( 2013.06.10 )

   


 中国の習近平国家主席( 59 )とバラク・オバマ米大統領( 51 )の2日にわたる初会談が8日、終了した。 両政府が相互依存を強める中、民間の関係も複雑化している。いびつな独裁国家の将来に対する不安を持つ中国人富裕層は、自由の国、米国での生活という “保険” を、あの手この手で求め続けている。




 住民が異変に気付いたのは昨年8月だった。 臨月になろうという中国人妊婦が突然、連れだって閑静な住宅街を毎日散歩するようになった。 米西部ロサンゼルス近郊チノヒルズ。 空き家だった豪邸が、いつの間にか中国人専用の “妊婦ホテル” に違法改築されていた。
 周囲を見晴らす小高い丘の頂上に建てられ、7部屋の寝室があった一軒家。 その家を購入した中国人が、内部をバス・トイレ付きの個室17室にリフォーム。 中国から訪米した妊婦を、多い時には30人も住まわせていた。
 だが、シャワーやトイレなどで大量の水を使用したため、下水管から汚水があふれ出し、丘を下って道路に流れ出す事態に。 丘の中腹に住むテリー・ディルマンさん( 60 )は 「とにかくひどい臭いがした。 大勢の妊婦が何をしているのかも分からないし、不気味だった」 と憤った。
 妊婦の目的は子供の米国籍取得だ。 中国と比べ、チャンスに満ちた自由の国。 米国は 「出生地主義」 のため、外国人でも米国内で出産すれば新生児に米国籍が与えられ、さらに子供が21歳に達すれば、両親も米国の永住権を得ることができるのだ。




 「簡単に米国パスポートが取れます」 「米国籍なら子供の可能性は大幅に広がります」。 インターネットでは米国出産ツアーを募集する中国語のウェブサイトが無数にあり、魅惑的な言葉が躍る。 入国審査で見つからないよう 「ゆったりした服を着て行きましょう」 といったアドバイスも。

 予定日の2ヵ月前に観光査証( ビザ )で訪米し、出産後1ヵ月で帰国する。 費用は1万5000~2万ドル( 約150万~200万円 )。 往復の航空券、宿泊費、食費、出産費用が含まれる。 昨年2月に北京の米国大使館がビザ発給制限の緩和を始め、発給数が急増したことも追い風になっている。

 この “妊婦ホテル” は住民からの通報で当局の立ち入り検査を受け、昨年末に閉鎖された。 それでも周辺には新たに別の部屋が準備され、ツアーは活況だ。 34歳の中国人妊婦は 「米国の最高の医療を受けるために来ただけ。 何も悪いことはしていない」 と強調。 妊婦は今も米国に押し寄せている。





( 2013.09.12 )

 

子供の米国籍取得を目的に、北マリアナ諸島で出産する華人妊婦が急増
しているため、米政府は中国の各旅行会社に対し、北マリアナ諸島への
「出産ツアー」の催行禁止を通達した。ハルビンで開かれた母親学級。
 2013年9月10日、米連邦政府は中国の旅行会社各社に対し、サイパン島を含む北マリアナ諸島での出産を目的とした中国人妊婦の入国を禁止すると通達した。

 この2年間で、米国領の北マリアナ諸島で出産する中国人妊婦が急増している。 彼女たちの目的は子供の米国籍取得だ。 2013年1~7月の間に、北マリアナ諸島を訪れた中国人観光客の数は、すでに2012年の前年の総数に達している。 2013年7月の中国人観光客数は1万1177人で、前年比49%増となった。 また、2010年から2012年までの北マリアナ諸島全体の出生率はマイナス傾向にあるが、華人の出生率は175%と爆発的に増えている。

 現在、北マリアナ諸島は中国人旅行客の45日間以内の滞在についてビザを免除しているが、中国人妊婦の 「出産ツアー」 問題が解決出来なければ、米政府は同諸島を訪れる中国人観光客へのビザ免除を取り消すことになる。 中国人観光客は、北マリアナ諸島にとって大事な 「お得意様」 であり、ビザ免除が取り消されれば、同諸島の経済的打撃は計り知れない。

 米国土安全保障省、税関・国境取締局( CBP )による北マリアナ諸島への出産ツアー禁止の通達後、中国の人気旅行サイトは 「 中国本土の妊婦にはサイパン行きの航空券を販売できません 」 との通知を掲載した。

 イノス知事によれば、サイパン島唯一の病院では特定の旅行客の出生証明の発行費用を、従来の20ドル( 約2000円 )から5万ドル( 約500万円 )に引き上げることを検討しているという。





( 2013.12.10 )

  


 2013年11月29日、米紙ワシントン・ポストによると、毎年多くの中国人妊婦が子供に米国籍を与えるため、米国に赴いて出産をしている。 このため、米国では出産ツーリズムともいえる出産斡旋業が新たな産業として脚光を浴びている。

 国籍取得のために米国で生まれた中国人の子は、昨年だけでも少なくとも1万人といわれる。 出産費用は旅費やその他のサービスを含め約3~4万ドル( 約300~410万円 )かかるが、必要があれば両親も米国籍に変えられるという保険の意味合いや、子供が将来米国の公立大に通う場合に学費が割安になることなどを考えると、米国での出産を選ぶ人が多い。

 妻子が米国で出産したある中国人男性は 「空気もいいし、食べ物が安全なのも気に入っている。 それに不思議なんだけど、アメリカの物価は中国よりも安いんだ。 子供には早いうちに米国で生活させたい」 と語った。





( 2014.02.14 )

 

 2014年2月10日、米ABCによると、出産のためにサイパンを訪れる中国人観光客が増えている。

  米国領のサイパンは、 ビザなしで45日以内の滞在が可能な上、 米国領で生まれた赤ちゃんには 両親の国籍を問わずに米国籍が与えられる。 こうした子どもたちが将来、 米国に移住する際には、 米国籍を持たない両親を一緒に連れていくことが可能だ。

 中国の旅行会社が売り出している観光と出産をセットにしたパッケージツアーは約277万円。 ネット上には斡旋業者も存在し、旅行会社を通さずに個人で行くことも、ハードルはそれほど高くないという。

 統計によると、サイパンで出産した中国人妊婦は、2009年の8人から12年には282人と35倍に増えている。 サイパンの新生児の71%がこうした中国人によるものだ。
 こうした出産自体に違法性はないが、 「米国籍目当て」 と批判の声もある。 サイパンのある議員は 「問題がこれ以上大きくなる前に、制限をかける必要がある」 とした上で、米国土安全保障省に協力を要請したことを明らかにした。





( 2014.09.21 )
中国人専用 「妊婦ホテル」 がロス郊外に出現
 


米カリフォルニア州チノヒルズで開かれた、マタニティーホテルに反対する周辺住民の会合
 米カリフォルニア州ロサンゼルスのダウンタウンから東へ約40マイル( 約64キロ )。 大自然に囲まれ、美しい山脈がそびえるチノヒルズは白人の多い、閑静な住宅街で知られる。 庭にプールがある一軒家が並ぶ、典型的な米国の郊外の風景だ。

 そんな一軒家に突然、中国人女性3人が暮らし始めた。 他にも人はいるようだが、家族には見えない。 女性3人は全員、臨月が近いようで、おなかが相当目立っていた。 「どこから来たの」。 近所の白人女性がたずねると、 「グランドキャニオン」 との答えが返ってきた。 3人は足早にその場を立ち去った。

 一軒家は 「マタニティー( 妊婦 )ホテル」 として利用されていた。 妊婦は観光査証( ビザ )で中国から米国に入国し出産する。 米国で生まれる子供は、両親の国籍とは無関係に米国籍を取得できる。 その子供が21歳になれば、両親も米国の永住権を得ることができる。 違法ではないが、脱法的な国籍取得に米国市民の視線は冷ややかだ。

 チノヒルズでは2年前にも、豪邸を不法改造したマタニティーホテルが出現。 多いときには、その家だけで30人の妊婦が暮らしていたという。 ホテルは周辺住民とトラブルになり、市当局の立ち入り検査を受け、宿泊施設の無許可営業などで閉鎖された。 にもかかわらず、中国系業者による妊婦の募集は続く。

 「ガレージにベッドを設置しているのを見た」 「外に出されたゴミ箱は、乳児用品や使用済みのおむつであふれている。 とても普通の量じゃない」 「居間にゆりかごやマットレスが多数並べられていた」 ……。 周辺住民の証言から、複数の一軒家がマタニティーホテルとして使用されている疑いが新たに浮上している。

 今月9日、チノヒルズの住民約30人が参加してマタニティーホテル問題に関する会合が開かれた。
「チノヒルズは家族が暮らす街だ。 妊婦を出産させるビジネスの場所ではない」
「出産間近な妊婦を民家に宿泊させることは危険な行為だ」
 住民らは、市や警察当局などにマタニティーホテルとみられる一軒家の立ち入り検査を求める陳情に署名し、23日に開かれる市議会に提出することを決めた。

 会合に参加したジム・ガリガーさん( 62 )は 「人種差別や反移民の立場で反対しているのではない。 業者は明らかに観光ビザを悪用している。 観光ではなく、出産が目的なのだから。 チノヒルズの住民はだまってはいない」 と話した。




 2年前にホテルとして利用された豪邸は小高い丘の上に今でもある。 7つのベッドルームがあった室内は、17部屋に不法に改築され、すべての部屋にトイレとシャワーが設置された。

 ガリガーさんによると、妊婦らが一度に大量の水を使用したため、下水管から汚水があふれ、周囲に広がった。 送迎バスが何台も行き来し、付近の路地は渋滞した。 住民らが市に通報し、住宅地での宿泊施設の無許可営業などで摘発されたのだった。

 ガリガーさんは 「マタニティーホテルはこのコミュニティーには存在してはいけない」 と強調した。

 だが、その豪邸から半径約2.3マイル( 約3.7キロ )の範囲にある一軒家10棟が現在、マタニティーホテルと化している疑いが強い。

 「ビザの取得からお手伝いします」 「信頼できる産婦人科と提携」 「赤ちゃんへの最大のプレゼントは米国の国籍です」。 インターネット上には中国語で書かれた出産ツアーの募集が散見される。 滞在先はカリフォルニア州だけでなく、ニューヨーク州など全米の大都市の郊外が多い。 上海、北京、四川などの中国の富裕層がターゲットだ。 こうしたツアーの参加者が一軒家を使用したマタニティーホテルに宿泊する。




 あるサイトを見ると、料金には往復の航空券( エコノミークラス )と宿泊費、食事代、出産前ケア、出産費用、新生児の米国籍取得支援などが含まれ、1万4千ドル( 約140万円 )となっている。

 米メディアによると、 「濃い色のTシャツを着て、大きなリュックサックを胸にかけて、おなかを隠す」 「乳児用品などは一切もちこまない」 などと、観光ビザで入国する際に、いかにして妊婦であることを隠して入国審査をパスするかの 「注意」 を掲載しているサイトもあるという。

 チノヒルズ市議会への署名を住民に呼びかけた、元市議で弁護士のロザンナ・ミッチェルさんは、 「市民権をお金で買っているようなものだ。 法律に違反していないからといって道徳上認められるのか。 国籍は正しい手続きで認められるべきだ」 と批判した。
「地域レベルで住民が力を合わせて反対しないと何も変わらない」
 ただ、現時点で摘発できるのは業者に対する無許可営業や違法改築などに限られる。 周辺住民とのトラブルで閉鎖してもまた、 別の一軒家で営業が始まる実態をみれば、子供に米国籍を取得させたい中国富裕層がいかに多いかが浮かぶ。 それだけ業者にも 「うまみ」 があるということになる。

 国籍取得に関する法や規則の改正などがない限り、地域住民や行政当局と、業者のせめぎ合いがやむことはない。





( 2015.03.04 )

  



越境出産に対する捜査に関連し、米カリフォルニア州にある高級ヴィラの敷地内に入る連邦捜査員


連邦捜査員の一斉捜索を受けた高級ヴィラ。居住者からは妊婦が出入りするのをよく見かけたとの声も聞かれた
 米連邦捜査当局は3日、子どもに米国籍を取らせるため米国で出産する中国人が増えている問題で、カリフォルニア州南部の高級ヴィラなどを一斉捜索した。

 中国人妊婦の米国での出産と子どもの米国籍取得を支援するビジネスは数百万ドル規模に達するとみられており、今回の捜査では、不正ビザ取得のほか脱税、不法移民をかくまった疑いなどが持たれている。

 米当局によると、越境出産を手助けするビジネスは拡大しているが、この種のビジネスに対する刑事事件としては最大級のものとなりそうだ。

 捜査員は観光ビザで入国した中国人の妊婦が出産前後に滞在したアパートや、越境出産ビジネスを行っていたとされる米国に拠点を置く個人の居住地などを捜索し、関連資料を押収した。 この人物は、ロサンゼルス、オレンジ郡、サンバーナーディーノ郡でビジネスを営んでいた。 ウォール・ストリート・ジャーナルが確認した文書によると、国土安全保障省、財務省、内国歳入庁もこれに関する捜査を進めている。

 3日早朝、40人ほどの捜査員がオレンジ郡にある高級ヴィラ、カーライル・アパートメントの敷地に入った。 入居者からは、これまで多くの妊婦が出入りしていたのとの声が聞かれた。 捜査員はおむつの入った箱やパソコン、関係文書を押収。 これまで逮捕者は確認されていない。

 越境出産はこれまで、子どもに国籍を取得させる目的で米国に移住するメキシコ人の間で多かったが、最近では富裕層向けのビジネスに発展。 当局の話では、米国に足がかりをつくりたいと望む中国人が主な顧客になっており、仲介業者に5万ドル( 約600万円 )支払うこともあるという。 これには出産に関わる医療費は含まれていない。

 米国で生まれた子どもは自動的に米国籍を取得できる。 そのため、外国人の妊婦が正規あるいは不法に入国して出産した子ども( アンカーベビーと呼ばれる )も、米国の教育や社会保障などを受けられる。 21歳になると、子どもが保証人となって家族を合法的に米国に移住させることもできる。

 米国のアンカーベビーの数をまとめた公式統計は存在しないが、越境出産の取り締まり強化を求める移民研究センター( ワシントン )によると、年間約4万人の子どもが越境出産で生まれているという。





( 2013.02.13 )

 5.

 カナダ政府は 「このプログラムは、カナダの永住権の価値を低く見積もりすぎていた。 このプログラムでカナダに入国した移民が払った税金などはほかの方式で入ってきた移民よりも少ない」 と説明した。

 カナダは現行のプログラムに代替する新しい移民リスク投資ファンドの導入を進めており、新プログラムは移民希望者の言語能力など、新たな重視項目を追加している。

 従来の投資移民プログラムは、160万カナダドル( 約882.4万元 )の純資産を保有している公的証明書を提出し、カナダ政府に無利子の預金80万カナダドル( 5年 )を行えば、即永住権が獲得できた。

 しかし、この方法はカナダ人の強烈な反発を呼んでいた。 同プログラムを使って永住権を獲得し、3年間居住してからカナダ市民の身分証を得るとすぐに祖国に戻り、カナダに何の貢献もしない外国人富裕層がいたという。





( 2014.02.21 )

 


 

 ただこうした状況はそろそろ転換期にさしかかっているといえそうだ。 国内での 「倹約令」 など決まりが厳しくなり、綱紀粛正の徹底や家族の海外移住状況の報告義務化で移民が難しくなっているためだ。




 しかし、中国の金持ちにとって海外移住が難しくなりつつあるのは、中国国内の理由からだけではなさそうだ。 移民受入国の事情もある。 移民大国のカナダはこれまでの移民政策を変更しようとしている。 そこでここではカナダの移民政策変更が中国富豪たちの移民に与える影響についての記事を紹介したい。

 『鳳凰衛視』 テレビ局のサイト記事 「中国の富豪4兆の資産を海外に隠す カナダは投資移民を廃止」 と北京市の共産主義青年団の機関紙 『北京青年報』 の 「カナダが移民政策取り消しについて回答:移民はカナダに貢献せず」 である。


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記事(1) 【 2014年2月15日 『鳳凰衛視』 ネット( 抄訳 )】
 カナダは2月12日に現在の移民政策を廃止することを公表した。 この決定で5万人近くの中国富豪の移民する夢が砕かれた形になり、各界からの注目を浴びている。

 2013年末に胡潤百富( 中国富豪ランキング )が公表した調査結果によると、2013年に移民した、あるいは移民を申請している富豪は合計で2012年よりも6.7ポイント増加し、64%に上ったという。 富豪による富の流出( 中国からの )は驚くべきものだ。 ボストンコンサルティンググループの出したデータでは約4500億ドルに上り、同社によると中国の富豪による海外投資額は今後3年で倍増するとみられている。
 ロンドンのコンサルティング会社ウェルス・インサイト社によると、中国の富豪は現在約6580億ドル( 65兆円超 )の資産を海外に蓄財しており、これは4兆796億元相当で、中国の年間の財政収入の30%超に当たる額だという。 なぜ中国人は金持ちであればあるほど移民したがるのだろうか。

 中国の富裕層が海外にこぞって押しかけることで富と人材の二つの面で深刻な流出が起きている。 中国では富の流出阻止が声高に言われるようになっており、2014年1月1日から中国では国民に海外資産の報告が求められるようになったが、こうした政策が富裕層の移民にどのような影響があるかについては引き続き見ていく必要があるだろう。




記事(2) 【 2014年2月16日 『北京青年報』 ネット( 抄訳 】
 カナダ政府が行ってきた 「28年間実施し、13万人の移民に青信号を照らし、富裕層に最も歓迎されてきた」 カナダの移民計画が終わりを告げることが明らかにされた。 カナダ移民局責任者のソニア・ルサージュ女史に聞いた。

 「投資移民計画の廃止」 という言い方は、カナダ政府が先日出した 「2014年経済行動計画」 において言及されたもので、カナダ政府は連邦投資移民計画と連邦企業家移民計画を終了させ、新しい試験計画に道を開き、カナダの労働市場と経済的需給を満たすことを目指している。
 まだ最終的な決定は下されていないが、カナダ政府では立法措置を通して投資移民申請を終わらせることにしており、すでに申請されたものは申請費を返却するという。 具体的詳細は数ヵ月以内に公表される予定だ。

 目下、投資移民計画が受理された申請者は6万5000人を超えているが、もしこの項目が廃止されると、差し止められた申請を処理( 申請手数料の払い戻し等を指すと見られる )するには6年かかると見込まれる。

 投資移民計画廃止に対して香港 「サウスチャイナ・モーニングポスト」 紙は 中国からの富裕層の申請がカナダの投資移民プロジェクトを崩壊させた としている。 そしてカナダの資料では1月8日までに香港から提出されて差し止められた移民証は5万3500部に上り、うち99%は中国大陸からだという。

 ルサージュ女史によると、投資移民プロジェクトを 「崩壊」 させたのは申請そのものではなく、移民がカナダ社会に社会的貢献をしていないこと だという。 「80万ドルの無利子借款によってカナダ経済の発展が図られたことを除き投資移民プロジェクトによる経済発展への貢献は比較的小さかった」、そして 「彼らがカナダで稼ぐ収入は少なく、納税額もとても小さかった」 のだ。 投資移民が中長期的にカナダに留まる可能性は低く、他の移民よりも通常、言語レベルが低いことも判明している。




 かつて外国人は少なくとも160万カナダドル( 現在1カナダドルは約92円 )の資産を持ち、5年間でカナダ政府に対して80万ドル分の無利子ローンを提供すれば永住権が得られることになっていた。 過去7年の間にブリティッシュ・コロンビア州政府はこの投資移民から得た4億ドル余りの無利子ローンを社会サービスに投下し、2億6000万ドルを病院や学校施設の改修につぎ込んだ。 これによって2500人分の雇用も生まれた。

 5年後には政府はローンを返済する必要があるが、毎年新移民がもたらす資金は、社会全体に富をもたらした。 しかし、移民計画の中止によって州政府の投資計画に影響を与え、プロジェクトによってはキャンセルを余儀なくされ、地元経済に一定の影響を与えるであろう。

 またある不動産業者はバンクーバーのような移民が多い都市で移民の減少は当地の不動産価格の下落を引き起こし、建築、鋼材、セメント業界にも影響を与えるだろうと憂慮している。
 中国の富豪たちが大挙して海外に押し寄せ、その国の永住権を獲得しようとするのは奇異である。 中国は 「改革開放」 政策に舵を切って年成長率が10%を超える急成長を遂げ、日本を抜いて世界第2位の経済大国となり、 「G2」 ( アメリカと中国の2超大国 )といわれるまでになった。 習近平政権は、 「中華民族の偉大な復興」、 「中国の夢」 というスローガンを掲げ、成長の行方は順風満帆はずではなかったか。
 ところが鄧小平が 「富める者たちから富め」 と金儲けを認め、そうした政策に則って成功した当の富豪たちは富を手にしたとたんにこぞって海外移住を始めている。 「中国の夢」 とは金持ちになって海外に移住することなのか。




 高官たちが世界各地で高級不動産を買い漁り、その豪邸が華僑系ニュースで大々的に取り上げられるのは珍しいことではなくなった。 汚職に手を染めた高官たちが中国国内で金儲けに精を出し、家族を海外に移住させて中国国内から仕送りをするという 「裸官」 という言葉も出現した。

 汚職高官の代表格として薄熙来( 元重慶市党委員会書記 )が挙げられるが、彼が逮捕されてから、海外で購入したイギリスやフランスの豪邸が暴露され、その豪邸の贅沢さに多くの人が度肝を抜かれた。

 カナダに限らず、オーストラリアやアメリカに不動産を持つとされる高官もいるし、現役の指導者、引退した指導者たちやその家族も海外での不動産所有の噂が絶えない。 中国富豪の海外移住と高官の汚職は切っても切り離せない表裏一体の関係なのだ。

 良くも悪くも中国の急成長は、移民先でも経済に大きな影響を及ぼすまでになっているのは記事のとおりである。 カナダでは不動産価格の高騰を引き起こし、バンクーバーやトロント等の都市で住宅価格は過熱気味でバブルの様相さえ呈している。




 しかし、記事で紹介したようにカナダは投資移民制度の廃止を検討し始め、現在申請済み部分を棚上げにしている。 カナダやアメリカなど欧米の移民の門戸は閉じられつつあるようだ。 こうした中で代わりに一躍注目を浴びるようになったのがカリブ海諸国だ。 昨年、習近平国家主席が訪問したカリブ海の小国トリニダード・トバゴもそのうちの一つだ。

 移民先のカリブ海の国として注目を集めるのがセントクリストファー・ネイビスである。 2012年に中国からの移民はたった20人だったがこの数年で数倍になったという。 人口5万2000人超しかない小国が移民の選択先になったのは、国籍取得の条件が緩く、海外収入の課税もなく、ここからステップアップで別の国に移民も可能だからだという。 ある弁護士によれば多くの企業家の中には中国政府の制限をかいくぐり、香港で上場し資金集めをするという目的を持つものもいるという。

 このようなビジネス目的でどこの国でもいいから利便性を追求して移民する様は日本人にはなじみにくい。 利便性を追求し、ある国の永住権取得を目指し、駄目なら別の国というような刹那的生き方はどうも受け入れ難い。

 もし 「中国の夢」 実現を本気で目指すなら、そのような刹那的に移住するのではなく、国に止まって政治の改革推進を後押しし、環境保全を進めて大気汚染を改善し、貧富の格差を是正して多くの人が発展の恩恵を享受できるようにすべきなのだ。 富裕層が国から逃げ出すような社会が理想的である訳がない。

 毛沢東の功績を賛美したばかりの習近平政権だが、富を手にした 「紅二代」 たちが大挙して海外に移民しようとする様を、もし命を懸けて国を作った 「革命世代」 が見たらどう思うだろうか。 「中国の夢」、 「中華民族の偉大な復興」 と大言壮語に浮かれず、自分の生まれ育った土地、国で地道に持続可能な発展を目指すことこそが真の 「偉大な復興」 であろう。





( 2014.06.28 )

  



  習近平・中国国家主席が姉夫婦など親族のファミリービジネスを禁止し、 所有している株式や豪邸など数億ドル規模の資産を売却するよう指示した。 その結果、 北京や香港の不動産物件だけで、 その売却益が2億3400億円( 約234億円 )にも達したことが分かった。 また株式による資産は少なくとも21億ドル( 約2100億円 )にも達するという。

 習氏は自身が反腐敗キャンペーンを展開するなかで、 「政治的な弱みを見せないようにするためだ」 と米紙 「ニューヨーク・タイムズ」 が報じた。

 これらの資産は習氏の姉の斉橋橋氏と夫のトウ家貴氏、その娘の張燕南氏が所有しているもの。

 まず夫妻らは香港の高級住宅街にある邸宅2棟をそれぞれ1.5億香港ドルと2.38億香港ドルで売却。 さらに、北京のマンションなどを合わせると計2億3400万ドルに達するという。

 これらの物件は夫妻が経営する不動産会社が売却。 この会社はいわく付きで、習氏が2007年10月、中国共産党の第17回党大会で党政治局常務委員会入りした数週間後に投資総額2000万元( 約3億6000万円 )で創設されたものが、4年後の投資総額は約50倍の9億7970万元に膨れあがっている。

 これは習氏の名前がビジネスに影響を及ぼしているのは明らかだ。

 金融経済専門通信社のブルームバーグ通信によると、習氏の妹夫妻は2人で11社の企業のオーナーであり、そのほか、少なくとも25の企業の重役として経営に携わっていた。 また、総資産は日本円で525億円にも達しているという。

 これらの所有している株のうち、今回、どの株を売却したかどうかは不明だが、トウ氏が所有している江西省のレアアース採掘・販売会社の株だけで時価21億ドルは下らない、とニューヨーク・タイムズは報じており、夫妻の資産総額は莫大な額に上るのは間違いない。

 同紙によると、夫妻は2012年以降、少なくとも10企業の保有株を売却。 株式売却に携わった金融関係者は 「( 売却は )家族のためだ」 と明かしているが、依然として中国各地に多くの企業を所有している。