 「世界消費者権利デー」 に当たる3月15日に特別番組を放送した。 それは、杭州の食品貿易会社に複数の記者が潜り込むドキュメンタリーだった。 取材班は正面から入社試験を受け、通過し採用された。 従業員になりすました記者らが工場への出勤を始めると、ほどなく周囲から信頼を得るようになっていった。

 この貿易会社が扱う輸入食材は小麦粉、チーズ、バター、チョコレートなど、欧州からのものが大半を占めた。 しかし倉庫に積み上げられる食材は、ほとんどが 「賞味期限切れ」。 時を経ずして潜入取材班は “改ざん行為” という決定的現場に直面した。

 “覆面記者” も含め何人かの従業員が小部屋に招かれ、期限切れの小麦粉を開封させられた。

 ダマになった小麦粉をふるいにかけると、大量の虫が網の上に浮き上がってきた。 「うわー、こんなにいる」 と声が上がった。 小麦粉はすっかり変質していたのである。 その小麦粉を新たにパックし直し、上から 「製造日2013年11月21日」 のスタンプを押す。 彼らはそんな作業に従事させられた。

 バターは4年前のものが平然と積み上げられていた。 製造年は2009年。 消費期限は2011年にすでに到来し、それからさらに2年の歳月が経過している。 もとの製造日をはがし、あるいは切り取り、その上から改ざんした期日を張り付ける ―― 従業員にとっては、これこそが最も重要な作業だった。

 その後、潜入取材班は “秘密の倉庫” を突き止めることにも成功する。 彼らが予め “しるし” をつけた数百箱のバターの段ボール箱がどこに輸送されるのか、その追跡に乗り出したのだ。

 バターを載せたトラックが止まったのは、杭州市郊外にある民家の前。 これが噂に聞いていた “秘密の倉庫” だったのだ。 工場から出たとき、バターの製造日は3013年11月17日だった。 だが秘密の倉庫から戻ってきたときには、その製造日は2014年4月11日に修正されていた。


食品の質だけではない
上海福喜食品に見るもうひとつの “変質”

 ところで、今回の上海福喜食品をめぐる一連の報道は、 「もうひとつの変質」 をも明らかにした。 今回の一連の報道劇を手記に残した記者の一文からは、企業の質もまた変化を余儀なくされていたことが読み取れる。 中国で変質するのは食品だけではないのだ。

 テレビ局に告発を行った元従業員は勤続年数の長い、上海福喜食品の古株でもあった。 過去と現在を知るこの元従業員の言は、かつて上海福喜食品にも非常に厳しい管理体制が存在したことを訴えるものだった。 それが消えてしまった理由は何か。 一言で言えば、世間相場に反した 「安月給」 だった。

 工場では、 「帽子の色で担当エリアを分ける」 といった先進的管理手法が取り入れられる一方で、従業員は室内温度4度という劣悪な環境下で安月給での労働を強いられていた。 保温服に防護服を重ね、マスクに手袋の重装備をし、まじめな働きぶりを発揮したとしても、手にする月給はたった2000元( 約3万2000円 )でしかなかった。

 この程度の月給で、管理マニュアルが求める細かいルールに従えというのは、彼らにとって承服できるものではなかった。 「安月給にもかかわらず厳しいルールでがんじがらめ」 と、上海福喜食品からは多くの従業員が離れた。 厳しく指導する先輩も姿を消し、新規採用の従業員も定着せず辞めて行った。 管理体制を狂わせたのは、他でもないこの 「人材の流動」 だったのである。


食品に問題は 「あって当たり前」 の中国
体を張って取材する若手記者たち

 こうした社会の歪みを背景に、中国では食品の安全性に問題があることが、むしろ普通の状態になっている。 検査当局が嗅ぎつけられない “秘密の倉庫” は上海福喜食品に限った話ではなく、当局の取り締まりと闇業者は常にいたちごっこを繰り返している。 不正は日に日に肥大化し、組織ぐるみで大規模な消費期限の改ざんや食品の偽造などが、今や白昼堂々と行われているのが実情だ。

 製造する側も消費する側も、 「食の危機」 に対する感覚は日ごとに麻痺し、いまさら驚くべき問題ではなくなりつつある。 恐ろしいのはそこである。

 反応の鈍くなった世間の問題意識を呼び覚ますのが、若手記者たちのドキュメント取材である。 それには、 「カメラが追った映像」 が効果的だ。 記者の手記には 「潜入取材は慎重な判断が必要だが、公共の利益を優先すればこそ踏み切った」 とある。 社会にインパクトを与え、安全問題に対する世論を高めれば政府が動く。 彼らの体を張った取材は、確かに世の中を変える力にもなっている。

 そんな若い記者たちにエールを送る市民もいる。 上海の外資系企業に勤務する女性はこう話す。
「記者らは殴られ、撮影機材を壊されることもある。 中には事実を曲げる悪質な記者もいるが、まじめに頑張る記者を見ていると私も応援したくなる」
 「バレなきゃいい」 と開き直る食品の生産現場を目の当たりにし、中国社会は 「中国企業はついに踏み越えてはならない一線を越えてしまった」 と嘆く。 食品安全問題は、中国の経済発展が生むべくして生んだ最も致命的な社会問題であるが、唯一希望が垣間見えたのは、これを暴いた記者がいるということだ。

 それは 「共産党支配下の中国では報道も規制されている」 という、私たち日本人の印象を覆すものだ。 日本で批判されるように、中国メディアは 「民」 の悪事は暴けても 「官」 の不正には手が出せないという側面も、たしかにあるだろう。 だがある部分では、ひょっとしたら日本以上に自由で活発、そして使命感と行動力に満ちた取材が行われているのではないだろうか。 今はまだ限られた範囲での活動であっても、これが下地となって、やがて社会を変える力になっていくことを期待したい。





( 2014.08.01 )

  


 31日、海外のファストフード大手がサプライヤーの提供する食品の安全性をめぐって苦境に立たされたが、目下直面している状況は対照的だ。 マクドナルドの多くの店舗では、29日に限られたメニューしか提供できないことを謝罪するお知らせが掲示された。

 食品の棚は空っぽで、いつもはカウンターにある色とりどりのメニューボードが、今ではポテト、コーヒー、コールドドリンクが黒白で印刷された紙に代わっている。 中国各地のマクドナルド店舗では、肉を使用する商品が相次いで品切れになっており、マクドナルドは供給元を中国内の他の大手サプライヤーとの取引に切り替える可能性がある。 もう一つの大手ケンタッキーは、速やかに原料サプライヤーを変更したため、通常通りの営業ができている。

 昼飯時に北京のマクドナルド地壇西門店をのぞいてみたところ、最も一般的なメニューのハンバーガー類、チキン類などがことごとく販売を停止し、買えるのはフィレオフィッシュだけだった。 いつもはカウンター前に注文待ちのにぎやかな列ができるが、今は数人の客がマックサンデー、コーヒーなどの飲み物、ポテトやパイなどのフードを注文する姿がまばらにみられるだけだ。 普段であればカウンターには4-5人の店員がいるが、1人で応対していた。

 別の店舗も似たような状況で、多くの店舗ではわずかに残っていたフィレオフィッシュさえも品切れになっている。 いつも通りに提供できるのは、ポテト、アイスクリーム、コーヒー、サラダくらいで、客足は激減した。 店内で飲食していた消費者を取材してみたところ、 「食品の安全性に問題が起きたので、これからはマックを食べる機会はなるべく少なくする」 という声が返ってきた。

 一方、ケンタッキーには品切れの状況は起きていない。 店舗にはお知らせの張り紙があり、上海福喜食品との関係を説明しているが、原料サプライヤーを迅速に切り替えたため、商品は通常通り販売できており、問題発生以前に比べて客足に大きな変化はみられない。

 業界関係者は次のように分析する。 「今回、マクドナルドが中国の店舗で、上海福喜の期限切れ鶏肉事件に巻き込まれて被った損失は、ヤム・ブランズ中国法人が被った損失よりも大きい。 サプライヤーについて分析すると、マクドナルドの米国での発展はこれまでずっと( 上海福喜の親会社 )OSIグループとの協力によって行われてきたのであり、中国市場に進出するとOSIグループを中国に呼び込んで原料サプライヤーとした。 つまり、マクドナルドとOSIグループとの協力はより密接になったということだ。 製品の原料を分析すると、マクドナルドの肉を使った商品の原材料は多様で、商品リストをみると、鶏肉もあれば、牛肉も魚肉もあり、これはケンタッキーとの違いでもある。 原料供給チェーンが断たれれば、受ける影響は単一の原料を使っているところよりも大きくなるのは確実だ」。

 マクドナルドは上海福喜の期限切れ鶏肉事件の発生後、速やかに上海福喜からの調達を取りやめ、河南福喜からの調達に切り替えた。 だが消費者の心理に配慮して、一時的に中国の福喜各社との協力を全面的にストップさせた。 このようなあわただしい決定により、原料の供給に不足が生じることは確実だ。

 マクドナルドの中国法人・麦当労( 中国 )有限公司は、一部の店舗では8月初旬に全メニューの提供を再開し、一部の店舗はやや後れる可能性があることを明らかにした。 消息筋によれば、マクドナルドは一連の新サプライヤーと協力態勢を取り、目下積極的に商品の準備を進めている。 こうした動きの背景には、各地のマクドナルド法人には中国の農産品筆頭企業が出資しているところが少なくないことがある。 たとえば北京三元食品株式有限公司は北京麦当労食品有限公司の株式の50%を保有しており、広東三元麦当労食品有限公司の株式の25%も間接的に保有している。






  


 中国の食汚染が再び、日本の外食産業に激震を走らせた。 上海の食品会社が使用期限の切れた鶏肉を使っていたことが発覚し、取引のあった日本マクドナルドやファミリーマートが一部商品の販売を取りやめた。 中国産食品の危険性が、またもや明らかになった格好だ。 専門家は 「中国産食品への依存を見直さない限り第2、第3の事件は起きる」 と警鐘を鳴らしている。

 床にこぼれ落ちた肉塊を平然と調理鍋に投げ入れ、期限切れの肉を当たり前のように使い回す。

 中国・上海のテレビ局が報じた工場内部の映像は衝撃的だった。

 ずさんな衛生管理の実態が発覚したのは、上海の食肉加工会社 「上海福喜食品」。 同社では使用期限が半月過ぎた鶏肉や青カビが生えた牛肉を日常的に使っていたという。

 同社から 「チキンナゲット」 の約2割を輸入し、国内全体の約4割に当たる約1340店で販売していた日本マクドナルドと、 「ガーリックナゲット」 用などに輸入し、約1万店で店頭に並べていたファミリーマートは、メニューの販売中止に追い込まれた。

 今回の問題は、他の外食チェーンにとってもひとごとではない。

 ガストなどを展開するファミリーレストラン最大手 「すかいらーく」 は 「問題になった上海の会社との取引はない。 中国食品の取り扱いはあるが、厳しい検査基準をクリアしたものだけを使っている」 と強調。 牛丼大手 「吉野家」 を展開する吉野家ホールディングスは 「国内外含めて問題となった会社との取引はない」 とし、 「中国産食品の取り扱いについては担当者不在のため回答できない」 とした。

 日本ケンタッキー・フライド・チキン( KFC )は中国産鶏肉の使用はなく、 「小麦の一部に中国産を使っているが、食品の安全管理には万全を期している」 と話した。

 主だった外食チェーンは安全性をアピールするが、消費者としては不安は尽きない。 背景には、何度となく 「食のチャイナリスク」 に直面してきたことがある。

 2012年には、抗生物質や成長ホルモンが過剰投与された 『速成鶏』 と呼ばれる鶏肉が、KFCの中国法人で使われていたことが判明した。 日本では07年から08年にかけて毒ギョーザ事件が発生し、食べた10人が中毒症状を訴え、1人が一時重体に陥った。 米国や欧州各国でも、中国産のペットフードによるペットの大量死が起きるなど事件が相次いでいる。

 厚生労働省がまとめた 「輸入届出における代表的な食品衛生法違反事例」 で日本に輸入される際に摘発された中国産食品を調べてみると、危ない食材がゴロゴロと出てくる。

 大腸菌まみれの 「蒸し鶏」、漂白剤が残存する 「乾燥きくらげ」、下痢性貝毒に汚染された 「冷凍あさり( むき身 )」、猛毒のヒ素が検出された 「清涼飲料水」 もあった。

 違反事例は、食品専門商社などが輸入する際、厚労省のモニタリング検査などで汚染状況が判明したケースで、現実には日本国内に流通することはなかった。

 だが、厚労省の医系技官で検疫官の経験がある木村盛世氏は 「問題のある食品を( 検疫所で )すべてシャットアウトするのは事実上、不可能。 輸入食品の水際検査を行う食品衛生監視員はわずか399人( 13年3月末時点 )。 検査機能を備えるのは横浜と神戸の検疫所だけで、マンパワーとインフラの両方が不足している」 と説明。 中国政府が、現地にしっかりとした検査機関を設置しない限り汚染食品の流入は防ぎようがないという。

 『中国ニセ食品のカラクリ』 ( 角川学芸出版 )の著書があるジャーナリストの富坂聰氏は、中国の食汚染の要因について、 「生産業者の規範意識の低さはもちろんだが、業者間の競争が激化していることも一因だ。 一般論だが、彼らは悪いことをしているという認識の前に、コストを少しでも浮かせて利益を得たいという意識がある。 競争を勝ち抜くため、期限切れのものを使ったり過剰に農薬を投与したりして不正を働く側面がある」 と解説する。

 食材の危険性がクローズアップされても日本の中国依存は弱まらない。

 財務省がまとめた貿易統計によると、昨年度の中国産食品の輸入高は約8701億円。 日本は最大の輸入相手国である米国の1兆2646億円に次ぐ高さで、00年度の約6503億円から約33.8%も取引量が増えた。

 日本の食料自給率も1992年にカロリーベースで46%だったが、2012年には39%に減り、輸入食品頼みが続いている。

 木村氏は 「根本的な解決を目指すなら、日本の食糧事情を見直すべきだ。 ( この状況なら )中国産食品での第2、第3の事件はいつ起きてもおかしくはない」 と語る。

 中国発の 「毒食品」 にむしばまれる前に早めの対策が求められている。


中国輸入食品の代表的な食品衛生法違反事例
品名違反内容
うるち精米腐敗、変敗、カビの発生
たらこ発色剤・亜硝酸根の過量残存
ナッツ類( くるみ )アフラトキシン( カビ毒 )の検出
ピータン指定外添加物の製造用剤・酸化亜鉛の含有
ゆで小豆成分規格不適合( 細菌試験 )
塩蔵タケノコ漂白剤・二酸化硫黄の過量残存
塩蔵らっきょう漂白剤・二酸化硫黄の過量残存
塩蔵生姜漂白剤・二酸化硫黄の過量残存
乾燥きくらげ漂白剤・二酸化硫黄の過量残存
乾燥しいたけ漂白剤・二酸化硫黄の過量残存
乾燥だいこん( 切干大根 )漂白剤・二酸化硫黄の過量残存
魚肉ねり製品成分規格不適合( 大腸菌群 )
魚肉ねり製品( ウナギつくね串 )成分規格不適合( 大腸菌群 )
春雨漂白剤・二酸化硫黄の過量残存
小豆成分規格不適合( ジクロルボス )
食肉製品( ソーセージ )成分規格不適合( 亜硝酸根 )
食肉製品( ポークソーセージ )成分規格不適合( 亜硝酸根 )
食肉製品( 牛舌スライス )成分規格不適合( E.coli )
食肉製品( 牛舌串さし )成分規格不適合( E.coli )
食肉製品( 焼き鳥・つくね串 )成分規格不適合( E.coli )
食肉製品( 蒸し鶏 )成分規格不適合( 大腸菌群 )
食肉製品( 炭焼き鴨ネギ串 )成分規格不適合( E.coli )
食肉製品( 炭焼きつくね串 )成分規格不適合( E.coli )
食肉製品( 備長直火焼きチキン )成分規格不適合( E.coli )
清涼飲料水成分規格不適合( ヒ素 )
冷凍あさり( むき身 )下痢性貝毒の検出
冷凍エビ酸化防止剤・二酸化硫黄の過量残存
冷凍カキ( むき身 )下痢性貝毒の検出
冷凍ハンバーグ成分規格不適合( 生菌数 )
冷凍ビーフコロッケ成分規格不適合( E.coli )
冷凍蒲焼きウナギ成分規格不適合( 大腸菌群 )
冷凍鶏肉成分規格不適合( 合成抗菌剤のクロピドール )
冷凍餃子成分規格不適合( 生菌数 )
厚生労働省の 「輸入届出における代表的な食品衛生法違反事例」 から抜粋して作成。
ジクロルボスは有機リン系の殺虫剤、E.coli( イー・コリ )は大腸菌の学名の略





( 2014.08.15 )



 品質保持期限を過ぎた鶏肉製品やカビの生えたステーキなどを出荷していた中国・上海の米系食品加工会社 「上海福喜食品」 が、日本マクドナルドとファミリーマートに鶏肉ナゲットなどを納入していた問題は、日本の 「食の安全」 を大きく揺るがしている。 この会社が組織ぐるみで期限切れ肉を使用していたことから、一従業員の犯行だった08年の冷凍ギョーザ事件とは意味合いがまるで異なるのだ。 『中国複合汚染の正体』 などの著書があるジャーナリストの福島香織氏が言う。

安全とされてきた外国資本であっても、コストを抑えるために現地法人をつくって管理を中国に任せれば、こうした問題が起きてしまう。 そして、期限切れが横行していながら、親会社は1年間も気づくことができなかった。
 私か数年前、日本に出荷する中国の農産物加工工場を取材したときにも、 『うちは安全だ』 とポジティブな面しか見せようとしませんでした。 ところが、よその業者については 『あそこの牛は獣医も使わずに抗生物質を打っている』 と不正が横行していると断言していた。 ある豚の生産農家は、 『都市の奴らは病院がタダだろう。 悪い物食べてもいいじゃないか』 と平然と言っていました。 供給する側のモラルには、上層部の金権主義、生産者の経済問題や貧富の格差などの社会的背景があるため、食品不正は根深い問題となっています」
 今回の事件でも、上海のテレビ局の映像には 「( 期限切れの肉を )食べても死なない」 と言い放つ従業員の姿が収められていた。 相手が日本人ならば 「悪い物を食べさせていい」 という感覚が、彼らの中にあったのではないか。

 さらにタチが悪いことに、中国では食品の安全を監視するはずの行政が、そうした不正に荷担しているのである。
 中国在住のジャーナリスト、西谷格氏は昨年5月、キッネ肉を羊肉と偽って販売された肉が、中国のチェーン系のしゃぶしゃぶ料理店に出回った問題について取材したところ、思わぬ目に遭ったという。
「キッネ肉を販売した疑いのある河南省の加工工場に話を聞こうとしたところ、警察を呼ばれ、パトカーでホテルの一室に連行されました。 その後、公安局を名乗る警官をはじめ7人もの関係者から取り調べを受け、 『記者証もなく取材するのは違法行為だと知らなかったのか』 など矢継ぎ早に聞かれ、答えあぐねると 『すぐに答えろ!』 と恫喝されました。 取り調べは深夜2時まで続き、翌日調書にサインと押印の上、ようやく解放されました」
 中国にとって不都合な真実は行政ぐるみで隠すということだ。 前出・福島氏も言う。
「今回の不審点は、なぜ上海市のチェック体制が機能しなかったのかということです。 現地法人ができた96年は、上海が高度成長の真っ只中で企業を呼び込んでいた時期です。 行政との間で、監視体制を甘くする何らかの癒着があったのではないか」
 上から下までこの調子では、毒食品がなくなるわけがない。





( 2015.01.12 )


 中国で病死した豚の肉、1000トン以上を加工して販売していたとして、販売グループのメンバーおよそ110人が拘束されました。 加工された肉は中国国内の一部の地域で販売されていました。

 「病死し、腐った豚肉、つまり売れなくなった豚肉を、全部この鍋に入れて問題の油を作ってました」 ( 中国・湖南省の警察 )

 中国の警察当局は11日、病死した豚の肉を加工・販売していたとして、11のグループのメンバー、およそ110人を拘束したと発表しました。 容疑者らは2008年ごろから豚の保険を扱う保険会社から病死の情報を仕入れ、農家から安い価格で病死した豚を購入。 ベーコンやソーセージ、食用油などに加工していました。

 販売先は湖南省や河南省など、中国国内の11の省や自治区に及び、売り上げはおよそ1億元、日本円で19億円に上るということです。 容疑者らは監督機関の役人も買収し、安全な肉であることを証明する検疫合格証も偽造していました。

 中国では病死した家畜の肉が加工・販売される事件が相次いでいて、警察当局の発表によりますと、2011年の8月以降、4600件が摘発されています。


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( 2015.04.25 )

   


 中国の福建省で、2つのグループが養豚業者から病死した豚を安く買い取り、これらの豚肉をひき肉やハムなどに加工して、2010年から5年間で合計2000トンも売りさばいていたことが分かった。 犯人グループは12人いたが、彼らはこれらの豚肉を一切食べていないという。 ネット上では 「死刑にしても怒りは収まらない」 との声が数多く寄せられている。

 2つの犯人グループが病死豚の肉を加工して売っていたことが分かったのは、豚を売った養豚業者の知人が匿名で警察に訴えたためだ。 警察は今年3月、これらの加工工場に強制捜査に入り、死亡した豚や加工済みひき肉やハムを押収し、犯人グループ計12人を逮捕した。

 調べによると、彼らは死亡した豚を一匹当たり100元( 約2000円 )程度で引き取っていたという。 ある養豚業者は2010年初めごろから、犯人グループに病死した豚を売っており、全部で5万匹に達するという。

 これらのハムやひき肉は福建省内の福州市や厦門市、泉州市のほか、河南省や浙江省、湖南省、四川省、広東省で売られていた。 販売総額は約5500万元( 約11億円 )にも上っている。

 犯人グループは福建省の高級法院( 高裁 )で裁判にかけられ、12人にそれぞれ懲役12年から2年6月の判決が下された。

 ネット上では、これらの加工したひき肉やハムが売られた福建省などからの書き込みが相次ぎ、 「もしかしたら、食べたかも知れない。 そういえば、2、3日腹の調子が悪い時期が続いたこともあった。 懲役12年なんて許せない。 死刑にすべきだ」 などの怒りの声が多く寄せられている。

 中国では最近、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどで、抗生物質や成長ホルモン剤を過剰に投与した鶏肉が使用されていたことが分かり、大騒ぎになったばかり。 李調





( 2015.07.20 )

 



摘発された業者の倉庫にあった冷凍肉。数十年前に生産されたものも。
 中国税関は6月、牛肉や鶏肉など冷凍肉の密輸業者を一斉摘発。 押収量は10万t以上で、末端価格は日本円にして600億円以上になったという。 しかし、もっとスゴいのは、冷凍肉の中になんと生産日時の表示が20~40年前になっていたものがあったことだ。 現地ニュースは数十年のときを経て甦った冷凍肉を “キョンシー肉” と呼び、新たな社会問題となっている。

 問題の冷凍肉はブラジルやインドなどから香港に持ち込まれ、再びベトナムに出荷。 そこから陸路で中国に運ぶという、手の込んだ密輸方法が取られていた。 今回のキョンシー肉騒動について、元食品商社勤務で、現在は上海市内で日本料理店を営む津森隆さん( 仮名・45歳 )は話す。
「日本を含む先進国がかつて電子ゴミなど産廃を中国に輸出して処分していた時期があるでしょ。 キョンシー肉も同じ構造です。 各国で廃棄対象となりながら、コストの問題で放置されていた冷凍廃棄肉を中国の業者がタダ同然で引き取っているのです。 さらに欧州などの一部の国では、災害や戦時を想定して食肉を備蓄しており、それらが裏ルートで業者にわたったとの情報もあります」
 一方、広州市郊外で飲食店を経営する松田尚さん( 仮名・42歳 )によると、キョンシー肉は中国国内でも生産されているようだ。
「中国では牛肉や豚肉の価格が不安定で、価格が安いときに仕入れ、冷凍して値上がりするのを待つ精肉業者もいる。 なので、食肉市場の相場が急に上がった時は、粗悪な肉が出回ることが多い。 3~5年間、冷凍庫に眠っていたような肉もザラ。最近では、明らかに冷凍焼けした古い肉を持って来て、 『ドライエイジです』 とのたまう業者もいる。 中華料理では、肉に濃いめの味付けをすることが多いので、わかりにくいのです」
 さらに肉をめぐってはこんな騒動も。 山東省済寧市で主婦が購入した牛肉の切り身が動き出し、 「キョンシーも真っ青」 と話題に。 『斉魯網』 ( 6月26日付 )が報じた映像を見ると、肉塊の表面が、生きているかのようにピクピクと動いている。 地元衛生当局の担当者は、 「末梢神経が生きていることで起きるもので、新鮮な証拠」 としているが、購入から丸一日経過しても動き続けており、主婦は 「寄生虫しか考えられない」 と発言。 ネット上でも「どう考えても寄生虫」 との意見が多勢を占めている。 映像を見て、 「悪夢が甦った」 と語るのは、広東省仏山市で貿易業を営む林田岳男さん( 仮名・50歳 )だ。
「市場で買ってきた牛肉を包丁で切ったら、血管の断面から白い寄生虫がウジャウジャ出てきたことがあった。 それ以来、私は牛肉が食べられなくなりました」
 水を注入して嵩増しした 「注水肉」 や 「病死肉」 の流通など、中国では食肉をめぐる事件が相次ぐ。 その背景について、中国人ジャーナリストの周来友氏はこう話す。
「背景には食肉格差がある。 都市部では飽食なのに、農村部ではいまだに年に数回しか肉を食べられない地域も少なくない。 多少古くて危険でも、 『安ければ買う』 という人々は内陸部にまだまだいる。 彼らがいなくならない限り、こうした偽装肉はなくならない」
 食肉格差を是正するため、配給制に逆戻りするしかない!?