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中国



 中国のチベッド侵略は1950年6月の北朝鮮の韓国侵攻以前から始まっていた。 人民解放軍の調査隊がチベット軍の前哨基地があった東チベットのデンゴに入ったのだ。 10月、彼らは東チベットを襲い、わずか11日で占拠した。
 翌年5月、中国共産党はチベットに17条協定への署名を強要した。 協定は、まず、チベットは祖国( 中国 )の大家族に復帰するとうたい、事実上、チベットが中国の一部だと明記した。 だが、甘言も書き込まれていた。 チベット軍は中国人民解放軍に吸収されるが、チベットの仏教、信仰、風俗習慣は尊重され、僧院も保護されると明記されていたのだ。
 亡命を視野に入れていたダライ・ラマ14世は16歳、法王を取り囲む僧たちの17条協定についての意見は分かれた。 身ひとつで亡命する、過酷な運命の予兆におびえる者もいた。 そして彼らは若き14世に説いた。 「われわれが中共を刺激さえしなければ、仏教が弾圧されることはない」 と。
 51年9月、法王が開いた議会では、結局、毛沢東のチベット支配は象微的支配にとどまり、僧院も仏教も、ダライ・ラマの神聖さも侵されはしないという希望的観測を結論とした。 結果として、法王は「チベット地方政府」 の名において、毛沢東に17条協定承認の手紙を送ったのだ。
 この半世紀余の歴史を振りかえれば、チベットと台湾に対する中国人支配の構図が似通っているのに気づかされる。 共産党か国民党か、イデオロギーは異なっても、彼らは異民族支配の第一に中国人への同化政策を置く。
 チベットで、中共軍は17条協定をすぐに反故 にして、寺院の9割以上を破壊し、財宝を奪い、仏教を否定し毛沢東主義、共産主義の学習を強要した。 今回の、3月10日以来のチベット人の抵抗に直面して、中国政府は僧侶らに対する共産党大会の文献学習や愛国主義教育を強化したが、同種の政策はすでに60年近くも続いてきたのだ。
 さらに、チベット人からチベット語を奪い、中国語を習わせた。 子供へのチベット語の命名を禁じた。
 人民解放軍の兵士をはじめ、多くの中国人をチベットに送り込んだ。 中国人男性とチベット人女性の結婚は許すが、その反対は許さないのだ。 こうしてチベット人は宗教と言語と民族の血を奪われつつある。
 中国は、チベットは中国領で、当然だと主張する。 しかし、チベットは歴史的に見て中国の一部ではない。 清国政府はチベットの宗主国としての立場を主張したが、チベットを支配したわけではない。
 国民党も台湾を一度も支配したわけではなかったけれど、中共との戦いに敗れて逃れた先の台湾を白分たちの領土だと宣言した。
 両者の主張は日本固有の領土の尖閣諸島や東シナ海に対する主張と同じである。 チベット問題は台湾問題であり、尖閣問題であり、より大きな枠組みでの日中問題なのだ。
 チベット人がいま、命を賭して訴えているのは、彼らが最も大切にする信仰を軸としたチベット民族としての暮らしを守る戦いを、21世紀の文明社会はただ傍観するのか、それでよいのかという問いである。 確実にチベット民族の消滅につながる中国の弾圧に目をつぶり、北京五輪を支援するのかと問うているのだ。
 人権にかかわれば、と首相は語った。 答えは明らかだ。 幾千年も続いたひとつの高貴な文明が弾圧の末に滅されようとしているのである。






 

報道されないチベットとトルキスタン
中国共産党と人民解放軍によって地図から消された2つの国
そこでは地獄のような人権弾圧が今なお続いている
 


 


 


 


 


 


中国、3400万人 「余剰男」 の行方
 



 


 





   


 ナポレオンが セントヘレナ島 に流されたとき、そんな島にもシナ人が住んでいたという。 かつて先進白人国からは苦力の国とか、奴隷の民として軽蔑されていたシナ人は、中国人となって今も世界に溢れ出している。 しかも大きな顔をし、横紙破りのビヘイビァ( 態度 )を発揮しながら。
 中国人がいたるところに出てゆくこと自体は問題でないはずであるが、日本にとって由々しいことになっている。
 まず 中国人のアメリカ進出のベクトルが、アメリカの政界に向いている ことに日本の政治家や外交官は警戒心を起こし、対策を考えるべきだ。 カリフォルニア州の多くの市長や市議は中国人になっており、今では連邦議会や州議会にも進出しているという。 そのことがアメリカの対日政策に影響する可能性を考えると話は深刻になる。
 数年前 マイク・ホンダ という日系議員が“従軍”慰安婦問題を連邦議会で取り上げた。 このホンダの支持・支援団体は 「世界抗日戦争史実維護連合会」 というカリフォルニアに本部のある反日中国人団体で、しかも中国共産党の公的機関と密接な連携を保ち、共同活動を展開してきたという一例だけでも、日本はアメリカにいる中国人団体を考慮に入れ、それに対抗する手段を待った対米政策が必要になってきている ことを知らされる。 覚悟はよいか!
 中国がフランス・ワインを支配しつつあるという話は愉快ではないが仕方がないだろう。 しかしブータンやラオスなどに中国が手を伸ばしているのはアジアの危機的要因であり、日本の安全保障にも関係してくる。
 それにもまして緊急に危ないのは中国マネーの日本の土地、特に水源地や五島列島の買い占めが進んでいる点だ。 富士山の水まで手に入れようとしているのだ。 これに対し日本政府は全く無策で、それどころか 日本列島は日本人だけのものでないと言う首相を抱えていた政党が政権を握っている
危ないかな日本!!








 中国バブル崩壊のもたらす影響は、経済的な側面にとどまらない。 かつて警視庁で北京語通訳捜査官を務め、中国人犯罪に詳しい坂東忠信氏は、 「経済難になると、日本に不法に押し寄せる中国人が激増する懸念がある」 と指摘する。
 2015年1月から中国人に対するビザ発給要件が緩和された。 個人観光客などに対する門戸を広げるというもので、日本を観光する条件としてこれまで同様 「十分な経済力」 などが挙げられている。
 「爆買い」 する購買力のある中国人を受け入れて観光収入につなげつつ、入国するのを高所得者に限ることで不法滞在を抑え込もうという戦略だが、そううまくはいかない。
 すでに 「なりすまし」 が横行しているからだ。
 「なりすまし」 とは、他人の身分証明書を用いて中国の公的機関に旅券申請し、自分の写真と他人の身分が記載された真正パスポートを入手して来日することだ。 中国では専門業者が戸籍など関係書類を10万元( 約200万円 )ほどの相場で売買しており、カネさえ積めば他人名義の真正パスポートを作ることができる。 もちろん 「高所得者」 になりすますことも可能だ。
 本来は日本に入国できない人物が 「なりすまし」 するのだから、10万元の費用も高利貸しから借金で賄うケースが少なくない。 そのリスクを冒しても日本にやってくるのは、違法な出稼ぎ目的( もちろん就労ビザ取得は非常に難しい )か日本での犯罪ということが考えられる。 渡航費用を返すために何でもやる中国人たちがこっそり上陸しているのである
 中国で経済不安が広がれば、日本でカネを稼ごうとする 「なりすまし」 がますます増加する。 そうなれば 「爆買い」 需要どころか、日本からの富の流出にっながる。 「なりすまし」 で入国した彼らの身分を証明する資料はパスポート以外になく、見抜くことは実質的に不可能だ。 オーバーステイが発見されて逮捕され、本人の供述や入国歴から疑義が生じて 「なりすまし」 が発覚するケースはあるが、中国に住む関係者に国際電話で捜査協力を求めても全く応じず、捜査は困難を極める。
 警察は 「なりすまし」 が疑われるケースでも、面倒な捜査を避けて強制送還で多数の不法滞在事件を処理せざるを得ないため、全貌はまったく把握できていない。 警察庁や法務省の官僚は私に 「なりすましの水際阻止は不可能」 と内々に認めている。
 その手口は全国に広がっていると見られる。 実際、私か警察学校で通訳捜査官に講義した際、参加した各都道府県の若手捜査官は全員、 「なりすましの取扱経験がある」 と答えた。
 バブル崩壊により、本人名義で入国しない( できない )ような中国人が大挙して日本に訪れれば、犯罪が増える可能性も高いだろう。




 中国人は、 「カネの切れ目が″命々の切れ目」 になることが多い。
 江西省では株式で180万元( 約3600万円 )の損失を出し、自宅を抵当に入れようとした妻の喉元を夫が掻き切って殺害。 深圳では株式投資で家族とトラブルを抱えた男が包丁で10数名の近隣住民を殺傷した。 絶望の末、自殺を図る人も続出している。
 中国のバブルが崩壊すれば、命の瀬戸際に立つ人民が大量に生まれるだろう。 今は共産党政府がなんとか抑え込んでいるが、社会秩序も崩壊することは容易に想像される。
 そこで危惧されるのが、大量の経済難民の発生だ。
 特に内陸部からの貧しい出稼ぎ労働者は、頼れる親戚もないため生きる場を求めて海外に逃げる可能性が高い。
 沿岸部の南京、杭州、寧波、温州、蘇州など経済発展で人目が増えた都市では、かつて密航の手助けを副業として 「蛇頭」 の一部をなしていた漁民たちが、貧しく身寄りのない出稼ぎ者を客にまた動き出すだろう。 彼らが目指すのは、食うに困らない日本である。 大量の経済難民を乗せた船は太平洋側、日本海側の各地に到着することになる。
 一方、 「日本は難民に厳しい」 というのはあくまで机上の話だ。 日本の難民申請は厳格とされ、14年中の日本への難民認定申請者5000人のうち認定者はわずか11人だが、実は大きな抜け穴がある。
 日本の難民認定システムは一旦却下されても、異議を申し立て再申請すれば改めて審査する間、滞在を認められる。 しかも難民申請の審査には通常、半年~1年ほどかかるが申請から6ヵ月で就労が可能になり、堂々と働けるのだ。
 その 「裏ワザ」 が知られたのか、現在、難民申請件数、異議申し立て件数とも急増している。 14年に初回申請で難民認定が却下され、異議申し立てをした者は2533人で72年以降、最多となった。
 大量の経済難民が発生すれば、人権派団体が騒ぎ立て、日本は審査待ちの難民であふれだす。 そんな 「なりすまし」 や経済難民が増えたらどうなるか。
 彼らは親族や近親者を拠点とし、家賃を安くするため単身者用のアパートに数人が一緒になって住み着く傾向にある。 他の日本人が居づらくて退居すると、その空き室に他の中国人がこぞって入居し、たちまち中国人コミュニティができあがる。
 すでに、一部の中国人コミュニティではゴミの分別などで近隣トラブルが起き、そのエリアは拡大しつつある。 経済難民が大挙して訪れるようになれば、住宅や店舗でトラブルがあっても不法滞在者が絡むので警察を呼ばず、地域の中国人有力者が問題を解決するようになるだろう。 そうして、日本に中国の自治エリアが誕生するという恐ろしい事態につながりかねない。
 地方はさらに深刻だ。都市と違い警察官の数が少なく、犯罪の端緒をつかめない。 また、車を中国人同士でシェアして乗り回すため、所有者と運転者が違うケースが発生している。 交通事故を起こしても保険に加人していないために、被害者は 「慄かれ損」 だ。
 





 現在、在日中国人・華人( 日本国籍を取得した中国系住民 )の数は92万人を突破し、不法滞在者を含めると100万人以上にのぼると見られている。 仙台市の人口とほぼ同程度の数の中国人がすでに日本に根づき、一大勢力を築きつつあるのだ。 日本はいまだ 「移民」 を認めていないが、彼らはすでに事実上の 「移民」 と言っていいだろう。

 そんな大陸からの 「移民」 が最初に大挙して押し寄せてきたのが、中国で 「64天安門事件」 が起きた1989年前後のことである。 この歴史的事件の影響というよりも、1983年、当時の中曽根康弘首相が表明した 「留学生10万人計画」 の影響が大きい。

 その後、国の方針として中国からの留学ビザが緩和され、日中双方に多くの受け入れ団体と送り出し団体が設立された。 そして計画表明から数年たった1986~87年頃から、突如大量の中国人留学生が押し寄せるようになったのである。 しかし、留学生といっても名ばかりで、この頃来日した中国人の多くは20代後半から30代前半の、中国ではすでに社会人となっていた青年層だった。 89年に来日し、現在は永住権を持つ上海出身の実業家は言う。

 「皆、口には出さないけど、あの頃来日した留学生の大半はカネ目的です。 本気で勉強しようと思って来日した人間なんて、1パーセントもいなかったんじゃないかな。 そのための手段が留学だった。 親戚中から借金して資金を集め、私費留学生として来日する人間がほとんどだった」

 日本はバブルの真っ只中。 札束がうなるように乱れ飛んでいた時代である。 一方の中国は改革開放路線を走りはじめたとはいえ、経済規模は日本の数十分の一。 巨大な最貧国の一つだった。 “黄金の国リーベン( 日本 )” を目指して、多くの “エセ留学生” が押し寄せたのも当然の成り行きだった。






 



 明らかな領土侵略。さらに今緊張が増している尖閣諸島を含む支那の領海侵犯。

 確定された歴史的な証拠と連続的な領有をもって、ベトナムは東ベトナム海、国際的には南シナ海とよばれるところにあるチュオンサ諸島に主権を実施してきた。 しかし、天然資源と海運交通を支配しようとする野心のもとに、中国はベトナムを凶暴に、非人間的に攻撃し、ベトナム主権と国際ルールを踏みにじった このドキュメンタリーは1988年3月14日にチュオンサ諸島への侵入の間、中国海軍によって撮影された。 中国海軍の反駁できない犯罪の証明である。

 圧倒的な武装をした中国海軍はほとんど非武装の ベトナム海兵64人を殺害し、ベトナムの輸送船3艘を破壊し、難を受けた人たちを救助しようとする船を妨害した。 良心と正義のために、このフィルムは鄧小平の指導する当時の中国政府の犯罪の責任を告発している。 この防衛戦は、チュオンサ諸島の最大の島であるシントン島の3つの岩礁のあたりでの数時間の衝突であった。 チュオンサ諸島は中国の海南島の最南端から1,000kmも離れており、長い歴史の中でベトナムが実効支配をしてきた地域である。

 1988年の初めの頃、中国海軍はチュオンサ諸島の5つの岩礁と環礁を占領しようとした。 このうちの3つはベトナムが領有している大きな島に非常に近い所にある。 ベトナム海軍は急遽物資と機材を6つの岩礁と環礁に運んだ。 ベトナム海軍は成功裏にことを進め、中国海軍が他の島を占領するのを食い止めた。 3月の初め、ベトナム海軍の最高司令官は他の3つの岩礁がベトナム管理下のシントン島のまわりを取り囲んでいるので、それらを防衛する決定をした。

 3月13日の午後ベトナムの輸送船3艘は予定通り岩礁に行き、主権を主張して旗を掲げた。 しかしその数時間後、4艘の中国の武装戦艦が近づいてきて、拡声器で声高に警告を発した。 中国の軍艦からの挑発と威嚇にも拘らず、ベトナムの輸送船は根気よく岩礁のそばに錨をおろし続けた。 ベトナムの輸送船は軽装備でとても中国の武装戦艦と戦う力は無く戦意は無かったが、中国兵はベトナム人を挑発して重装備の海兵隊員とモーターボートを海に浮かべた。 中国兵はチュオンサ諸島200の島とその周辺の岩礁、環礁は全て中国のものであると教え込まれていた。

 緊張関係は海兵隊員が上陸用舟艇に乗り、ミサイル装備の駆逐艦を集結し続けた翌朝まで続いた。 彼らはベトナム兵を挑発し続けた。 ハノイ時間の朝6時、彼らは50人の武装海兵隊員を乗せた3艘のアルミボートを出して、岩礁に向かって突進してきた。 彼らはベトナム兵の面前で軍隊を上陸させ、昨晩から岩礁のプラットフォームに掲げられたベトナムの旗を引き降ろそうとした。

 ベトナム人海兵は水位が体の半分まで浸かった岩礁に立って、防衛の帯を作って敵の侵入を防ごうとした。 中国兵は狂ったようにベトナム兵が旗を降ろして岩礁から退くよう脅かした。 ベトナム兵は岩礁にしがみついて、国旗をいかなる犠牲を払っても翻らせ続けると決心した。 ベトナム兵に岩礁から撤退させることができなくて、中国の海兵隊員は戦艦に戻らざるをえなかった。 そしてついに ……。

 ベトナム海兵が岩礁から撤退することを拒否したため、中国兵は37mm対空砲で粗末な装備のベトナム兵に戦艦から直接発砲した中国の駆逐艦は3艘のベトナムの輸送船に100mm砲で激しく発砲して2艘は完全に沈んだ。 その事件後、現在まで2つの岩礁を守り続け、その他は中国が占領し続けている。 ベトナム海兵隊員64名が犠牲になり、後に3名だけが遺体で見つかったが、61名は遺体すら見つからなかった。

 2008年夏、ベトナム海軍の代表派遣団は、20年前の中国の侵略からベトナムの神聖な海と土地を守った英雄たちに心からの敬意を捧げるために、式典を行った。犠牲になった水兵と仕官を思い出すために、タバコ、チューインガム、水兵の過去の日用品と花輪を海に流した。 式典は1988年の中国の侵略以来、毎年実施されてきた。 犠牲になった人たちを思い出す中で、彼らが祖国防衛のために手をつないで壁を作ったあの時の戦友のイメージが甦ってくる。

 今日、中国の脅迫と挑発の中で生きていかなければならないが、ベトナムはチュオンサ諸島に主権を再確認して、断固として地域の平和な状況を維持し続けることを主張する。 歴史の過程において、中国からの度重なる侵略からベトナム海兵たちは、中国の攻撃と占領を画策する陰謀に対して高度な警戒を喚起させている。

 毎日繰り返される緊張にもかかわらず、ベトナムの海兵と民間の人々は楽しい生活を送り、彼らの生活も改善されてきている。 海兵と住民のそれぞれの世代がベトナムの祖国の海と島の主権を守っている。本土から400km離れた広い海と空のの中で、祖国の領海を守る砲台のように断固として団結している。

 
 





( 2013.02.10 )
中国海軍フリゲート
 


中国海軍艦艇の動向について - 防衛省(平成25年2月5日)

 1月30日( 水 )午前10時頃、東シナ海において、中国海軍ジャンウェイⅡ級フリゲート1隻から、海上自衛隊第7護衛隊 「ゆうだち」 ( 佐世保 )が、火器管制レーダーを照射された。
 なお、1月19日( 土 )午後5時頃、東シナ海において、中国海軍ジャンカイⅠ級フリゲート1隻から、海上自衛隊第6護衛隊 「おおなみ」 ( 横須賀 )搭載ヘリコプターに対する火器管制レーダーの照射が疑われる事案が発生している。
 ( 防衛省HP


 海上自衛隊の護衛艦 「ゆうだち」 に火器管制レーダーを照射したのは中国海軍ジャンウェイⅡ級( 053H3型 )フリゲート 「連雲港リェンユンガン」、 また護衛艦 「おおなみ」 搭載ヘリコプターへ火器管制レーダーを照射したのはジャンカイⅠ級( 054型 )フリゲート 「温州ウェンジョウ」 と発表されました。 中国フリゲートはどちらも主に東シナ海を担当する東海艦隊( 浙江省寧波 )の所属です。 このうちフリゲート 「連雲港」 が火器管制レーダーを照射した件については、その証拠となる電波情報収集やレーダーパネル指向のビデオによる撮影を護衛艦 「ゆうだち」 側で行っており、小野寺防衛大臣は記者会見で公表も検討していると語りました。 一方で中国政府は火器管制レーダーは使用しておらず通常のレーダーを使っていたと反論しています。

 火器管制レーダーの照準用電波によるロックオンは攻撃の直前段階に行うもので、平時にこれを行うことはあからさまな挑発行為と受け取られます。 冷戦時代のアメリカ海軍とソ連海軍でもよく行われた行為でしたが、挑発がエスカレートして偶発的な戦闘に至らないように両者は話し合い自制するようになりました。 同様に中国を含めた西太平洋海軍シンポジウム( WPNS )でも紳士協定となる 「CUES( Code for Unalerted Encounters at Sea )」 が作成され、火器管制レーダーの照射のような挑発行為を行わないように取り決める動きがあります。 ただしCUESは昨年に採択を目指しましたが、一部の国の反対にあって流れてしまっています。

Code for Unalerted Encounters at Sea (CUES)
Western Pacific Naval Symposium 2012

Assurance Measures for Ships

3.14 Because nations may under international law grant their naval and aviation units the authority to respond with force to actions they perceive to reflect hostile intent, Commanding Officers need to consider the potential ramifications before engaging in actions which could be misconstrued. Actions the prudent commander might generally avoid include:

3.14.1 Simulation of attacks by aiming guns, missiles, fire control radars, torpedo tubes or other weapons in the direction of vessels or aircraft encountered.

3.14.2 Except in cases of distress, the discharge of signal rockets, weapons or other objects in the direction of vessels or aircraft encountered.

3.14.3 Illumination of the navigation bridges or aircraft cockpits.

3.14.4 The use of laser in such a manner as to cause harm to personnel or damage to equipment onboard vessels or aircraft encountered.

3.14.5 Aerobatics in the vicinity of ships encountered.

・パネリストの発表( 第2部 )
・海洋安全保障シンポジウム2012( 海上自衛隊幹部学校 )
「そして、その派生として出てくるのがマナーとしてのグッドシーマンシップというものをもう 1 度確認したい。 これに関して、実は先般、西太平洋諸国の海軍による対話の枠組みであります、WPNS で CUES、Code for Unalerted Encounters at Sea。 これに関して、相当程度議論が煮詰まってまいりましたので、私どもが、海幕長がこれについて参加各国の理解を求めましたが、一部の国の反対によって、その採択に至りませんでした。」

 今回、ヘリコプターに対する火器管制レーダー照射は証拠となる記録が取れていないので、問題が追及されるのは中国海軍フリゲート 「連雲港」 による海上自衛隊護衛艦 「ゆうだち」 への火器管制レーダー照射の件になるでしょう。 ジャンウェイⅡ級( 053H3型 )フリゲートの 「連雲港」 は捜索警戒用レーダーが2種類、火器管制レーダーが3種類あります。 この他に光学照準器( 可視光・赤外線・測距レーザー )や航海用レーダー( 一般の船舶と同じもの )もありますが、防衛省の発表は火器管制レーダーとあるので測距レーザーではありません。

中国海軍ジャンウェイ級( 053H3型 )フリゲート 「連雲港リェンユンガン

1.345型火器管制レーダー( 対空ミサイル用 )
2.343GA型火器管制レーダー( 速射砲、対艦ミサイル用 )
3.360型警戒捜索レーダー( 対水上、低空用 )
4.517型警戒捜索レーダー( 長距離対空用 )
5.341型火器管制レーダー( 機関砲用 )
 現段階の防衛省の発表では火器管制レーダーの照射を受けたとあるだけで、3種類の火器管制レーダーの内どれであるかは発表されていません。 対空ミサイルでも対艦攻撃に使えるのでどれもあり得るのですが、最も可能性が高いのは速射砲と対艦ミサイルを管制する343GA型になります。 なおジャンウェイⅡ級( 053H3型 )フリゲートは初期建造型と後期建造型で搭載レーダーに違いがあります。 「連雲港」 は初期建造型です。

Type 343GA Fire Control Radar (343GA型火控雷达) - SinoDefence.com

 ジャンウェイⅡ級( 053H3型 )フリゲートは若干旧式ですが、対空ミサイルとその火器管制レーダーはフランスのクロタル、近接防御システムはイタリアのダルド( ダルドシステムに中国製機関砲を連結 )、警戒レーダーは旧ソ連の系統のもので、砲火力は100mm連装砲×1基、37mm連装機関砲×4基もあり、 「連雲港」 と相対した海上自衛隊むらさめ型護衛艦 「ゆうだち」 の76mm単装砲×1基( 他に20mmCIWSがあるが対空専用 )と比べて接近戦での火力は上回っています。

 防衛省の発表では 「連雲港」 と 「ゆうだち」 の距離は約3000m、 「連雲港」 からはレーダー照射のみで砲身の指向などは無かったとのことです。





( 2015.04.25 )

    ……


 フィリピン国軍は24日、中国と領有権を争う南シナ海のスプラトリー( 南沙 )諸島を飛行中の軍哨戒機が、 「中国船に照射された」 と発表した。

 発表などによると、19日昼頃、同諸島のスービ礁( 渚碧礁 )上空を飛行中の哨戒機が、中国船から強い光を受け、無線で 「中国の領土なので、出て行け」 と告げられたという。

 これに対し、中国外務省報道官は24日の記者会見で、 「中国が強い光を照射する状況は発生していない」 と否定。 一方で、 「最近フィリピン機が何度も中国の島や岩礁周辺の上空に侵入したため、離れるよう無線で呼びかけた」 と述べた。

 南シナ海では、中国とフィリピン、ベトナムなどが領有権を争っている。 中国は、スプラトリー諸島でスービ礁を含む七つの岩礁の埋め立て工事を実施。 滑走路などの建設とみられ、軍事利用の可能性に国際社会の懸念が高まっている。





( 2021.01.28 )

使



 日本の大手メディアでも大きく報道され注目を集めている中国の 「海警法」 が全人代( 全国人民代表大会 )常務委員会で可決され、2月1日から施行される。

 この法律は、昨年( 2020年 )6月に可決した武警法改正と、これから審議される海上交通安全法改正案とセットとなって、おそらく日本の尖閣諸島を含む東シナ海情勢や、南シナ海情勢に絡む米国との関係に大きな影響を与えていくことになろう。 この一連の法改正は、中国と海上の島嶼の領有権を巡り対立している諸外国にとって大きな脅威となることは間違いない。

「海警法」 成立の最大の意義は、中国海上警察が戦時に 「中国第2海軍」 としての行動に法的根拠を与えられるということだろう。 つまり、戦時には法律に基づいて武装警察部隊系統の中に明確に位置付けられ、中央軍事委員会総指揮部、つまり習近平を頂点とする命令系統の中に組み入られることになる。

 そしてその背景にあるのは、習近平政権として、東シナ海、南シナ海における島嶼の主権をめぐる紛争に対してより積極的なアクションを考えている、ということではないだろうか。

 2018年からすでに中国人民武装警察部隊海警総隊司令員( 中国海警局長 )が、人民解放軍海軍出身で、かつて東海艦隊副参謀長を務めた軍人であることは、海警が準軍隊扱いであり、その目標が東シナ海、台湾海峡にあるということを示していた。


尖閣の建造物を強制撤去?

 海警法の全文はすでに司法部ホームページなどで公表されている。 昨年12月3日まで公表されていた草案は11章88条だったが、可決された法律は11章84条となった。 ニュアンスが若干マイルドになった印象もあるが、国際社会が懸念していた内容は大きく変わっていない。

 まず最大のポイントは第20条の、 「中国当局の承認なしに、外国組織、個人が中国管轄の海域、島嶼に建造建や構築物、固定、浮遊の装置を設置した場合、海警がその停止命令や強制撤去権限をもつ」 ことだろう。 日本にとっては、例えば尖閣諸島の魚釣島に日本青年社が建てた燈台は、この法律に照らしあわせれば、中国当局に撤去権限がある、という主張になる。 万一、中国の第2海軍の装備を備えた海警船が、本気でこの燈台の撤去に動き出したとき、日本は海上保安庁が対応にあたるのだろうか。 それとも自衛隊が出動するのだろうか。

 米国や東南アジアの国々にとって気になるのは、第12条2項。 重点保護対象として、排他的経済水域、大陸棚の島嶼、人工島嶼が挙げられている。 これは南シナ海で中国がフィリピンやベトナムと争って領有を主張する南沙( スプラトリー )諸島や西沙( パラセル )諸島、そして台湾が実効支配する太平島や東沙諸島を想定しての条文だろう。

 第21条には、 「外国軍用船舶、非商業目的の外国船舶が中国管轄海域で中国の法律に違反する行為を行った場合、海警は必要な警戒と管制措置をとり、これを制止させ、海域からの即時離脱を命じる権利を有する。 離脱を拒否し、深刻な損害あるいは脅威を与えるものに対しては、強制駆逐、強制連行などの措置をとることができる」 とある。 となれば、中国が領有を主張する海域、例えば尖閣諸島周辺で、海上保安庁や海上自衛隊の船が海警船と鉢合わせすれば、どのような衝突が起きても不思議ではない。

 第22条では 「国家主権、海上における主権と管轄が外国の組織、個人による不法侵入、不法侵害などの緊迫した危機に直面した時、海警は本法およびその他の関連法に基づき、武器使用を含む一切の必要な措置をとって侵害を制止し、危険を排除することができる」 とある。 つまり、日本側が大人しく海域から離脱しなければ、十分に戦闘は起こりうる、ということになる。

 第27条では、 「国際組織、外国組織、個人の船舶が中国当局の承認を得て中国管轄海域で漁業および自然資源勘査、開発、海洋科学研究、海底ケーブルの敷設などの活動を行うとき、海警は法にのっとり人員と船を派遣して監督管理を行う」 とある。

 そして第29条は、 「違法事実が決定的で、以下の状況のいずれかに当たる場合、海警当局の執行員は現場で罰則を科すことを決定できる。 (1)個人に対する500元以下の罰金あるいは警告を課す場合、組織に対する5000元以下の罰金あるいは警告を課す場合。 (2)海上で罰則を科すことができず、なお事後処罰が困難な場合。その場で決定した罰則は所属の海警機構に速やかに報告を行う」 とある。

 第30条では、 「現場の罰則は適用されないが、事実がはっきりしており、当人が自ら過ちを認め罰を認めた場合、かつ違反の事実と法律適用に異議のない海上行政案件の場合、海警機構は当人の書面の同意書を得て、簡易の証拠とし、審査・承認して迅速な手続きを行う」 としている。

 以上の条文を続けて読むと、例えば尖閣諸島周辺で日本人が漁業を行ったり海洋調査を行うには、中国当局の承認と監視が必要で、承認を得ずに漁業や海洋調査を行って海警船に捕まった場合、罰金を支払う、あるいは書面で罪を認めれば、連行されて中国の司法機関で逮捕、起訴されることはないが、日本人が 「尖閣諸島は中国の領土である」 と認めた証拠は積み上がる、ことになる。


外国船に対して武器を使用する状況とは

 武器の使用規定については第6章にまとめられている。 それによると、海警警察官は次のような状況において携行武器を使用できるとしている。
(1)法に従い船に上がり検査する際に妨害されたとき。緊急追尾する船舶の航行を停止させるため
(2)法に基づく強制駆逐、強制連行のとき
(3)法に基づく執行職務の際に妨害、阻害されたとき
(4)現場の違法行為を制止させる必要があるとき
 また、次の状況においては警告後に武器を使用できるとしている。
(1)船舶が犯罪被疑者、違法に輸送されている武器、弾薬、国家秘密資料、毒物などを搭載しているという明確な証拠があり、海警の停船命令に従わずに逃亡した場合
(2)中国の管轄海域に進入した外国船舶が違法活動を行い、海警の停船命令に従わず、あるいは臨検を拒否し、その他の措置では違法行為を制止できない場合
 さらに次の場合は、個人の武器使用だけでなく艦載武器も使用できるとしている。
(1)海上における対テロ任務
(2)海上における重大な暴力事件への対処
(3)法執行中の海警の船舶、航空機が、武器その他の危険な手段による攻撃を受けた場合

国際法との整合性はグレーだが

 そもそも中国はなぜ今、海警法を制定したのか。 米国の政府系メディア 「ボイス・オブ・アメリカ」 に、上海政法学院元教授の独立系国際政治学者、陳道銀氏の次のような気になるコメントが掲載されていた。
「中国海警は将来、さらに重要な影響力を持つようになる」
「目下、中国海軍の主要任務は近海防衛だ。 もし戦時状態になれば、海警の法執行パワーはさらに強化される。 きっと海軍と同調協力する。 南シナ海、台湾海峡、東シナ海などの近海作戦において海上武装衝突が起きる場合、対応するのは海警であろう」
「海警局の法執行の根拠となる法律は今までなかった。 中国の目下の建前は法治国家の建設だ。 法的根拠を明確にしたことで、少なくとも今後は外部勢力に海警がどのようなことをできるかをわからせようとするだろう」
 つまり習近平政権として、海警設立の本来の目的を周辺諸国に見せつける準備がようやく整ったことになる。 今後、 “近海防衛” における衝突発生の可能性がますます高まるが、中国としては、海洋覇権国家に至るための、たどるべき道をたどったというわけだ。

 ただし、この海警法が国際法と整合性があるかというと、きわめてグレーゾーンが大きい。 例えば法律にある “管轄海域” と表現されている海域はどう定義されているのか。 国際海洋法に基づけば、中国が勝手に人工施設をつくった南シナ海の岩礁は、中国の管轄海域でもないし、尖閣諸島周辺海域も “まだ” 中国の管轄海域ではない。

 だが、67ミリ砲の艦砲と副砲、2基の対空砲を含む海軍艦船なみの艦載兵器を備えた海警船が目の前に現れ、その照準が自分たちに向けられたとき、漁船や海洋研究船の船員たちは 「この海域は中国の管轄海域ではない」 と強く言えるだろうか。

 うっかり漁船や海洋調査船が拿捕されれば、船員たちは命の安全のためにも、その海域を中国の海と認める書面にサインせざるを得ない。 そうしたトラブルを避けるために、日本側の船がますます尖閣から遠のき、中国の漁船や海警船の侵入を許すことになる。

 民間の船だけではない。 海上保安庁や海上自衛隊も、武器使用を辞さない海警局船を目の前にして、海域を離脱せずに対峙することが、法的、実力的にできるのだろうか。


習近平政権が次に狙うのは東シナ海

 この数年、中国海警船が尖閣諸島周辺に出没して領海侵入することが常態化しているが、それに対して日本はほとんど効果的な対応をしてこなかった。 このまままごまごしていたら、いつの間にか、その海域は 「中国管轄海域」 であると既成事実化してしまうであろう。

 米国のバイデン新政権がトランプ政権よりも対中強硬派である可能性はないとは言えないが、少なくともバイデン政権の対アジアチームは、オバマ外交の失策を象徴する 「戦略的忍耐」 という言葉を繰り返している。

 そもそもオバマ政権時代の 「戦略的忍耐」 によって、中国が南シナ海の岩礁島を軍事拠点化するスキを与えてしまったのだ。 それを繰り返すというならば、習近平政権が次に狙うのは、東シナ海の実効支配強化ではないだろうか。

 一応、バイデン政権は菅政権に対し、尖閣諸島の安全保障が日米安保第5条の適用範囲であるという言質を与えているが、それを本気で頼りにしていいのかどうかも今一度日本は考えなおさねばならない。

 すぐさま軍事衝突が起きる、紛争が起きる、と危機感をあおるつもりは毛頭ない。 だが、2021年は中国共産党建党100周年であり、2022年は習近平政権2期目の最終年で、習近平が長期独裁政権を狙っているのなら、この年までに解放軍の完全掌握と人民の求心力を固め、習近平独裁の正統性をアピールしなければならない。

「銃口から生まれた政権」 に、 “失った領土” を奪還する以上に国家指導者の正統性をアピールする方法はない、と考えると、日本が楽観的に構えたり油断したりしている状況ではまったくない、ということだけは言っておきたい。





( 2021.02.02 )


 中国が「海警法」を成立させました。

 海警法によって中国の公船は外国公船( 日本の海上保安庁など )への攻撃が認められるようになります。 一方、海上保安庁( 以下、海保 )には外国公船( 中国の海警局船など )に攻撃することができません。

 これを問題視し、海保にも同様の権限を付与するべきという意見があちこちで見られます。 また、海警法を執行する海警局船舶に対応するため、海上自衛隊を派遣すべきという意見もみられます。

 海警法に対しては断固たる措置をとるべき考えていますが、そうした方向の対応は国際法上不可能であり、別の方向を考えるべきです。

 そもそも、こうした意見が根強いのは、船と航空機で国際法上の扱いが大きく違うことを知らない人が多いからなのではないかと推察されます。 法律に対する知識不足によって、上記のような意見が出てくるのではないかということです。

 そこで以下では、船と航空機に適用される国際法について概観し、中国の海警法にどう対処すべきかを考えてみたいと思います。 ただし、条文を書くとかえって理解を妨げると思いますので、条文は載せません。 また、海警法は、尖閣に造られている構造物を破壊する法的根拠を与えるなど他にも問題があるのですが、以下では外国公船に対する攻撃についてのみ考えてみます。


【1】海保は一方的に攻撃されるのか?

 海警法は、中国公船が外国の公船に武器を使用することを認めています。

 一方、日本側、海保の巡視船は、外国公船に対して武器を使用することが禁じられています。 海上保安庁法は、武器を使用してよい対象から外国公船を除外しているからです( 民間の船に対しては使用できます )。

 なお、海保は北朝鮮の工作員が運行していた不審船に対して武器を使用したことがあります。 公船として認められるためには、国籍旗を掲げるなどの条件があるのですが、不審船はそうした条件を満たしていなかったため、武器が使用されました。

 なお、海保船舶も、中国の海警局などの公船から攻撃を受けた場合には、自衛のための反撃は可能です。

 今後、尖閣周辺海域で、日本の海保船舶と中国の海警局船舶の双方が、相手が不法行為を働いたとして非難し合う可能性がありますが、その際に海警局は武器を用いて海保船舶を拿捕しようとするかもしれません。 その際には、海保は自衛のための反撃をすることは可能です。


【2】公船に対する武器使用はなぜ禁じられているのか?

 攻撃を受けた場合しかこちらからは攻撃できない、相手の不法行為( 領海内での法執行 )には何もできないという状況に、憤りを感じる人は多いでしょう。

 中には 「領空侵犯した航空機を撃ち落とすように、領海侵犯した船を沈めてしまえ!」 という過激な言説も耳にします。 しかし、航空機と船舶は国際法上での位置づけが全く異なります。 同じように考えてはいけないのです。

 国際法上、領空侵犯した軍用機や政府が運航する航空機は、撃ち落とされても文句は言えません。

 現在、民間機の場合は、誘導に従い、指定の空港に着陸させられることになっていますが、1984年以前は、民間機でさえも撃墜されても( 国際法上は )文句を言えませんでした。 この変更は、1983年に発生した大韓航空機撃墜事件の反省を踏まえたものです。 大韓航空機撃墜事件では、民間機を撃墜したソ連が人道にもとると非難されましたが、国際法違反だとして非難されてはいません。

 国際法は、各国の合意の上に成立しています。 なぜ各国は 「航空機に対する撃墜が可能」 ということに合意しているのでしょうか。 その理由は、空は海上でも陸上でもつながっている上、航空機の速度が非常に速いためです。 航空機に対しては撃墜も可能としていなければ、もたもたしている間に、首都に爆弾が落とされる事態にもなりかねません。 そのため、このような規定になっています。

 対して、船舶は低速な上、陸上に乗り上げることはできません。 即座に撃沈しなくとも、それほど危険性はないというのが一般的な認識でした。 それに、海上の自国領域である領海の範囲は、艦砲の射程の範囲を考慮して考えられていました。 つまり、領海に入らなければ、砲弾は国土まで届かないという考え方です。

 航空機ほどの危険性はないため、公船が領海に侵入しても、撃沈を許可するような国際法はできなかったというわけです。

 むしろ国際法上、公船は、撃沈されないどころか、運用する国を代表する特別な地位を認められるようになっています。 分かりやすく言えば、公船は移動可能な国土のようなものなのです。

 つまり、公船に対する攻撃は、国土に対する攻撃、つまり戦争行為と認識されます。 世界史を見れば、艦船への攻撃が戦争のきっかけとなっている事例はいくつも目にすることができると思います。

 国際法、通称 「国連海洋法条約( UNCLOS )」 には、そのように定められています。 当然、日本もこの条約に加盟しています。 そのため、海上保安庁法においては、武器を使用してもよい対象から外国公船を除外しているのです。


【3】海警法は「国連海洋法条約」違反ではないのか?

 国連が採択した条約ですから、国連海洋法条約には中国も加盟しています。

 条約の締約国は、条約で定めた事項を守るため、条約に合わせて国内法を定める義務を持ちます。 当然、中国も海警法をこの条約に基づいて定める必要があります。 ところが、冒頭で述べたように、海警法は他国の公船に武器を使用できると定めています。

 中国が、どのような法的ロジックによって、海警法が国連海洋法条約に反していないと解釈しているのかは定かではありません。 しかし、我が国でさえも 「自衛隊が戦力ではない」 としているなど無茶な法解釈をしているくらいです。 理解不能なナゾ理論だとは思いますが、何らかのロジックは組み立てているはずです。

 しかしながら、普通の国際法理解からすると、海警法は明らかに国連海洋法条約違反です。

 中国が違反しているのだから我が国も違反し、海保にも外国公船に対する武器使用権限を付与すべき、というのは、我が国が継続してきた価値観外交における重要な要素、 「法の支配」 と矛盾します。 ですから、これは絶対に行ってはならないのです。

 この海警法に対しては、 「法の支配」 という観点から、国連海洋法条約違反であることを強く抗議しなければなりません。


■ 武器が使用されてからでは遅い


防衛省が公表している2019年の対領空侵犯措置の資料。中国軍機は尖閣の領空をしっかりと避けていることがわかる
 1月29日、茂木敏充外相は、 「この法律が国際法に反する形で適用されることがあってはならない。 日本の領土、領海、領空を断固として守り抜く決意の下、冷静かつ毅然と対処していく」 と述べました。 加藤勝信官房長官も2月1日になってほぼ同様の発言をしています。 この発言に対し、一部のメディアは、中国を牽制していると肯定的に評価しています。

 しかし、この発言では、中国側は抗議とは受け取りません。 中国メディアも 「日本は中国の立場に理解を示した」 と言いかねない内容です。

 なぜなら、この茂木外相の発言では、 「海警法そのものが国連海洋法条約違反である」 とは言っていないからです。 「国際法に反する形で適用されることがあってはならない」 という発言は、国連海洋法条約に違反して実際に武器が使用されるまで抗議をしません、と言っているのと同じです。

 尖閣周辺海域で日本が海警法の脅威を受けるのと同様に、南シナ海ではフィリピンやベトナムが海警法の脅威を受けることになります。 日本政府と異なり、両国は即座に抗議しました。 ベトナム外務省は、声明の中で 「ベトナムは国連海洋法条約に基づいて、水域の管轄権を証明する十分な法的根拠と歴史的証拠を有している」 と条約名を明示しています。

 海警法には、この問題以外にも、尖閣に建造された灯台などを破壊するためと思われる条文があるため、日本政府としては様々な対応が必要です。 しかしながら、この武器の使用に関しては、国連海洋法条約違反であることを、即刻、断固として主張しなければなりません。

 実際に武器が使用されてからでは遅いのです。

 海警法は、中国が継続しているサラミ戦術の1つです。 船と航空機で国際法上の扱いが異なり、艦船での対応であれば、中国寄りの姿勢に傾いた日本政府・菅政権は妥協しやすいと見ているのでしょう。

 防衛省が公表している2019年の対領空侵犯措置の資料を見れば、国際法上、領域内に入れば即座に撃墜されることもある航空機は、尖閣の領空をしっかりと避けていることが見て取れます(上の図)。中国は、海警法によって、日本の妥協を引き出すつもりなのです。