( 2013.03.12 )

 


 米国のコンピューターセキュリティー企業が、米国の企業や政府機関に対するハッカー攻撃には中国人民解放軍が関与していたとする報告書を2月に発表した。 それによると、中国は2006年から、テレコミュニケーションや宇宙開発、エネルギー分野など約20業種、少なくとも141企業からデータを盗んでいたという。 長期に及ぶ慎重な調査は、大半の攻撃が中国・上海のオフィス街にある12階建てのビルを発信元としていることを突き止めた。 そこに存在するのは人民解放軍の部隊 「61398」 だった。

 「 スモーキングガン( 動かぬ証拠 ) 」。 2月23日号の英誌エコノミストは報告書をこう呼んだ。 世界の多くの疑心は確信に変わった。 同誌は 「中国にとって国家安全保障という言葉の意味は、あからさまな盗難行為であることを報告書は示した」 と皮肉った。

 どの国も経済価値のある機密を求めている。 だが、2月20日付米紙ウォールストリート・ジャーナル( アジア版 )の社説は 「 中国のケースは異なる 」 との立場を取る。 同紙は f「産業革命や開発の波は、起業家が自分たちの創造力と労働によって利益をあげる枠組みに依存しているが、中国は常に自由経済の創造力にただ乗りしてきた」 とし、 「中国は自国の企業が成長を続けるために、いんちきが必要だと判断した」 と指摘。 結果として、国を挙げて企業などから情報を盗もうとする中国は、攻撃をしかける量も、抜き取るデータも大量なだけに 「世界経済秩序を変えかねない」 と警鐘を鳴らす。

 欧米、とりわけ米国は、サイバー攻撃の問題で中国と対峙たいじすべきだ。 エコノミストは、 「米国は政府が支援する犯罪は受け入れられないと中国に明確にする必要がある」 と訴える。 ここまで証拠があがってきていることから、 「もっと名指しや恥をかかせることを考える必要がある」 とも提言する。

 サイバー攻撃は、被害側が被害を隠すことが多い。 だが、防衛意識を政府や企業間に広げるためにも公表することが必要だ。 2月26日付米紙ニューヨーク・タイムズの社説( 電子版 )は、 「企業幹部は脅威をオープンに協議することが、ほかの人を危険に対してもっと警戒させることになり、それが長期的な利益となることを理解すべきだ」 としている。