( 2015.03.12 )
退
 
  



中国湖北省武漢にある米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の工場で働く従業員。
外資系企業の中国撤退が相次ぎ、国内製造業に暗雲が立ち込めている

 中国経済の減速が鮮明になる中、外資系企業の中国撤退が相次いで報じられ、ネット世論にも経済の先行き不透明感がどんよりと漂い始めた。 特に日本企業は円安や人件費高騰などを背景に国内生産に回帰する動きが顕著で、中国メディアも注目。 「これから中国は冬の時代を迎える」。 ニュースサイトのコメント欄などには悲観的なメッセージが目立つ。




 パナソニックは1月、中国山東省のテレビ工場の生産を停止し約300人の従業員の大半が退職。 シチズンホールディングスの子会社も2月上旬、広東省の工場を閉鎖し約1000人の従業員を解雇した。 TDKやシャープなども生産の一部を国内工場に移すことを検討している。

 2月下旬には、米マイクロソフトも広東省と北京の携帯電話工場を閉鎖し9000人を解雇することが明らかになった。

 中国の経済紙 「 証券時報 」 ( 電子版 )は2月25日、 「 世界の有名企業が中国撤退を加速 」 と題する記事を掲載した。 記事はこうした外資系企業の撤退は 「 2015年の中国経済にとって大きな不安定要因となる 」 と指摘。 中国は世界第2位の経済規模になったものの、経済の基盤は非常に脆弱ぜいじゃくで、生産コストの優位も消え輸出主導型経済の生命力を失ったとしている。

 また10年余りの不動産バブルで実体経済の変革が遅れ、国内経済の空洞化が生じたと分析。 ローエンド技術の工場撤退による影響は大きくはないが、米国や日本、ドイツなどのハイエンド産品の工場撤退は経済への影響が大きいと警告した。




 14年の中国の国内総生産( GDP )は実質で前年比7.4%増と24年ぶりの低水準となった。 15年の目標は4年ぶりに引き下げられて7.0%前後となる見込みで、多くのネットユーザーは経済失速を深刻に受け止めているようだ。

 「 中国のGDP成長率は6%を下回ることはできない。 さもなければ経済危機が本当にやってくる。 今は7%まで落ちてしまった。 この先、楽観はできない 」

 そもそも政府が発表する統計数値への不信感も根強い。 「 商売はますます困難になり、多くの工場が倒産し、外資は撤退が相次ぐ。 こんな状態で成長率が7%だって? 」 と国家統計局を揶揄やゆする書き込みもあった。

 「 中国の人件費は高騰し、不動産市況もすでに衰退し、今後は就職口を探すのが難しくなる。 高齢化も深刻で、中国はまもなく冬の時代を迎えるだろう 」

 「 景気は気から 」 とも言われるが、極端に悲観的な見方が広がればさらに国内経済に悪影響を及ぼしかねない。 こうした見方を戒めるメディアやブログも散見される。

 ネットメディア 「 華声評論 」 は外資系企業の撤退問題を取り上げ、 「 時計だろうが携帯だろうが、国産品にも十分な品質がある。 外資が撤退するのは中国市場において競争力がなくなり失敗しただけだ 」 と解説。 外資撤退は国内企業にとってチャンスだと主張した。

 「 お礼をいうよ、もう中国の環境を破壊しないでくれ 」。 ネット上の書き込みの中には外資系メーカーの撤退を歓迎する声もある。

 しかし、雇用創出への不安は根強い。 この書き込みには反論が寄せられた。

 「 喜ぶのは早い。 中国はここ数年虚業に走り、実業は蓄積がない。 こうした大企業が出ていったら中国に何が残る? ( 農村から )都市に移った労働者は研究所で働くのか? 大学で講義をするのか? 」




 中国では特定企業を狙い撃ちした “外資たたき” キャンペーンが定期的に繰り返されている。 建前は国内消費者の利益保護が主眼だが、技術で劣勢にある国内企業の保護が真の狙いとの指摘は根強い。 米通信技術大手クアルコムは2月、中国の独占禁止法に基づき、罰金60億8800万元( 約1150億円 )を支払うことで中国国家発展改革委員会と合意したと発表した。

 こうした 「 中国リスク 」 が外資撤退の背景にあることを冷静に指摘する声もある。

 「 根本的な原因は、国有企業が牛耳る壟断経済だ。 外資と民間企業は先頭に立つことができない。 経済上の法制が不厳格で不健全だから外資の撤退につながった 」

 景気減速をきっかけに、これまで不動産市況の活況で恩恵を受けた人々への批判も高まっている。

 「 米国の不動産は自動車のような商品だが、中国の不動産は骨董品こっとうひんみたいに投機の対象だ 」

 「 なんとかハイテク産業開発区とか、なんとか科学技術区とかいうのは結局、不動産業だったんだな 」

 「 最高指導者 」 を批判する書き込みが珍しく削除されないまま残されていた。

 「 月収が2000元( 約3万8千円 )に満たない人々は、毎日PM2.5に汚染された空気を吸いながら貨物コンテナで寝泊まりしている。 医療も年金も整備されていない国が、なんと世界最大の債権者というじゃないか。 人民に文句を言わせない最高指導者が、国民に 『 美しい夢 』 をみろという。 狂気じみているよ 」