毒ガス処理に1兆円
 中国の尻拭いはもう沢山
 1兆円とも試算される中国の遺棄化学兵器処理事業。 それで済むならまだいい。
 よく見れば、未来永却中国にしゃぶり尽くされる構図が透けて見える。
 日本の国益を誰が守るのか。


 ここ数年のあいだ、日中問題でこれほど腹が立ったことがないのが、中国における遺棄化学兵器廃棄処理事業です。
 いまこの事業が、中国にいいように食い物にされようとしている。
 遺棄化学兵器というのは、第二次大戦中に旧日本軍が対ソ戦に備えて、満洲( 中国東北部 )に持ち込んだ化学兵器の未処理分のことを指します。 塵爛剤( マスタード )など6種の化学剤を装填した未処理分の兵器は、その9割が満洲・吉林省ハルバ嶺に埋まっていると見られ、遺棄砲弾数は日本側が70万発( 推定 )、中国側は200万発が残存していると主張しています( 2005年10月20日、日本政府は推定埋設数を30万~40万と下方修正する考えを示した )。
 遺棄化学兵器の廃棄処理については、中国が1997年に化学兵器禁止条約( CWC )を批准したのにともなって、日本が2007年までに兵器を全面廃棄する義務を負いました。 同条約では「 他の締約国の領域に遺棄した化学兵器は廃棄する 」( 第一条三項 )とあり、処理費用は遺棄国が負担します。 1999年7月、日中間で覚書が取り交わされ、「 日本側が必要な資金や技術などを提供し、中国側が協力を行う 」ことや、化学兵器による将来の事故についても日本側が補償することなどが決まっている。
 その結果、この廃棄処理事業がわずか数年の間に一兆円規模の巨額プロジェクトになる可能性が出てきました。
 私が腹だしく思っているのは、その実態が明らかになればなるほど、このままでは中国にしゃぶりつくされてしまう、その泥沼に日本はすでに足を踏み入れてしまっているということです。





 1945年( 昭和20 )年8月15日、わが国はポツダム言言を受諾して降伏しました。 ドイツのように無条件降伏したのでもなく、イラクやアフガニスタンのようになし崩しに勝手に降伏したのではなく、大本営が各地の派遣軍に命令し、ポツダム宣言の条項を遵守して整然と降伏したんです。
 ポツダム宣言には「 完全なる武装解除 」の条項( 九条 )があり、その条項に従って、その際、旧日本軍の武器・弾薬は、飛行機や戦車から銃や弾丸にいたるまでのすべてを引き渡しました。
 シナ大陸については、満洲にあったすべての兵器はソ連へ、その他中国国内の分は蒋介石へ正式に引き渡されたんです。 そのなかには化学兵器も当然含まれています。 従って、満洲に残っている化学兵器については、ソ連の責任のもとに処理されるべきです。 彼らはすべての兵器を引き受けたのであり、その時点で所有権や管理権は彼らに譲渡されたのですから。 引き渡された兵器をどうするのかについては、引き渡した相手の問題であって、いまさら日本が主体的に関わる問題ではありません。
 ですから、シナ大陸に遺棄された兵器を、いまさら日本が処理する義務はないと、交渉のテーブルで突っ張ろうと思えば突っ張れたはずです。 最初にそう突っ張らなかったのが、間違いの始まりで、後になって相手のいいように食い物にされかねない結果を引き起こしたわけです。
 しかもこの化学兵器禁止条約はもともと化学兵器の使用や開発、製造や貯蔵を禁止する条約ですが、前述した第一条三項は中国側の強い希望で明記されたといいます。 中国で武装解除された旧日本軍の残留兵器以外は世界で遺棄とされる例はなく、事実上の「 日本専用条項 」といわれている。

 この条約を1995年に批准したとき、日本の首相は 村山富市 社会党党首( 当時 )であり、外務大臣は 河野洋平 現衆議院議長でした。
 村山氏は1995年5月の日中首脳会談の席上、中国の李鵬首相( 当時 )に 「遺棄化学兵器の問題には、誠実に対応したい」 との旨を話し、河野氏は同年11月の日中外相会談で、 「中国人陸に遺棄されている化学兵器について、日本側が責任をもって処理する」 との趣旨を銭外相( 当時 )に伝えて、この化学兵器の処理を易々と引き受けてしまったのです。

 それがすべての発端でした

 以前にも述べましたが、サンフランシスコ講和条約を結んだ時点で、敗戦以前のことはすべてご破算なのですそれが平和条約の意昧であり、条約以前のことに遡ってはいけない。 日本は化学兵器を勝手に捨ててきたわけではありません正式に引き渡してきたわけです

 知人の一人は 「 これはサナギの問題だな 」と言いました。 処理事業がおおよそいくらの金額で遂行可能だと見積もっても、サナギが蝶に成長するがごとく、金額も底なしに増えていくだろう、というのがそのこころです。
 事実、蝶( 兆 )になりかけている。
 その兆しは、あちこちに見られます。 先はどの遺棄残存砲弾数のお互いの大きな隔たりもそうですが、ほんとうに遺棄化学兵器が旧日本軍だけのものかも判然としていません。 旧ソ遂の兵器も混じっているのではという推測もあります。 その上で、吉林省だけでなくシナ大陸各地に散らばった兵器も始末してくれと、中国側は要求している。
 また調査活動に協力した中国人スタッフに日本側が支払った日当は平均数10ドルですが、じっさいに本人たちに手渡されたのは約10元( 約130円 )程度とも言われ、中国側によるピンハネも指摘されています。 吉林省の施設建設のために行われる森林伐採で、中国側が要求したのは 「 白樺1本100ドル 」。 せいぜいが2、3ドルの国際相場と比べ、呆れるくらいの法外さです。 要員宿舎は豪華な2LDKで、プールなどのスポーツ施設も併設される予定だという。
 ここまでくると、ぶったくりも甚だしい。 ハイハイと鵜呑みにしていたらキリがありません。 しかも、そこに役人されるカネはわれわれの税金なのです。





 この問題を原点に戻って仕切り直せるのは、政治家しかいないと思いますが、私のさいきんの体験からすると甚だ心もとない。
 過日、現行憲法改正のシンポジウムに出席したのですが、その席で、中曽根康弘氏をはじめ自民党や民主党議員たちの意見を拝聴しました。 その印象を一言でいうなら、彼らは、アメリカによる占領史観に毒されているといえます。 占領史観というのは東京裁判史観といってもいい。
 現行憲法は日本の占領時代に制定されたものです。 その当時、日本は連合国占頷下にあり、日本という国の主権は認められていませんでした。 その国の主権の無い状態で、国家の基本となる恒久的な法律の制定を占領軍はやってはいけないという趣旨の国際法があるにもかかわらず、それを犯してまで、現行憲法をつくったのです。 マッカーサーは、日本人がつくったんだと自伝等で書いていますが、それは形だけです。 GHQのケーディスの意向に沿わない文言は、一言も反映されませんでした。
 ですから新たに憲法をつくるのならば、一度主権の無い時代につくられたものだから、本質的に無効であるという宣言をする。 その上で中味を議論するべきです。
 現行憲法を有効にしたままで手を加えるというのは、独立国家としての日本がやることですから、占領憲法( =現行憲法 )にレジティマシー( 正統性 )を与えることになってしまいます。 これはとんでもないことなんです。
 また、憲法前文には 「 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した 」 と書いてある。 国民の 「 安全と生存 」 を他国に委ねるというのです。 これは主権の発露たる憲法ではありません。
 ですから本質的には現行憲法は無効であるとする。 だからといって法律が直ちに失効するわけではありません。 それから一歩一歩、中味を議論し直していく。 そういうところからスタートしなければならないのに、その発想が中曽根氏をはじめとして、出席者のパネリストには誰一人としてありませんでした。
 彼らの発言を聞いていると、中曽根氏や自民党議員といえども、東京裁判史観に毒されていることがよく解ります。 言論界の重鎮だった、猪木正道氏もそうでした。いわんや、村山元首相、河野洋平衆院議長をや、です。
 彼らは、やらなくていい数千億のカネを拠出することに軽々に同意してしまうほどに、中国から何か言われたら、すべてハイハイと聞くべきだという 「 刷り込み 」がなされているのだろうと、私は思います。
 王毅駐日中国大使は「 シナ事変( 日中戦争 )の開戦責任を東京裁判ですら日本に問うことはできなかった 」という私の指摘を否定できなかった。 シナ事変に関する、こんな基本的な、日本にとって重要なことも知らない政治家が多いのです。
 この遺棄化学兵器廃棄処理の問題は、教科書問題や従軍慰安婦問題とも一脈通ずるものがあります。 何が何でも中国には謝らなければならないという、「 刷り込み 」の成せる技です。 東京裁判史観のいちばん悪いところが顕現している。 日本のいまの政治家の病気でしょうか、無知と東京裁判史観とが形作った怯儒きょうだむしばまれています。
 最近、ある雑誌で面白いというか情けない記事を読みました。 日本の国連常任理事国入りに関して、その記事では、ASEAN( 東南アジア諸国連合 )の10ヵ国ヘ1993年からの10年間の統計で7兆円、うち技術供与を含む無償援助は1兆2千億、アフリカ47ヵ国にばらまいたカネは2兆円、無償援助は1兆6千億円にのぼる。 これだけのカネをくれてやったのに、G4案( 日本を含む4ヵ国の常任理事国入り案 )にはASEAN諸国やアフリカ諸国から支持を得られなかった。 何のためのODA( 政府開発援助 )なのか。 しかしその裏側をひも解けば、中国が彼らを買収してしまったからであり、そのカネは日本からもらったカネ、つまりはODAが使われたというのです。

 そこまでされたのにもかかわらず、 「ODAがなければ外交はできません」 と川口順子元外相はのうのうと言ってのけた何と情けない外交か





 化学兵器が世界史に初めて登場したのは、第1次大戦です。 ドイツ軍の毒ガス兵器使用によって、連合軍は大規模で悲惨な損害を蒙ったために、1925( 大正14 )年ジュネーブ議定書が成立し、化学兵器の使用が禁止されました。
 しかしその条約の成立後も、ソ連やアメリカは化学兵器を製造しつづけていました。 子供のころに愛読していた雑誌 『 少年倶楽部 』 に、 「 世界の陸軍 」 という画集の付録がついており、そこで描かれているソ連兵はみな防毒マスクをつけていました。
 日本は、毒ガスを保有しているソ連に対抗すべく、毒ガス兵器の研究をし製造に成功し、ある程度保有していました。
 話は少しそれますが、アメリカによって原爆が広島・長崎に投下されたことについて、アメリカは二言目には 「 原爆を落とすことで、あの戦争の終結が早まった 」 という。
 あるとき、私は原爆と関係のない国際会議の合間で戦争を早く終わらせるために、無辜むこの民を何十万人も殺していいのなら、毒ガスを使っても許されるんじゃないかと、一緒にお茶を飲んでいた人たちに逆説めい て言ったことがあります。
 日本は、確かに毒ガス兵器を保有していました。 アメリカには、もし毒ガス兵器を日本に向けて使ったら、その報復は毒ガス兵器によるかもしれないという恐怖があったと思います。 特攻隊に毒ガスを仕込まれて空母にでも突っ込まれたら、艦内に空気を循環させている航空母艦なら、たちまち艦内に蔓延し全員死亡してしまうでしょう。 そういった恐怖があった。 だから、日本に存在しない兵器である原爆で、大量虐殺を行ったのでしょう。
 日本が毒ガス兵器でやられなかったのは、日本が持っていたからです。 ヒトラーも毒ガスを持っていましたが、遂に使わなかった。 ソ遂もイギリスもアメリカも使わなかった。 持っているだけで使わない。
 このようなことを考えると、日本が毒ガスを持っていたのは自衛のためにも当然であり、決して後ろめたい気持を抱くことはありません。日本は敗戦にあたって、それらをソ連や中国に引き渡してきた。 しかも今回のCWC締結は、サンフランシスコ講和条約後何十年も経ってからのことです。
 蒋介石も講和条約締結後に、賠償の放棄をした日中間では1972( 昭和47 )年の日中共同声明によって、戦時賠償は解決済みですなぜそれを主張しないのか。 もちろん遺棄について日本がまったく無関係だとは言えないでしょうから、せいぜい廃棄処理に関しては数億円程度を 「 援助 」 というかたちで拠出し、あとは打ち切るべきでした。 そう交渉すべきだったのです。

 この問題について、日本外交はまったく体を成していませんでした。 村山富市首相( 当時 )は、 中国にとにかく謝罪したい政党の出身です。 もっと言うなら、 社会党員にはそもそも国会議員になる資格はありません。 というのは、 彼らは日本の独立回復に関して、 サンフランシスコ講和条約に、 スターリンの希望に沿って署名することを拒否した人たちです。

 ある国の独立に反対だった輩がのうのうとその国の国会議員になって、 さらにその政党から首相を選出させるなどとは笑止千万です。 そこを誤魔化して、自らの権力を保持せんとした当時の自民党首脳たちも、 どうかしていた。

 驚くべき無知というしかない

 左翼の連中のなかには、基本的に 「日本悪しかれ」 思想がどこかに潜んでいます。 彼らはソ連を祖国だと言った連中なのです。





 その尻拭いを、いまわれわれの税金でさせられているわけです。 化学兵器廃棄処理事業は1兆円と試算されていますが、1兆円で終わるならまだいい。 これは 「金のなる木」 ですから、中国はどこまでもしゃぶりついてくる でしょう。

 日本側の推定埋設数は約30~40万発ですから、それ以上は知らないと、突っぱねなくてはなりません。国際関係、とりわけ中・韓にたいしては、原則を決めたらそれから一歩も譲ってはなりません。 こちらが譲らなければ、案外向こうから譲ってくるものです。

 CWC第一条三項を見ても、日本を嵌めるために、中国が強く主張したことなのです。 そんな条約を、どうして日本が簡単に承服しなければならないんでしょうか。 誰がオーケーの判断を下したのか。 条約や覚書を交わすことは危険だと警告した人たちもいたはずです。 なぜ彼らの警告が届かなかったのか。

 私は中国を憎むというよりも、そんなことに引っかかって日本人のカネを将来にわたって無制限に流出させてしまい、際限なく国益を損ねる結果を生み出した政治家たちに憤っています

 その中心人物のひとりは、いま衆議院の壇上で議長をしているこれほど間抜けな国があるでしょうかそれは会社にたとえるなら、会社に莫大な損をかけた担当役員が社長か会長にとどまっているようなものでしょう。

 日本の戦後は、ある時期から日本に害をなした人がなぜか偉くなる傾向にあります。 ましてや、そんな人物に栄誉称号を与えるという愚がなきよう、われわれは監視していかなくてはなりません。





“遺棄化学兵器”は
  中国に引き渡されていた
     ~ 残っていた兵器引継書 ~




中国“遺棄化学兵器”問題
  政府は早急に
     新資料の調査を行うべきだ




中国遺棄化学兵器処理で
コンサルタント料 「50億円」 が消えた!