( 2013.02.25 )

 

 超高層ビルが林立する上海の国際金融センターから地下鉄で30分ほどのベッドタウンに、その12階建てのビルはあった。 米国の政府機関や企業へのハッカー攻撃に関与していると指摘された中国人民解放軍 「61398部隊」 の拠点だ。

 住宅や商店に囲まれた都市部の日常的な空間に、警備に目を光らせる兵士らの姿ばかりが異様に映る。 このビルを車中から撮影した米国人記者が兵士にみつかり、身柄拘束の上、撮影画像を強制的に消去させられる騒ぎがあった。 こんな時こそ、米国人ほど目立たない日本人記者の出番なのだが、すぐに警備兵に誰何すいかされ、追い返された。

 米国での報道に対し、中国国防省は 「人民解放軍はいかなるハッカー活動も支援したことはない」 と完全否定。 さらに中国外務省などは 「米こそハッカー攻撃国だ」 とキバをむいた。

 一方、この 「61398部隊」 が2004年ごろから 上海周辺の大学で、コンピューター技術を学ぶ学生に卒業後の同部隊への入隊を条件に奨学金を出す 「求人活動」 を行っていた ことが明らかになっている。

 特別な技能をもつ有能な大卒者を軍に引き留めるため、基地周辺のへんぴな土地柄ではなく、大都会の一角を勤務地にした と考えれば、軍事拠点としては違和感のあるビルの立地にも納得がいく。